病院経営が厳しいといわれる理由は?現状や成功させるコツを一挙紹介

赤字とは無縁に見える病院でも、経営状況が厳しく苦しい運営であることも。
その理由と日本の病院の現状や、病院経営が成功するコツを紹介します。
目次
- 病院経営が「厳しい」といわれる理由
- 医療従事者が不足しやすいため
- 黒字経営が難しいため
- 新型感染症の影響を受けやすいため
- 日本の病院の現状
- 病院経営を成功させるコツ
- 現在の経営状況を正確に把握する
- 経営戦略やビジョンを設定する
- 他の病院と差別化をする
- 感染症への対策をする
- 人件費を整理する
- 従業員のモチベーションを上げる
- 医療サービスの質を向上させる
- 病院経営を成功させるには業務の効率化が必要
- 病院業務を効率化させる方法
- システムを導入する
- 他の病院と連携する
- 病院経営に役立つシステムの導入事例
- 電子カルテの導入で業務量削減
- オンライン診療の導入で患者の負担軽減
- 病院経営の改善は当社にお任せください
病院経営が「厳しい」といわれる理由

病院経営には「厳しさ」が伴うとよくいわれますが、その理由はいくつか存在します。
理由を把握して病院経営をすることで、改善策や対策方法をあらかじめ考えられ、健全な経営が可能になるでしょう。
ここでは、厳しい病院経営の理由を3つ紹介します。
医療従事者が不足しやすいため
現在の日本では、少子高齢化によって労働力不足が問題になっており、それに伴い医療従事者も不足しています。
特に、人口の少ない地方や過疎地では医療資格を持った看護師や医師不足が深刻な問題といわれています。
診療科の閉鎖による病院の縮小や診療時間の短縮などは、人材不足によって引き起こされている弊害でしょう。
このように、診療による利益が生まれにくい状況を作り、人材確保のために採用費用がかさんでしまうことは、病院経営を悪化させる要因の1つといえます。
>>関連記事:医療現場における人手不足の解決策|厚労省の見解や医療AIやDXも
黒字経営が難しいため
病院経営は、そもそも黒字経営が難しいといわれています。
競合の病院も多く存在し競争率が高いため、多忙な仕事量をこなす医療従事者の給与や福利厚生に力を入れて、人材を確保することが必要です。
厚生労働省の調査によると、一般病院での人件費は平成28年には平均で54%だったものが、令和2年には平均で58.8%と右肩上がりに増加しています。
医療従事者の確保には費用がかかるため、人員を増やすだけでは病院経営の悪化を招きかねません。
出典:厚生労働省「令和3年度 医療施設経営安定化推進事業 病院経営管理指標及び医療施設における未収金の実態に関する調査研究」
新型感染症の影響を受けやすいため
病院経営は、新型感染症の影響を受けやすく、流行によって一気に忙しさが増します。
新型コロナウイルスの流行が記憶に新しく、マスクの徹底や発熱患者への別対応など、専用の対応が通常業務に加えて必要になりました。
感染リスクを考慮して通院を控えたために、診察が必要な患者の診察ができなかったり、感染症対策にかかる物資や対応が必要になったりと支出は増える一方です。
そのため、新型感染症の患者を受け入れない病院もあります。
日本の病院の現状

日本の病院は年々減少し、赤字経営が多く存在しています。
しかし、街中で目にする病院は減少どころか、増えているようにも思えるでしょう。
確かに、入院設備を持たない「無床診療所」は増加していますが、「有床診療所」で入院対応が可能な病院は、赤字経営のため減っていることが現状です。
さらに病床規模の大きな病院になればなるほど、1日にかかる施設費用も高くなり、経営も厳しく赤字を回避できない状況です。
>>関連記事:医療の2025年問題|医療現場や社会への影響と病院ができる対策を紹介
病院経営を成功させるコツ

利益を生み「黒字化」しにくいといわれる病院経営において、黒字化へのコツとは何でしょうか。
ここでは成功のコツを7つ紹介します。参考にして、病院経営の黒字化に取り組んでみましょう。
現在の経営状況を正確に把握する
収支を洗い出し、現在の経営状況が赤字なのか、黒字なのかを正確に把握することが黒字化への第一歩です。
一般企業では当たり前のことかもしれませんが、病院経営では見落とされがちで、経費やコストの正確な算出が大切です。
病院で必要なコストは一例として以下の費用が挙げられます。
- 人件費
- 医薬品費
- 委託費
- 広告費
- 教育費
- 通信費
- 光熱費
現状を確認して、最適化や効率化できる部分を洗い出し、無駄を失くして黒字化を目指しましょう。
経営戦略やビジョンを設定する
経営戦略やビジョンの設定は、病院経営においても重要です。
開業時に設定した経営戦略があれば見直し、もしなければ新たに立てることが必要でしょう。
これから病院をどのようにしたいのか、どのような人をターゲットにするのかなどのビジョンの明確化が大切です。
経営戦略やビジョンを細かく定めることで、赤字の原因を探り出せ、黒字化への実行に移しやすいでしょう。
他の病院と差別化をする
経営にかかる費用の見直しばかりでなく、利益を生み出す部分も見直す必要があります。
専門分野に特化した病院にしたり、サービスに強みや特徴をもたせたりと、他の病院との差別化が必要です。
専門分野に特化した病院にすると、他の病院とは違う特色で集客ができ、患者側はかかりつけ医ではできない詳しい検査や診察を受けられるメリットが生まれ、増患が見込めます。
また、効果的な医療が提供できるよう心がけることも、集客をするための対策の1つとなるでしょう。
感染症への対策をする
新型コロナウイルス流行は、病院の赤字経営が増えた原因の1つです。
新型コロナウイルス患者を受け入れるために、必要な備品や設備を整える費用がかさんでしまった病院もあります。
今後も、新たな感染症が流行する可能性もゼロではありません。
そのため、感染症対策の強化を図ることも、病院経営の黒字化には重要です。
緊急事態の対応や方針を決め、周知することで、病院の閉鎖や受け入れ制限を最小限に抑えられ、収入をなるべく減らさず経営ができるでしょう。
人件費を整理する
病院における支出の約6割を占める人件費を整理することも、赤字脱却の手掛かりです。
病院の予算内で人件費に割ける割合を確認し見直しても、すぐに人員の大幅な削減はできないでしょう。
しかし、人件費以外にかかる費用を削減することは業務効率化によって可能です。
たとえば、電子カルテやAIによる診断サービスの導入などのIT技術の検討で、人でしかできなかった業務が見直され、人件費の削減につながります。
従業員のモチベーションを上げる
患者の命に関わる激務をこなす従業員のモチベーションを維持もしくは上昇させると、黒字化を目指せます。
業務待遇や福利厚生を充実させると、従業員が心地よく働ける環境となり、離職率の低下が期待できます。
たとえば、有給休暇の取りやすい環境を作るだけでも、働きやすさが改善され、従業員の職場満足度はあがるでしょう。
離職率の低下を防げれば、新たな採用や余計にかかる人件費も抑えられます。
医療サービスの質を向上させる
医療サービスの質を向上させると、集客の対策にもなり経営の上向きが期待できます。
医療サービスは患者からの信頼にも関わり、かかりつけ医として病院を利用してもらうためには、地域での評判を上げる必要があります。
地域の特徴や患者のニーズを調べたり、直接患者の声を聞いたりすると、患者目線の病院として認められ評判もあがるでしょう。
患者と従業員の交流があると、口コミからかかりつけ医としての評判もあがって、集客力が高まります。
病院経営を成功させるには業務の効率化が必要

成功のコツを7つ紹介しましたが、どれか1つだけをするならば、業務の効率化を進めることがもっとも重要です。
病院経営は業務の効率化によって、より少ない人手で回せるようになるでしょう。
業務効率化の1つに「ペーパーレス化」があります。人件費や消耗品費などの削減につながるほか、患者の待ち時間短縮や便利さの向上がかない、患者の満足度もあがってより使いやすい病院と認識されるでしょう。
病院業務を効率化させる方法

赤字経営を黒字化するための「病院業務の効率化」には、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、「効率化」の方法について2つ紹介します。
>>関連記事:医療の業務効率化に役立つ方法|目的や事例も解説
システムを導入する
1つ目の効率化には、医療システムの導入があります。
医療システムの活躍は、以下の3つの場面が挙げられます。
- 医療事務
- 診察・治療予約
- 薬局
手のかかる作業時間やデータ共有が難しい場面は、電子カルテやオーダリングシステムの医療システム導入によって効率化できるでしょう。
たとえば、手書きの問診表のスキャンや電子カルテへの転記などに割いていた作業の短縮が可能です。
その他には、電話予約をオンライン予約に切り替えたり、会計作業を自動化したりすることで、発生していた患者対応が効率化できます。
他の病院と連携する
地域にある他の病院と連携することも、効率化を進める1つの手立てです。
診療科目の違いや病床数の違いがある病院と連携すると、診療体制別の目的に応じた患者が集まり、それぞれの業務負担を減らせます。
患者情報を共有することで、患者に合った医療の提供が可能です。
少子高齢化に伴い、病院との連携だけでなく介護施設との連携も重要です。
入退院支援やかかりつけ医制度を強化することは、患者やその家族からの満足度を向上させられるでしょう。
病院経営に役立つシステムの導入事例

病院経営に役立つシステムを導入すると、作業や負担はどのように軽減されるのでしょうか。
改善例を見ると、自社へ導入する際の参考になります。
ここでは、業務改善の成功例を、2つ紹介します。
電子カルテの導入で業務量削減
1つ目は、電子カルテの導入で業務作業が削減できた例です。
紙カルテは、医師が記入したものを看護師や薬剤師は閲覧できないため、情報共有の難しい点があります。
また、カルテの出し入れ作業や保管が従業員の負担となり、面倒な作業と認知されていました。
電子カルテの導入後、スタッフの業務負担軽減はもちろん、カルテ情報がどこでも確認できるメリットも生まれました。
電子カルテは、オンライン診療でも役立つことが期待できます。紙カルテよりも、取り扱いの手間を減らせ、その時間を患者とのコミュニケーションに使える時間が増えるでしょう。
オンライン診療の導入で患者の負担軽減
2つ目は、オンライン診療の導入で患者の負担が軽減できた例です。
オンライン診療は、医療ニーズの変化に伴って近年需要の高まりが見られ、全国の医療機関で整備が進んでいるもののひとつです。
具体的には、感染症が流行した際にも受診が可能なことや、人目が気になる科への受診がしやすくなるなどの理由があります。
オンライン診療を整備したことで、患者は遠方の病院へ通院する身体的負担が減り、交通費の金銭的負担も減らせ、継続した診察につながっています。
病院経営の改善は当社にお任せください

病院経営は、赤字経営率が上昇しており、黒字化するための経費の削減や見直しが重要な対策です。
実際に、経費削減や見直しのために、医療システムを導入して業務効率化に成功した例があります。
医療システムには、電子カルテやオンライン予約などがあり、必要に応じた導入が可能です。
NTMは、病院で生じる煩雑な業務をワンストップでサポートします。
サービス内容やお役立ち情報資料は、無料ダウンロードが可能です。業務の効率化で病院経営を成功させ、黒字化を促進しましょう。