コールセンターの生産性を向上させるには?|方法や評価のための指標も
コールセンターでは、人員の配置や働き方によっては、生産性が低く業務に対応できないことがあります。
今回の記事では、生産性を向上させる方法や生産性を評価する指標とその手順などについて解説します。
目次
- コールセンターにおける生産性の課題
- 電話設備が少ない
- 電話応対以外の業務が多い
- スタッフの配置が適切でない
- スタッフ間で情報共有ができていない
- コールセンターの生産性を向上させる方法
- 人員配置を見直す
- 休憩制度を整備する
- 教育制度を整備する
- チャットボットを導入する
- 生産性を評価する指標(KPI)
- AHT(Average Handling Time)
- ATT(Average Talk Time)
- ACW(After Call Work)
- CPC(Cost Per Call)
- CPH(Call Per Hour)
- 生産性を向上させるための手順
- ①現状から課題を見つける
- ②目標を設定する
- ③施策を実行する
- ④効果を測定する
- 生産性・応対品質の向上なら当社へご相談を
コールセンターにおける生産性の課題
コールセンターの生産性が低くなる要因には、さまざまなものがあります。
ここでは、コールセンターの生産性が低くなる原因として考えられるものについて4つ紹介します。
電話設備が少ない
設置されている電話機が少ないと、コールセンターで受けられる業務の数は減ります。
オペレーター1人あたりの電話の応対件数が少なくなると、オペレーターの経験不足にもつながるでしょう。
解決するためには、母数となる電話機の架電本数や受電本数を底上げする必要があります。
生産性を向上させたいときは、コールセンターの問い合わせ件数と電話設備のバランスが適切かを確認しましょう。
その後、分析結果によって、必要に応じてシステムの導入を検討しなくてはなりません。
電話応対以外の業務が多い
コールセンターの業務には電話応対のほかに、内容の記録や次の電話への準備などの事務作業も含まれます。
スタッフが事務作業に追われる状態が長く続くと、電話を受ける時間が無くなり、生産性の低下につながります。
事務作業に時間がかかる要因は、入力スキルの不足です。
事務作業を原因とする生産性の低さを改善したい場合は、事務作業についてマニュアルを作ったり、教育の場を設けたりするとよいでしょう。
スタッフの配置が適切でない
コールセンターには、さまざまな内容の電話がかかります。
なかには複雑な質問やクレームなど、対応にある程度の知識が必要なものもあるでしょう。
豊富な知識を持つ人員がセンターに配置されていない場合、生産性が低下している可能性があります。
特にクレーム対応には、迅速に適切な応対ができるスタッフを配置する必要があります。
また、応対の不備や電話のたらいまわしは顧客の不満にもつながるため、適切なスタッフに迅速に電話をつなぐことが重要です。
スタッフ間で情報共有ができていない
コールセンターのスタッフ間で情報共有が不十分だと、生産性の低下につながります。
スタッフ間で情報共有ができない理由としては、情報の管理場所や管理方法が決まっていなかったり、情報を検索しにくい環境になっていたりすることが原因です。
情報共有ができていないと、確認のために顧客を待たせたり、情報の伝達ミスによって誤った案内をしたりする可能性があります。
改善のためには、情報管理について場所や方法を見直し、情報を検索できるシステムの導入が有効です。
コールセンターの生産性を向上させる方法
コールセンターの生産性を改善する方法は、生産性が低い原因によってさまざまです。
ここからは、コールセンターの生産性を向上させるために有効な方法を4つ紹介します。
改善の参考にしましょう。
>>コールセンターにおけるテレワーク化の可能性と課題について解説
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人員配置を見直す
コールセンターの生産性が低い原因には、人員配置が適切ではない可能性が考えられます。
オペレーターのスキルを詳細に把握し、それぞれの能力に応じた配置を心掛けましょう。
また、個人の能力だけではなく、時間帯や曜日、季節など、条件ごとに変動する問い合わせ件数に応じた配置を心掛けることも重要です。
顧客からの問い合わせの内容に対して、適切なスキルを持つオペレーターが対応できれば、顧客満足度の向上につながります。
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休憩制度を整備する
適切な配置をしているのにオペレーターの対応の質が落ちる場合は、労働環境に問題がある場合もあります。
優秀なスキルを持ったオペレーターでも、長時間休みなく稼働し続けると、集中力が下がり応対の品質も下がることがあります。
オペレーターには交代で休憩させ、常に高品質の応対ができるように管理しましょう。
昼休憩のほか、数時間に1回10分程度の小休憩をとることがおすすめです。
教育制度を整備する
事務仕事に追われて生産性が落ちる場合は、スタッフに事務仕事をこなすためのスキルが身についていない可能性があります。
スタッフの業務効率を高めるためには、業務マニュアルや企業内FAQの作成がおすすめです。
また、オペレーターの離職率は高く、短いスパンで人が入れ替わる環境であることが多いといえます。
そのため、コールセンターにおいて新人教育の充実化は非常に重要です。
新しいスタッフが効率的に作業ができる環境作りを意識しましょう。
チャットボットを導入する
近年コールセンター業務の効率化のために増えているものが、チャットボットです。
チャットボットとは、相手の問いかけにわせて適切な応答を返すシステムのことです。
チャットボットを導入すると、顧客からよく寄せられる質問に対して決まった回答を返せます。
コール業務の応対記録や、自動返答機能などを備えた業務効率化システムの役割も持つため、導入すればコールセンター全体の労働環境の改善につながるでしょう。
>>チャットボット導入により、お問い合わせへの応対率が向上。メール・電話・有人チャットによる人的コストを5割削減
生産性を評価する指標(KPI)
生産性を評価する指標(KPI)には、さまざまな種類があります。
ここでは、KPIの種類と、それぞれが示す情報の内容について紹介します。
生産性を評価したいときの参考にしましょう。
AHT(Average Handling Time)
AHTは、「Average Handling Time」の頭文字をとったものです。
オペレーターが問い合わせを処理するときにかかる時間の平均を指します。
各オペレーターの能力だけではなくコールセンター全体でのサービスレベルも測れる指標です。
AHTを改善する際は、スキルの向上やシステムの導入などでの業務効率化が必要です。
AHTは、以下の式によって計算されます。
(総通話時間 +総後処理時間 ) ÷ 総処理件数
ATT(Average Talk Time)
ATTは、「Average Talk Time」の頭文字をとったものです。
オペレーターが顧客と通話した時間の平均を指します。
先に紹介したAHTの算出にも用いられる数値です。
一般的に、ATTの数値は、低いほうがコールセンターの生産性が高い状態だとされます。
改善する際は、通話時間を短くするだけではなく品質を下げないことが重要です。
ATTは、以下の式によって計算されます。
総通話時間 ÷ 総処理件数
ACW(After Call Work)
ACWは、「After Call Work」の頭文字をとったものです。
顧客との通話が終わってからおこなう応対記録入力やVOC(Voice of Customer)記録、依頼内容に応じた手続きなどにかかる平均処理時間を指します。
一般的に、ACWの数値は、低いほうがコールセンターの生産性が高い状態だとされます。
改善するときは、個人単位ではなくセンター全体で業務改善を図ると効果的です。
ACTは、以下の式によって計算されます。
総後処理時間 ÷ 総処理件数
CPC(Cost Per Call)
CPCとは、「Cost Per Call」の頭文字をとったものです。
電話業務をおこなう上で、1コールにかかる人件費や通信費などの費用を指します。
CPCの数値は、低いほうがコールセンターの生産性が高い状態だとされます。
数値を改善するときは、費用削減に取り組むことはもちろん、その分応対品質を下げないように対応する必要があるでしょう。
CPCは、以下の式によって計算されます。
コールセンター全体のコスト÷コールの処理件数
CPH(Call Per Hour)
CPHとは、「Call Per Hour」の頭文字をとったものです。
オペレーター個人が、1時間あたりに受信したコールの数を指します。
CPHの数値は、高いほうがコールセンターの生産性が高い状態だとされます。
コールセンターでは1つでも多くの電話に対応することが求められるため、改善する際は個人単位ではなくセンター全体での変化が必要です。
改善時は、応対数が少なくなる原因についての特定が重要だといえます。
CPHは、以下の式によって計算されます。
応対件数÷稼働時間
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生産性を向上させるための手順
コールセンターの生産性を向上させるには、いきなり改善に取り組むのではなく、いくつかの段階を踏んで原因を特定することが重要です。
ここからは、コールセンターの生産性を改善するための手順について紹介します。
①現状から課題を見つける
生産性を向上させるには、なぜ今の現場で生産性が低下しているのかを特定することが必要です。
スタッフから現在の労働環境について聞き取り、現場で困っていることや業務の足かせになっていることを洗い出し、可視化しましょう。
現場のスタッフからのヒアリングのほか、オペレーターの稼働状況や使っているシステムの確認なども重要です。
改善すべき点が見つかれば、そこを中心に環境を変えるようにしましょう。
②目標を設定する
生産性が低下している原因を特定できたら、その課題を踏まえ、施策を導入する目的・目標(KPI)などを設定しましょう。
このとき確認すべきことは、改善を急ぐあまり無理な目標を立てていないかということです。
無理な目標設定をすると、いつまでたっても目標が達成できず、現場のモチベーション低下につながる可能性があります。
目標数値の設定方法が誤っていないかも、この段階で確認しましょう。
③施策を実行する
適切な目的・目標を設定できたら、施策を実行します。
複数の施策を実施する場合は、時期をずらして1つずつ確実に目標を達成しましょう。
多数の目標を同時に設定して達成させようとすると、現場スタッフの混乱を招く可能性があります。
生産性向上のためにおこなわれる施策は、費用や余分な工程を削減する・業務規模の拡大・KPIの改善など、課題によってさまざまです。
だらだらと長期間続けるよりも、期間を決めておこなったほうが効果的だといえます。
④効果を測定する
設定した期間が過ぎたら、施策実行前と比較して効果を測定しましょう。
長期にわたって施策をする場合でも、定期的な効果測定が重要です。
適切なKPIデータを収集し、モニタリングして施策にどの程度の効果があったのかを測定します。
また、応対のスピードを優先したことで、応対品質が落ちていないか、顧客満足度が低下していないかなども、あわせて確認する必要があります。
生産性と業務の質が両立できるコールセンターを目指しましょう。
生産性・応対品質の向上なら当社へご相談を
NTMでは、電話やメール、チャットなどさまざまな方法で顧客とやり取りをするコンタクトセンターサービスを提供しています。
NTMでは、サービスの質のばらつきをなくし、均一化する取り組みをおこなっています。
これによって作られる品質の土台を「NTM品質」と呼んでいます。
応対の品質が基準を満たしているかを定点観測し、社内で結果を共有することで品質の維持に取り組んでいます。
電話応対を円滑に進めたいときは、NTMのご利用をぜひご検討ください。