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【分野別】自治体DXの先行事例12選

2024.07.08

自治体DXは、行政サービスの迅速化や住民満足度の向上を図る取り組みです。各自治体がさまざまな分野でDXを行っており、既に一定の成果を上げているものも少なくありません。
本記事では、自治体DXの先行事例を分野別に紹介します。


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【体制作り】自治体DXの先行事例

体制作りは、自治体DXを成功させ組織全体の変革につながる第一歩です。
ここでは、体制作りに関する自治体DXの先行事例を3つ紹介します。

愛媛県

愛媛県は経済の活性化と防災対策の強化を目的に、自治体DXの体制作りを積極的に推進しています。

同県は2021年4月から、「愛媛県・市町DX推進会議」を発足させました。県と県内の20市町が会議に参加し、デジタル技術で地域課題を解決しようとしています。

具体的な取り組みとして、愛媛県は民間企業と「デジタルトランスフォーメーション推進に関する包括連携協定」を結び、ICT技術を使った県内経済活動の活性化と将来を担う人材の育成を目指しています。

兵庫県神戸市

兵庫県神戸市は2020年から、自治体DXの先駆けとしてスマートシティ実現の体制作りに取り組んでいます。

2022年には市民と企業、行政、研究機関が協力しデータを共有する「KOBEスマートシティ推進コンソーシアム」を設立しました。多様なステークホルダーが参加し、新たな発想や解決策が生まれています。

2024年6月現在、街歩きでポイントがもらえる市のスマートフォンアプリの実証実験が行われています。このアプリを利用した人は、街を散策してポイントを獲得しお得に買い物やサービスを楽しむことが可能です。
市はアプリ利用者が増えると、街の活性化が期待できます。

福井県あわら市

福井県あわら市では、2021年に策定した「DX推進基本計画」に基づきデジタル人材の育成とデジタルの活用を柱としたDXを推進しています。
DX推進員は上司からの任命ではなく意欲のある職員の公募制により採用され、モチベーションの高いメンバーが主体的にDXに取り組む体制が整えられています。

地域防災、地域産業のサービス向上や既存事業の再生などがDXの活用目的です。また、リモート教育や自治体自身のDXなど幅広い分野でDX推進員の活躍が期待されています。

あわら市のDXの取り組みは、限られたリソースでDXを実現しようとする他の地方自治体にとって参考になるでしょう。

【人材確保】自治体DXの先行事例

自治体DXにおける人材確保は、大きな課題です。全国的にデジタル人材は不足しており、地方自治体も例外ではありません。

ここでは、自治体DXで人材確保に取り組む先行事例を紹介します。

島根県江津市

島根県江津市では、次の3つの分野でDX改革を目指しています。

・市民サービスの向上
・業務プロセスの効率化
・職員のITスキル向上

これらを達成するために、職員のITスキルを向上させ組織全体のデジタル化を図る取り組みを行っています。

同市は2022年度にスマートシティ推進構想アクションプランの一環として、「全職員のITパスポートの取得」を目標に掲げました。月2回のペースでITパスポートの勉強会を開催し、受験料は市が全額負担することで職員の積極的な資格取得を後押ししています。

職員全体のITリテラシーを向上させ組織全体でDXを推進する土台を築く取り組みは、他の自治体でも参考にできるモデルです。

愛知県

愛知県では県職員のデジタルスキル向上と中小企業への支援を通じて、地域全体のデジタル化を促進しています。

2021年から「愛知県職員 デジタル人材育成計画」を実施し、県職員のデジタルスキル向上を目指しています。DX推進に必要な人材を次の5つの役割に分類し、それぞれに必要なスキルを体系化して研修を実施してきました。
5つの役割とは、以下の通りです。

・DX推進マネージャー
・DX推進リーダー
・DX推進デザイナー
・デジタル導入担当者
・デジタルアドバイザー

さらに、2022年からは中小企業向けの「あいちデジタル人材育成支援 アクションプラン」を策定しました。中小企業のデジタル人材の育成サポートを通して、地域全体のDXを推進しています。

人材確保は、自治体DXの成功の鍵です。県職員と中小企業の両面からデジタル人材の育成に取り組む事例は、参考になるでしょう。

山形県長井市

山形県長井市は、2020年にデジタル推進室を設立し、地方創生人材支援制度を活用して民間から非常勤のデジタル推進室長を登用しました。デジタル推進室には室長の他に専任職員が4名、各部門から10名の若手職員が兼務職員として参加しています。

室長を含む職員の取り組みを通じて、各部門との連携を通じたデジタル化の促進、市の職員のデジタルリテラシー向上が期待されています。

具体的な市のプロジェクトとして、スマートフォンを持っていなくても利用できる地域の電子マネーの導入や、店員不在でQRコードを利用して買い物ができるスマートストアの展開を実現しました。

【窓口の改革】自治体DXの先行事例

自治体DXにおける窓口改革は、住民サービスの向上や行政の効率化につながります。
ここでは、窓口の改革に先行して取り組んでいる地方自治体の例を紹介します。

北海道北見市

北海道北見市は長年にわたる自治体DXへの取り組みによって、窓口業務の抜本的な改革を成し遂げました。

北見市は2009年に窓口業務を改善、2016年には窓口支援システムの運用を開始。2020年には戸籍住民課業務を再編し、専門の窓口課を新設して書かないワンストップ窓口を始めました。書かないワンストップ窓口ではデジタル技術を利用し、住民と職員が共に手続きを進めることで、迅速で簡単にサインだけで完了します。

ライフイベントに伴う手続きも、ワンストップでの対応が可能になりました。たとえば手続きが煩雑といわれる家族が逝去したときの手続きも、予約なしでまとめて受付してもらえるようになりました。

北見市は書かないワンストップ窓口導入手順書を公開し、他の地方自治体でも導入が検討されています。

東京都三鷹市

東京都三鷹市では2022年より市役所本庁舎にセミセルフレジを導入し、キャッシュレス決済での窓口業務の改革に取り組んでいます。

この取り組みで市政窓口における各種証明書の交付や手数料の支払いを、住民がセミセルフレジで行えるようになりました。セミセルフレジは、24種類のキャッシュレス決済に対応しています。

セミセルフレジとキャッシュレス決済を提供したことによって、次のような成果が得られました。

・混雑の解消:セミセルフレジ導入で窓口業務にかかる時間が短縮され、住民の待ち時間が大幅に減少。
・感染症対策:対面による感染リスクを軽減。
・市民満足度の向上:住民票の写しや印鑑登録証明書などの交付手数料をキャッシュレス決済に対応にしたことによる利便性の向上。
・窓口業務の効率化: キャッシュレス導入によって職員の現金処理業務の負担軽減。

東京都三鷹市の事例は、行政手続きの利便性と感染症対策を両立させた自治体DXの取り組みといえるでしょう。

熊本県熊本市

熊本県熊本市ではデジタル技術を活用した先進的な取り組みとして、2020年から2年間かけてQRコードとRPA技術を組み合わせた届出ナビシステムを導入しています。RPAとはロボティック・プロセス・オートメーションのことで、定型的な業務をソフトウェアロボットによって自動化することです。

届出ナビシステムではマイナンバーカードをスキャンすることで、一部の基本情報を自動入力できるようになりました。その他関連する手続きについてもシステムが自動で案内を行い、市民がスムーズにすべてを完了できるようサポートしています。

同市の取り組みは行政サービスの質を向上させるとともに、市民の手続きにかかる時間と労力の削減につながりました。

【システムの改革】自治体DXの先行事例

地方自治体の旧来のシステムは手作業が多く、業務の非効率化や住民サービスの低下の原因となっています。
ここでは、いち早くシステムの改革に取り組んだ地方自治体の事例を紹介します。

東京都豊島区

東京都豊島区は自治体DXの一環として、対面の区民相談に代わり2021年からオンラインビデオ通話を利用した相談事業を開始しました。このサービスでは司法書士や土地家屋調査士などの専門家による相談に加え、ひきこもりに関する相談窓口も設けられています。

パソコンやスマートフォンからビデオ通話で簡単に相談でき、区民は自宅にいながら専門家のアドバイスを受けられるようになりました。

自治体DXを推進し、さまざまな事情で対面相談が難しい状況でも困っている人が適切なサポートを得られるようになった点が評価されています。

千葉県千葉市

千葉県千葉市では、2021年からLINEやメールで各種手当の受給や健康診査の対象になる可能性がある市民に通知するサービス「ForYou」を開始しました。

従来の郵送や紙媒体での通知では、市民が必要な情報を受け取るまでに時間がかかりました。デジタル技術を活用することで、迅速に情報を提供できるようになり市民の利便性が大幅に向上しています。
行政側も、通知する業務が軽減し業務の効率化が図れています。

千葉市の事例は住民サービスの向上、行政の効率化、2つの課題を解決した成功事例といえるでしょう。

宮崎県串間市

宮崎県串間市では、2022年から市営の高松キャンプ公園の予約をLINEで行えるシステムを構築しました。同市では運用していたワクチン接種予約の仕組みを応用し、初期費用を抑えてLINE予約システムを導入しています。

LINEでの受付を開始したことで、利用者は24時間好きなタイミングでキャンプ予約ができるようになりました。さらに電話での予約対応にかかる職員の負担が問題視されていましたが、LINEでの受付が自動化されたことでその負担を削減できました。

同市の取り組みは、低予算で効果を上げた自治体DXの成功事例です。

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自治体DXは市民の利便性を高め、職員の業務の効率化にもつながります。成功事例を参考にして、DXの実現を目指している地方自治体の担当者も数多くいらっしゃるでしょう。

一方で通常業務に追われて、自治体DXの導入がスムーズに進まないと悩んでいる担当者もいらっしゃるかもしれません。

自治体DXにお悩みであれば、当社が提供する自治体の業務効率化を支援する公共BPOサービスにご相談ください。経験や技術、知見をいかし、住民サービス向上や職員の働き方改革を実現するサービスを提供します。


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