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健康経営優良法人とは? 認定基準や認定までの流れをわかりやすく解説

2024.08.16
  • コンタクトセンター

健康経営優良法人とは、経済産業省主導でスタートした「健康経営優良法人認定制度」により認定された資格です。この資格は、経営戦略として従業員の健康増進に積極的に取り組む事業者に与えられます。この資格に認定され、それを維持することで企業も従業員も共にさまざまなメリットが得られます。以下で、健康経営優良法人についてくわしく解説します。


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健康経営優良法人の認定制度とは

経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」は、健康経営に取り組む企業を対象に、2017年度にスタートした制度です。
認定団体である日本健康会議によって認定された法人は、2021年度大規模法人部門で1,794法人、中小企業法人部門で7,933法人に上っています。
大規模法人の上位法人はホワイト500、中小規模法人の上位はブライト500として認定されます。認定法人にはロゴマークの使用が認められ、自治体、金融機関によるさまざまなインセンティブが得られるのです。

参考:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康管理を企業が経営課題と考えて積極的に改善に取り組むことです。前述のように、この制度は経済産業省により推進されています。
従業員の健康を経営的な視点から捉え、戦略的に実施することで、生産性や収益性を向上させ、医療費が削減できるなどさまざまな効果が期待できます。

企業の利益追求と、働く人の心身の健康の維持を両立することで企業活力が高まり、かつ従業員個人の生活の質も向上します。これにより、お互いにとっての利益につながるのです。

参考:健康経営(METI/経済産業省))

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健康経営優良法人の認定基準

健康経営優良法人として認定を受けるためには、策定された基準を満たす必要があります。しかも基準は毎年アップデートされ、より実効性の高いものへ更新されているのです。
大規模法人部門、中小企業法人部門のそれぞれの要件について解説します。

大規模法人部門と中小規模法人部門の2種類

健康経営優良法人には、大企業を対象とする「大規模法人部門」、中小企業を対象とする「中小規模法人部門」の2部門があります。
一般企業以外でも弁護士法人や特定NPO、医療法人、社会福祉法人などさまざまな組織において取得可能です。
どちらの部門で申請するかは、従業員数と資本金額による基準があり、業種によっても異なります。
例えば、製造業であれば大規模企業は従業員数301人以上、資本金3億円以上ですが、サービス業では従業員数101人以上、資本金5,000万円以上が大規模企業です。

大規模法人部門の認定要件

健康経営優良法人の認定には、5つのジャンルで基準を満たす必要があります。
経営理念・方針、組織体制、制度・施策実行、評価・改善、法令遵守・リスクマネジメントの5つです。
経営者には健康宣言の発信や健康経営の普及への取り組みが求められます。
組織では、健康経営を担当する役員の設置や産業医、保険医による関与、保険者との連携、定期検診やストレスチェックの実施などが要件です。
上位の認証にあたる「ホワイト500」認証では、従業員のパフォーマンス指標や測定方法の開示も必要とされます。

中小規模法人部門の認定要件

中小規模法人部門でも、経営理念・方針、組織体制、制度・施策実行、評価・改善、法令遵守・リスクマネジメントの5つのジャンルは共通です。ただ、細かい項目の内容には違いがあります。
経営者は健康宣言の発信と経営者自身の健康診断が求められます。
組織は、担当者の設置や健康診断のデータの提供、健康経営のための具体的な計画や受動喫煙対策、取り組みへの評価と改善、定期健診やストレスチェックの実施、労働法違反がないことなどが求められます。

認定されるまでの手順

健康経営優良法人の認定の流れについて解説します。
認定は年度単位で行われます。例年7月ごろに申請の詳細が公表され、8月から10月中旬が申請期間です。
大規模法人部門と中小規模法人部門では若干手順に違いがあります。

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健康宣言事業に参加する

中小規模法人部門の申請に必要な手順です。
まず、協会けんぽや健康保険組合連合会、国保組合など、企業の加入している保険者か、自治体の行っている健康宣言事業に参加します。
参加方法は加入保険者に連絡して確認しましょう。

加入保険者も自治体も健康宣言事業を行っていない場合は、自社独自の健康宣言を発表し、健康宣言事業を進めることで代替できます。
こうした健康宣言事業への参加は、保険者あるいは自治体との連携、あるいは協力して健康経営を行っていくことが目的です。

健康経営に取り組む

健康宣言事業に参加したら、自らも健康経営に取り組みます。大規模法人も、健康経営優良法人を目指すことが決まった段階から、健康診断や保険指導などの自社での活動に取り掛かりましょう。
前述した認定基準に沿った取り組みを実施するのが原則ですが、基準を満たすための取り組みではなく、正しい制度理解の上で従業員の健康や組織の活性化につながることを目的とした活動にすることが、認定につながる取り組みです。

申請時期以前から取り組み、活動の評価基準や改善策、フィードバックなどの記録を残しておくと、申請時に強くアピールできます。

申請書に記入をして申請をする

例年、健康経営優良法人認定への申請期間は8月末ごろから10月中旬にかけてです。
初めて申請する際にはIDの発行手続きが必要です。
スケジュールは今後も同様である可能性が高いため、申請する際は同時期に申請スケジュールや方法を確認しましょう。
申請では、ダウンロードした申請表をもとに、健康経営度調査に回答します。その際、「認定基準適合書&申請にあたって保存すべき資料」を確認して、認定基準に適合しているかを判断できます。
回答したファイルは公式サイトからアップロードして提出が可能です。

認定申請料を支払う

申請すると、申請書に記載した方法、メールもしくは郵送で請求書が送付されます。
請求書に記された指示に従って、期限までに認定申請料を支払います。
認定申請料は、大規模法人で税込88,000円、中小規模法人は税込16,500円です。
グループ会社で申請する場合は、同時認定の対象となる合算1法人あたりにも税込16,500円が必要です。
料金の請求書は例年11月上旬ごろに届きます。12月末までには支払うようにしましょう。

健康経営優良法人に認定される

申請すると、例年、翌年の3月に認定法人が発表されます。
認定は、日本健康会議によって行われ、申請書が定められた要件を満たしていれば認定が下されます。上位の認定資格である「ホワイト500」「ブライト500」の認定の発表もこのタイミングです。
なお、認定期間は1年であり、一度通過しても認定を維持するためには毎年申請を行わなければなりません。電子申請が可能なため負担は比較的軽いものの、認定要件は毎年変更の可能性があるため、時勢に合った健康経営を心掛けましょう。

フィードバックシートが送られてくる

健康経営フィードバックシートは、申請に必要な健康経営度調査へ回答した企業に対して送付されるシートです。
シートには、その企業の健康経営の実践レベルなどを分析した評価結果が記されています。
このフィードバックシートによって、健康経営についての課題や「健康経営の実践において何を重視すべきか」「何から始めるのか」といった点がクリアになる点がメリットです。
毎年の申請における修正、改善の方向性の指標ともなります。

健康経営優良法人に認定されるメリット

健康経営優良法人への認可は、企業側に多くのメリットをもたらします。
本来認定の趣旨が企業の功利性と従業員の健康の維持を並立させることを目的としていることもあり、実効的なインセンティブが設定されています。

金利の優遇や助成金の利用ができる

国や自治体は、健康経営優良法人に対しさまざまなインセンティブとしてさまざまな助成金を設置しています。
「業務改善助成金」や「受動喫煙対策助成金」など項目ごとに活用できる助成金もあり、特に中小企業にとっては魅力的なインセンティブです。
さらに、自治体や金融機関は健康経営優良法人や健康経営に取り組む企業向けに融資や減免措置も設置しており、貸付利率の引き下げ、特別利率での貸付や補償料の減額、免除といった優遇制度を利用できます。

参考:健康経営優良法人認定制度について、働き方改革推進支援資金|日本政策金融公庫

採用活動で有利に働く

健康経営優良法人の取得メリットは、人事、採用の方面にもあります。
働き方改革が提唱される中で、従業員の健康確保に積極的な企業は、いわゆるホワイト企業の証明として認知されるのです。

現代の学生や求職者は給与や人間関係に加え、働きやすさや複利構成、自身の健康面も重視しています。健康経営に積極的な企業は人材を大切にする企業として認識され、好意的に評価されます。
こうした評価が、優秀な人材確保につながるのです。

株価や社会的信用によい影響を与える

健康経営優良法人の取得は、「戦略的に健康経営を行い、積極的に従業員の健康管理をしている企業」として社会的に高い評価を受けます。
また、従業員の健康の向上は業績の向上にもつながるポイントです。
健康経営を前面に打ち出し、産業医や保険医、投資家などから構成されている基準検討委員会により認定基準を確認し、実施している点が、医療者や保険者、投資家からの評価の証拠となるのです。
これにより株価の上昇といった現実的なメリットも見込めます。

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健康経営優良法人の取り組み例

健康経営優良法人の取り組みは、それぞれの企業が自社の状況や働き方、企業方針に合わせて行われています。認定に必要な要件を満たしつつ、自社に合致した取り組みが行われているのです。
健康経営優良法人を実際に取得している企業の取り組みの例をご紹介します。

従業員間のコミュニケーションが活発化

ある企業は、経営規模の拡大に伴い従業員の離職や休職の増加という課題をもっていました。
そこで健康経営に取り組み、トレーニングエリアの自由開放やスタンディングデスクの導入、個別アンケートを実施し評価する取り組みを、PCDAサイクルにのっとって実施しました。
その結果、従業員の運動量改善が見られた上、健康経営の担当を起点として従業員同士のコミュニケーションが活性化し、従業員が不満や疑問点を言いやすい環境が生まれたのです。これが離職率の低下という当初の課題の改善にもつながりました。

高齢化傾向の従業員をサポート

ある介護施設では、従業員の高齢化が進み、多くの従業員が腰痛や身体の痛みを抱えていました。そこで、健康経営の取り組みを開始し、施設利用者とともにラジオ体操やリハビリ体操を実施しました。また、自宅でできる運動について理学療法士から意見を取り入れ、プリントを配布し実施を促しました。
評価にはアンケートや1対1の面談を行ったことで、従業員の不安や不満を引き出し、改善につなげました。
その結果、従業員の健康意識を高め、長く働ける職場の実現に向けて進められたのです。

健康増進アプリを導入して健康意識を向上

ある飲食サービス企業は、社長が健康経営と従業員の健康管理の重要性に賛同したことをきっかけに健康増進アプリを導入しました。
従業員に頒布後、担当者がショルダートゥショルダーで登録方法を共有、さらに従業員を少人数にチーム分けして増進アプリにおけるウォーキングラリーへの参加を促すなどの施策を行いました。
その結果、登録従業員数は80%に達し、ラリーの継続率も高まりました。データを昨年度と比較することで取り組みの評価基準ができ、従業員の健康意識を高めることに成功したのです。

AIなど最新技術で健康経営優良法人を目指そう

最近では、健康診断のデータをもとにAIが生活習慣病のリスクを個々に高精度予測し、健康リスクを「見える化」するサービスも登場しています。
DX化とあわせて、自社の健康経営を目指してみてはいかがでしょうか。

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