食品倉庫とは? 種類やメリット、選び方|AI・IoTなどの最新動向も
食品倉庫の定義や種類、食品倉庫をアウトソーシングするメリットについて解説します。食品の自社管理に限界を感じている担当者さまは、ぜひ最後までごらんください。
目次
食品倉庫とは
食品倉庫とは、食品の管理に特化している倉庫を指します。在庫や必要なものをストックします。
食品を保管する場合、環境や温度設定が重要です。食品の品質を維持するために、食品専門の倉庫を使用する企業が多く見られます。
温度や保管する環境は法律で厳密に定められています。事前に確認しましょう。
【温度別】食品倉庫の種類
食品倉庫は、温度別に「定温倉庫」「冷蔵倉庫」「冷凍倉庫」に分けられます。それぞれ設定温度や環境が異なり、扱える商品にも違いがあります。
定温倉庫|+10℃~+20℃
定温倉庫とは、倉庫内の温度を一定に保つことで、食品の品質を保持する倉庫です。
気温や湿度の変化で品質の変化が起こる食品の保管に適しています。定温倉庫の温度は、一般的に「10℃~20℃」の範囲で設定されます。ただし、この温度は保管する食品によって変わるでしょう。
定温倉庫で保管される食品の例は以下のとおりです。
・生鮮食品
・ワイン
・日本酒
・菓子類
温度が鮮度に大きな影響を与えるような食品は、定温倉庫で保管されます。
冷蔵倉庫|+10℃以下
冷蔵倉庫は、倉庫内の温度が0℃〜+10℃以下に管理された倉庫です。
倉庫は、保管温度によってランクに分けられています。そのうち、以下のC級に分類される倉庫が冷蔵倉庫です。
・C3級:+10℃以下~-2℃未満
・C2級:-2℃以下~-10℃未満
・C1級:-10℃以下~-20℃未満
定温倉庫と比べて温度が低く、保管期間が短い食品に向いています。
・野菜
・果物
・肉類
・乳製品
・加工食品
主に、上記の食品の保管に利用されます。
冷凍倉庫|-20℃以下
冷凍倉庫は、倉庫におけるランクのうち、以下の「F級」にあたる倉庫です。
・F1級:-20℃以下~-30℃未満
・F2級:-30℃以下~-40℃未満
・F3級:-40℃以下~-50℃未満
・F4級:-50℃以下
定温や冷蔵倉庫では品質が劣化する食品も、-20℃以下での冷凍保管により長期保存が可能です。また、鮮度も維持できます。
冷凍保管に使われる食品は以下のとおりです。
・冷凍食品
・アイス
・肉類
・鮮魚
食品倉庫には法令の確認が必須
食品倉庫の運営には、さまざまな法令遵守が求められます。主な法令は以下のとおりです。
・倉庫業法
・建築基準法
・消防法
・食品衛生法
・高圧ガス保安法
・電気事業法
・関税法
また、倉庫の建築に関連する法律だけでなく、食品に関係する法律の確認も必要です。
2018年には食品衛生法が改正され、食品関連事業者に対しHACCPを用いた衛生管理が求められるようになりました。
食品倉庫の建設を考える企業は、これらの法律を確認したうえで建設しなければなりません。
商品数や商品の適切温度によっては、事業拡大や新規事業への立ち上げにハードルを感じることもあります。
食品倉庫に求められる機能
食品倉庫に求められる機能は主に5つです。商品をもっともよい状態で顧客へ届けるために、必要不可欠な機能です。それぞれについてくわしく紹介します。
厳正な温度管理
食品管理には、厳密な温度管理が欠かせません。通常の倉庫管理とは異なり、食品に合わせた厳密な温度管理が求められます。
管理する温度を間違えると、「品質が下がる」「腐敗する」などの問題が起こりかねません。倉庫管理において、食品の鮮度を維持することと品質を劣化させないことは大前提です。
取り扱っている食品数が多い場合、冷蔵や冷凍倉庫など、違う種類の倉庫が必要となります。
徹底した在庫管理
食品は、管理する温度や食品ごとに消費期限が異なります。商品の期限管理は徹底しましょう。
期限が近いものから出荷して届ける「先入れ先出し」の工夫が必要です。ロスの削減につながります。
ただし、消費期限の切れた商品を出荷すると、販売したメーカーの信用問題に関わります。メーカーの信用問題喪失や商品の自主回収などに陥らないよう、徹底した管理が求められるでしょう。
ECサイトからの受注〜発送までの対応
商品をECサイトから受注する場合、対応や発送までの準備が必要です。
ECサイトの対応範囲は、倉庫の管理業者によって異なります。たとえば、受注管理を自社でして、倉庫の在庫確認や配送は倉庫の管理会社に依頼する方法があります。自社と倉庫の管理会社で綿密なコミュニケーションが求められるでしょう。
倉庫内の食品管理やECサイトからの受注対応などをまとめて任せたいときは、フルフィルメントサービスがおすすめです。
安全性に配慮した衛生管理
食品管理において、衛生管理は欠かせません。
倉庫内では、異物混入の防止対策を徹底します。ほこりや髪の毛などの異物が入らないように、倉庫内での服装や管理体制を整えましょう。エアシャワーの設置や、虫・ねずみの侵入対策などの実施で、異物の混入を防げます。
また、誰かが故意に異物を混入させないために、監視カメラの常設も求められます。関係者以外を外部から侵入させないために、日頃からの管理が重要です。
必要な設備の設置
必要な設備は、取り扱う食品の種類に応じて変わります。たとえば、温度を均一に保ったまま出荷したい場合、ドックシェルターやエアカーテンを設置します。扉の開閉が多い倉庫内は、品質を一定に保てるような努力が必要です。
求められる設備は出荷方法や倉庫の規模などによって異なるため、あらかじめ確認しましょう。
他にも、災害や停電が起こった際に活用できる非常用電源も重要です。いかなる状況でも食品を適切に管理できる準備をしましょう。
食品倉庫をアウトソーシングするメリット
食品を自社内の倉庫で管理できない場合、アウトソーシングがおすすめです。食品倉庫をアウトソーシングすると、3つのメリットが得られます。
品質の保持
専用の倉庫で食品を管理すると、品質が保持できます。
食品は、温度管理が不適切だと劣化が早まります。適切な温度で管理すれば、どの商品も同じ状態で出荷できるでしょう。
食品倉庫に特化している業者にアウトソーシングすると、品質に関する問題が解消されます。
ただし、取り扱っている倉庫の温度設定や広さは業者によって異なるため、確認しましょう。
廃棄ロスの削減
食品は廃棄ロスが起こりやすい商品です。適切な環境で保管をしないと、注文がキャンセルになったときに廃棄の可能性が高まります。
冷蔵や冷凍が必要な食品を適切な倉庫で保管すれば、キャンセルが出ても品質を下げずに保管し続けられます。「先入れ先出し」の手順を守って食品を出荷すると、廃棄ロスを削減しつつ、過剰在庫の解消もできるでしょう。
人手不足の解消
倉庫の管理には人手が必要です。特に、食品は消費期限のチェックをして、在庫管理や発注作業、ECサイトの受注発送作業もしなければなりません。品質維持や消費期限は毎日点検が必須であり、時間と労力が求められます。人手不足の企業は、自社社員で賄い切れないでしょう。
倉庫管理全体をアウトソーシングすれば、自社社員を他の業務に回せます。食品管理は業者に任せて、自社社員が他のコア業務に専念できる環境を作りましょう。
食品倉庫の選び方
食品倉庫をアウトソーシングする場合、どのように倉庫を選べばよいでしょうか。選ぶときのポイントを3つ紹介します。
倉庫のバリエーション|立地・広さ・種類
倉庫がある場所や倉庫内の広さは重要なポイントです。自社商品を管理できる広さが十分にあることを確認しましょう。
また、定温倉庫・冷蔵倉庫・冷凍倉庫のどれを扱っているかも確認します。たとえば、常温倉庫しかない場合は冷蔵や冷凍食品の管理はできません。
そのほか、すでに契約している配送先があるときは、倉庫から配送先までの距離や時間の計測をおすすめします。倉庫を借りて不便にならないかどうかの確認が欠かせません。
配送効率・温度管理|AI・IoTなどのシステム・設備
倉庫からの配送効率も調べましょう。倉庫内から商品が出荷されるまでの流れや設備を把握します。現状の倉庫環境よりも配送効率がよくなる倉庫を選びましょう。
たとえば、AI・IoTによる自動検品機能がある倉庫や、AI温度管理システムが導入されている倉庫がおすすめです。先進的な設備を持つ倉庫であれば、効率よく倉庫内の作業が進められるでしょう。
委託できる業務内容|トラブル対応など
倉庫内での作業以外に業務委託できる業務の有無も確認項目です。現状、自社で担当している業務や効率化をしたい業務について、業者に相談してください。
また、配送や商品の品質に関してトラブルが起こった際の対応も事前に確認します。クレーム処理はどちらが担当するか、保証範囲はどこまでかなどは、契約前に明らかにしましょう。
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食品倉庫の種類やメリット、アウトソーシングする際のポイントを解説しました。自社で取り扱う食品の種類や商品数に応じて、適切な倉庫を選びましょう。
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