健康経営優良法人になることに意味はないといわれるのはなぜ?
健康経営優良法人になることに意味がないといわれることがあります。なぜ意味がないといわれるのでしょうか。ここでは健康経営優良法人になることのメリット・デメリットを含めてくわしく解説していきます。
目次
健康経営優良法人になっても意味はない?
健康経営優良法人とは、健康経営に取り組む大企業や中小企業、その他法人を指します。ただし、認定を目的化したり、目標が曖昧だったり、従業員の健康管理への関心が薄い場合、認定されても意味をなさないといえます。経営者を含む従業員全員が、健康経営の概念と意義を理解し健康維持に取り組んで初めて、健康経営優良法人に認定されることに意味が生じるのです。
健康経営優良法人になるメリットとは
ここからは、健康経営優良法人になるメリットを説明します。
>>健康経営優良法人とは? 認定基準や認定までの流れをわかりやすく解説
企業イメージが向上する
まず、企業イメージの向上です。健康経営優良法人に認定されると、認定法人ロゴマークの使用が許可されます。ロゴマークは自社のWebサイトや広告に掲載が可能です。よって、企業の認知度が向上し、イメージアップやブランディングにも利用できます。企業イメージが向上することで、求職者が増え、応募率の増加が見込めます。
優秀な人材を確保できる
企業イメージの向上により、採用活動がスムーズになることが期待でき、優秀な人材の確保へとつながります。労働環境が良好である証明にもなるため、採用率や応募率を増やせられ、企業のニーズに合った人材を見つける可能性が高まります。
従業員の離職率が低下する
従業員の離職率にも関連します。健康優良法人に認定されることで、従業員の健康保持増進が見込まれ、ワークライフバランスを整えられます。それにより、従業員の離職率は低下し、企業に貢献する従業員の増加が期待できるためです。
生産性が向上する
企業の生産性の向上もメリットとして挙げられます。健康経営優良法人の認定には、認定基準に沿った制度や施策の実施が必要になります。たとえば、保健指導や感染症対策、喫煙対策などです。そのような社内環境の整備をすることで、従業員の労働環境改善やワークライフバランスの向上が見込まれ、生産性の向上が期待できるでしょう。生産性が向上すれば、企業の利益や売上アップにつながります。
助成金の受給が可能になる
健康経営優良法人になると、利用できる助成金があります。助成金を利用することで、健康経営に使う費用を抑えられるため、積極的に使用しましょう。主な助成金の種類は下記があります。
- 両立支援等助成金
- 受動喫煙防止対策助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 業務改善助成金
金利の優遇・保険料の割引が可能になる
一部の金融機関では金利引き下げの優遇措置が受けられます。また、健康経営優良法人の従業員は個人ローンを組む際に、金利引き下げの措置を受けられます。このほか、一部の保険会社では保険料の割引措置を受けられるなど、多くの面で健康経営優良法人のメリットが存在します。
健康経営優良法人になるデメリットとは
一方で、健康経営優良法人になることで起こるデメリットもあります。それらをくわしく解説します。
申請手続きやその準備に時間がかかる
健康経営優良法人に認定されるための申請手続き、またその準備に手間がかかってしまうというデメリットがあります。認定には所定の書類に記入が必要であり、さらに認定期限は1年のため、毎年認定を受ける必要があります。現在では電子申請が可能になってはいますが、定期的に認定を受けることにひと手間あるのが現実です。
効果測定が難しい
健康経営優良法人に認定された後、短期で効果が実感できる制度ではないため、従業員に効果を示しにくいというデメリットがあります。たとえば、欠勤率が下がったとしても、それが健康経営による成果なのか分からない点が挙げられます。効果を実感するためには、長期的な測定が必要であり、毎年定量的なデータを取っての比較が大切です。具体的には、健康経営の取り組みによって実施された結果の確認や、前年度との比較をもとに取り組みの再検討などが求められます。
施策によっては社内で不満が広まる可能性がある
上記で解説したように、効果が表面化しにくいため、従業員の理解を得ることが難しいというデメリットがあります。
社内で健康経営の概念を理解し浸透させるためには、感染症対策や喫煙対策などの施策を社内全体で展開し、従業員全員の理解と協力を得られるよう取り組んでいかなければなりません。企業のビジョンを社内でしっかりと共有し、健康経営優良法人を目指すことが大切です。
健康経営優良法人になる方法とは
それでは、優良経営優良法人になるにはどのようなステップがあるのか、申請の流れや方法についてくわしく説明します。
手続き
健康経営優良法人申請に必要な手続きの流れを説明します。まず、健康経営に取り組む意思を社内全体で共有し、展開するための仕組みを形成します。健康経営優良法人として認定要件を満たすための取り組みを達成できたら、認定事務局へ申請しましょう。
下記で申請のおもな流れを確認してください。
1.健康宣言事業に参加する(中小規模法人のみ)
2.健康経営優良法人認定申請書に必要事項を記入する
3.健康経営優良法人認定委員会による審査を受ける
4.認定を受ける
2024年度の認定基準
2024年度の健康経営優良法人の認定基準は、表のとおりです。
大項目 | 小項目 | 評価項目 | 認定要件 |
---|---|---|---|
1.経営理念・方針 | ・健康経営の戦略、社内外への情報開示
・自社従業員を超えた健康増進に関する取り組み |
・健康経営の方針などの社内外への発信
・従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示 ・トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること。 |
必須 |
2.組織体制 | ・経営層の体制
・実施体制 ・健保組合など保険者との連携 |
・健康づくり責任者が役員以上
・実施体制産業医や保健師の関与 ・ 健保組合など保険者との連携健保組合など保険者との協議・連携 |
必須 |
3.制度・施策実行 | ・健康課題に基づいた具体的な目標の設定 | ・健康課題に基づいた13項目以上の目標
・受動喫煙対策に関する取り組み |
・13項目以上必須
→必須 |
4.評価・改善 | 健康経営の推進に関する効果検証 | 健康経営の実施についての効果検証 | 必須 |
5.法令遵守・リスクマネジメント | ・定期健診を実施していること
・50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること ・労働基準法または労働安全衛生法にかかかる違反により送検されていないこと |
必須 |
出典:健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)認定要件
認定数の推移
健康経営優良法人の申請数と認定数は年々増加しており、各企業の健康増進への意識が高まっていることを表しています。
中小企業法人部門
認定数(件) | |
---|---|
2022年度 | 12,255 |
2023年度 | 14,012 |
2024年度 | 16,733 |
大規模法人部門
認定数(件) | |
---|---|
2022年度 | 2,299 |
2023年度 | 2,676 |
2024年度 | 2,988 |
健康経営優良法人の実態
ここでは、健康経営優良法人の実態について説明します。
ホワイト500・ブライト500とは
認定基準における「ホワイト500」「ブライト500」とはどのようなものか解説します。ホワイト500とは、大規模法人部門において認定された上位500社に与えられる称号です。一方、ブライト500とは、中小規模法人部門の上位500社に与えられる称号です。どちらも、健康経営に取り組んでいる法人のなかでも、特に優良な施策を実施している法人が選ばれます。経済産業省が認定する制度で一定の信頼感があるため、就活生が参考にする指標として十分に役立ち、企業イメージアップにつながっています。
虚偽申告した場合
仮に健康経営優良法人の認定基準を満たさない企業が虚偽申告をした場合どうなるのでしょうか。
虚偽申告は、虚偽が発覚した時点で認定返納が求められます。返納指示に従わず2週間が経過すると、強制的に認定取り消しとなり、その企業は、返納した次の年まで申請が認められません。今までの虚偽申告の例として、内部告発で返納に至った企業があります。
虚偽申告は企業の大きなイメージダウンとなるため、避けましょう。
健康経営優良法人の認定は当社にお任せください
健康経営優良法人に認定されることで企業にどのような影響があるのか、くわしく説明してきました。従業員の健康を保持増進し、企業の売上や利益向上につなげるため、どの企業も健康経営優良法人を目指しています。健康経営を実施する上で成果を出すには、それぞれの企業が自社の課題を正確に捉え、長期的なスパンで取り組む姿勢が必要です。従業員の健康をしっかりと守っていくため、企業の大きな発展へつなげるためにも、健康経営を積極的に実践し、健康経営優良法人を目指しましょう。
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