コールセンターのクレーム対応をサポートするシステムと応対のコツ!
コールセンターでは、お客様との会話が穏やかに済む場合もあれば、クレームをいただいたり、会話がクレームに発展してしまったりする場合もあります。しかし、クレームは理不尽な要求をされるばかりではありません。話に耳を傾けると、企業にとって貴重なご意見をいただけることもあるのです。また、不満を持たれているからこそ、適切な対応をすることで好感を持ってもらいやすいともいえます。
この記事では、クレーム対応について、基本的な手順やコツ、予防策、さらにクレーム対応に役立つシステムを紹介します。
目次
- コールセンターのクレーム対応とは?苦情との違い
- クレーム対応
-
苦情とクレーム対応との違い
- コールセンターのクレーム対応4ステップ
- ①相手の要望を確認し、寄り添い早急に動く
-
➁問題点の正誤チェック
-
➂解決策や代替案を提示
-
④謝罪とお礼を伝える
- コールセンターにおけるクレーム対応のポイント
- オープニングトークとクロージングトークが肝心
- 要求に応えられないときは代替案、提案が難しいときは真摯に断る
- クレーム対応で使える文言をストックしておく
- クレーム対応におけるタブーな言動は慎む
- 俯瞰で見て対応する
- 相手に共感する
-
クレーム対応に集中できる環境で臨む
- 自己解決が難しいときは周りに頼る
- 業務内容と一般常識を定着させておく
- クッション言葉と相づちが大切
- 納得してもらえたらメールでも改めて内容を案内
-
コールセンターでクレーム対応を防ぐためにできること
- クレーム原因の改善
- クレーム対応で使えるコールセンターシステム
- CRM
- 音声録音システム
- PBX/CTI
- まとめ
コールセンターのクレーム対応とは?苦情との違い
初めに、そもそもコールセンターにおけるクレーム対応とはどういったものなのか、またよく聞く「苦情」とクレームとの違いを解説します。
クレーム対応
クレーム対応は、大まかにいえば「相手の要求や主張に対し応対すること」です。
そもそもなぜクレームが発生するのかというと、お客様が企業や商品、サービスに対して何らかの不満を持ったためです。企業や商品、サービスに原因があることもあれば、お客様自身に原因があることもありますし、単なる勘違いや認識のずれからクレームに発展することもあります。
クレームと一言でいっても、その中にはオペレーターを悩ませる悪質なクレームから、商品やサービスの改善・進化につながる前向きなクレームまでさまざまです。
クレームを伝えるお客様の心理も多様です。「不満があるから、謝罪して問題解決してほしい」という怒り、「ここをこうすればもっと良くなるだろう」という親切心、「お金を不当にもらいたい」という邪な考えなど、さまざまな心理からクレームが発生します。
クレーム対応では、そういったお客様の心理と要望を正確に把握し、迅速かつ的確な対応をすることが求められるのです。
苦情とクレーム対応との違い
クレームとよく似た言葉で「苦情」があります。苦情とは、商品やサービスに対して感じた不平不満を告げることです。「ご意見」ともいうことができ、クレームの一歩手前の状態を指します。
順序としては、まずお客様が企業や商品、サービスに何らかの不満を感じ 、企業のオペレーターなどに連絡をし、苦情を述べるでしょう。その時点ですぐに解決できれば、クレームに発展することはありません。しかし、そこで対応できなかったり、対応に手間取ったりすることで、苦情がクレームに発展します。
苦情がクレームになると、「精神的に傷ついたから謝罪してほしい」や「時間を無駄にしたからお金を払ってほしい」など、不満の本質から外れた要求をされることも少なくありません。
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コールセンターのクレーム対応4ステップ
クレーム対応では、迅速かつ的確な対応が求められます。この章では、コールセンターにおけるクレーム対応の手順を4ステップで解説します。
①相手の要望を確認し、寄り添い早急に動く
クレーム対応では、まず相手の要望を確認し、寄り添い、そして迅速に動くことが大切です。
クレーム対応では、暴言も交えた苦言を呈されることも少なくありません。特にクレーム対応経験が浅い方は、焦ったり、戸惑ったりしてしまうでしょう。
しかし、通常の問い合わせと同様に、相手の要望を正確に認識しなければ話が先に進みません。
お客様の気持ちに寄り添い、解決に向けて早急に動き出す姿勢が大事です。
➁問題点の正誤チェック
次に、問題点の正誤チェックをしましょう。
クレームは、必ずしもお客様の言う通りではありません。勘違いから発生したクレームの可能性もあるのです。
お客様の勘違いによって発生したクレームであれば、気持ちに寄り添いつつ、お客様が勘違いをしていることと正しい内容について、オブラートに包みながらゆっくりと伝えましょう。
反対に、クレーム内容が正しいときは、商品やサービス、システムを見直すきっかけとなる貴重なご意見です。今後の改善点として、受け止めなければなりません。
➂解決策や代替案を提示
そして、お客様の話を傾聴した上で、解決策を提示します。
内容によっては、コールセンターのルール上全てのご要望に沿えないこともあるかもしれません。完璧な回答はできなくても代替案を伝え、両者の落としどころをすり合わせていきましょう。
④謝罪とお礼を伝える
最後に、謝罪とお礼を伝えましょう。謝罪とお礼によって、お客様は尊重されていると実感できるからです。
例えば、万が一お客様の勘違いで発生したクレームだった場合、「自分が間違っていたのに他人に怒ってしまった」と後味の悪い思いをさせてしまう可能性があります。しかし、問い合わせの手間をかけてしまったこと自体が申し訳ないことと認識し、謝罪しましょう。
また、勇気を持って連絡をしてくれた部分に感謝し、お互いが気持ち良く終話できるよう心掛けることが大切です。
コールセンターにおけるクレーム対応のポイント
クレーム対応の手順を紹介しましたが、そうはいってもクレーム対応をうまくできる自信が ない方も 多いでしょう。そこで、以下ではうまくこなすポイントを解説します。
・オープニングトークとクロージングトークが肝心
・要求に応えられないときは代替案、提案が難しいときは真摯に断る
・クレーム対応で使える文言をストックしておく
・クレーム対応におけるタブーな言動は慎む
・俯瞰で見て対応する
・相手に共感する
・クレーム対応に集中できる環境で臨む
・自己解決が難しいときは周りに頼る
・業務内容と一般常識を定着させておく
・クッション言葉と相づちが大切
・納得してもらえたらメールでも改めて内容を案内
頭の中でシミュレーションしたり、同僚とロールプレイングしたりして、クレームへの対応力をアップしましょう。
オープニングトークとクロージングトークが肝心
オープニングトークとクロージングトークを大切にしましょう。オペレーターの印象を左右する重要な要素となります。
オープニングの声が小さくマイナスイメージを持たれると、後から良い対応をしても印象が覆らない可能性があります。一方で、「やっと終話できる」と安心しクロージングトークがおざなりになれば、今までの苦労が水の泡になってしまうでしょう。
最初と最後が、クレーム対応では肝心です。
要求に応えられないときは代替案、提案が難しいときは真摯に断る
クレーム対応では、お客様の要求が告げられる場合があります。しかし、コールセンターのルール上、要求に応えられない場合も多いかもしれません。その際は、何か他に代替案がないか模索しましょう。
単純に断られるより誠意が伝わり、納得してくれる可能性が高まります。
代替案も難しく、提案できる内容がない場合も「お力になることができず申し訳ございません 」などクッション言葉を添え、真摯に断る姿勢が大切です。
クレーム対応で使える文言をストックしておく
いざというときのお守り代わりに、クレーム対応で使える文言をストックしておきましょう。
クレーム対応では、お客様が声を荒げたり、心ない言葉を発したりすることも少なくありません。お客様のあまりの剣幕に言葉が詰まれば、「返事がないとはどういうことだ」と余計にヒートアップする恐れもあります。
本で勉強したり、うまい先輩の切り返しフレーズを真似したりして、とっさに発せる文言を用意しておけば心強いでしょう。
クレーム対応におけるタブーな言動は慎む
クレーム対応においてはタブーな言動があります。
例えば、自分ごととして捉えず、担当部署じゃないからわかりませんといったような態度をしてしまうと「この企業に対してかけているのに、内部の事情を知らない人がいる」と不信感を持たれるかもしれません。
オペレーターは、電話に出る以上お客様対応をするプロです。企業の代表として振る舞い、ご不快な思いをさせている点に対して謝罪しましょう。
また、相手の言葉を否定し論破しようとしたり、話をかぶせ続けたりするのもタブーです。お客様が快く思わない言動を繰り返してしまっていては、信頼関係は築けません。傾聴し、向き合う姿勢を常に意識しましょう。
俯瞰で見て対応する
お客様に寄り添いつつも、俯瞰で見て対応しましょう。
クレーム対応では、企業への不満をオペレーター自身への不満と捉えてしまったり、感情移入しすぎたりすることがあります。自分自身が怒られているように感じれば、気持ちが沈むのはいうまでもありません。また、感情移入しすぎてしまえば、ルールを破ってお客様の無理難題を受け入れるような口約束をしてしまう可能性もあります。
俯瞰で見ることで、自分の心を守りながら、冷静な視点で対応できます。
相手に共感する
クレーム対応では、お客様がお怒りになっていたとしても共感することが大切です。
内容を否定すれば反発心を誘発し、クレームがヒートアップしかねません。一方で、相手の発する言葉を復唱し「◯◯ということですね」と受け止め共感すると、「この人は私の話をよく聞いてくれている」と思ってもらいやすくなります。それによって、クレームへの対応を受け入れてもらいやすくなりますし、お客様の不満やお怒りも静まるでしょう。
クレーム対応に集中できる環境で臨む
クレーム対応は、場所にも気を配るとよいでしょう。
周囲が騒がしければ、オペレーター自身も集中しづらいですし、雑音がお客様の耳に届き、別の苦言につながる恐れもあります。
コールセンターのスペースにもよりますが、静かで落ち着いた空間でのクレーム対応がベストです。
自己解決が難しいときは周りに頼る
必ずしも、単独でクレーム対応を完結させる必要はありません。
一人の力には限界があります。周囲に相談すれば、別視点からの解決策がもらえるかもしれません。
対応者を変えたらすんなりクレームが終了した、ということもクレーム対応ではよくあることです。自分一人での対応が難しいと思ったら、保留や折り返しを使って周りに頼りましょう。
業務内容と一般常識を定着させておく
業務内容と一般常識を定着させておくと、お客様の申告に対する返答のバリエーションが増え、より良い対応・提案ができるようになるでしょう。
なぜ一般常識も必要なのか、と思うかもしれませんが、クレーム対応では業務外のことを話す可能性もあります。その際お客様の話を的確に理解し、気持ちに沿った返答ができるよう、一般常識も身に付けておくと重宝するはずです。
クッション言葉と相づちが大切
クッション言葉と相づちを大切にしましょう。クレーム対応において、相手の心を和らげる効果が期待できるからです。
単純に「できない」と答えるのと「誠に恐れ入りますが」や「大変恐縮ではございますが」などのクッション言葉が入るのとでは、与える印象がまったく違います。
また、「はい」だけよりも「さようでございましたか」や「嫌なお気持ちになられたということですね」など、相手の状況や話す内容に合わせた相づちにしてください。
「しっかり私の話を聞いてくれている」と思ってもらいやすくなるので、傾聴し要約した返答をすることが重要です。
納得してもらえたらメールでも改めて内容を案内
クレーム対応にあたり、相手に納得してもらえたら終話後メールでも内容を案内すると、好印象を抱いてもらえるでしょう。
今回の話の区切りが一旦ついた証明にもなり、最後まで責任を持ち応対したという誠意を見せることができます。
コールセンターでクレーム対応を防ぐためにできること
クレーム対応の手順やうまくこなすコツを紹介してきましたが、もっとも良いのは「そもそもクレームが起こらないこと」でしょう。クレームは、オペレーターにとって負担であることはいうまでもありませんし、何よりお客様の不満が顕現してしまっていることの証左でもあります。お客様が不満を持つことがなければ、クレームは起きません。
この章では、コールセンターでのクレーム対応の予防策を解説します。
クレーム原因の改善
クレーム原因の根本的な改善ができれば、お客様にとってもオペレーターにとっても最善です。
すでにあったクレームを参考に、改善策を実施しましょう。具体的には、以下のようなクレームと改善策があります。
・商品に問題があった:品質改善
・サイトのどこに記載されているか分からない、使い方が分からない:自己解決できるFAQなどを導入した仕組みの構築
・オペレーターと話ができるまでの待ち時間が長い:AIチャットボット
・オペレーターの対応品質が悪い:トークスクリプトのアップデート
根本的な改善のためには、企業側の努力が重要となります。クレームを品質改善に生かしやすい環境づくりは何より大切です。
クレーム対応で使えるコールセンターシステム
クレーム対応には、コールセンターシステムを活用するのも有効です。
以下で紹介するシステムを使うことで、効果的・効率的なクレーム対応が実現し、お客様満足度向上も図れます。
CRM
CRMとは、顧客情報を集めた一元管理システムを指します。
CRMを導入することで、個人情報や過去の問い合わせ履歴、クレーム内容などが把握できます。問い合わせやクレーム対応前にお客様の傾向がつかめるため、参考にしながら対応が可能になるでしょう。
事前情報を踏まえた対応で、クレーム削減につながります。
音声録音システム
音声録音システムを導入した対応内容の録音は、対応した内容を後から聞き直せるためクレーム対応には効果的です。お客様が何に不満を持ったのか、実際の声を記録することで正確に課題を拾い、改善に向けて動けます。
また、特定の暴言に反応するアラート機能付きのシステムもあり、理不尽なクレーム対応によるオペレーターの疲弊リスクを抑えられるでしょう。
PBX/CTI
PBX/CTIは、顧客からの着信をオペレーターのスキル次第で振り分けられるシステムです。
難易度の高い問い合わせ傾向のあるお客様にはベテランが応対し、比較的簡単な内容には新人が応対できるようになります。着台から間もないオペレーターがクレーム対応する確率を下げられる上に、クレーム対応にはベテランがあたるためスムーズに終話しやすくなります。
顧客情報をすぐにチェックできるため、効率的に応対しやすい点もメリットといえます。
まとめ
コールセンターのクレーム対応は、暴言を交えられたり声を荒げられたりと悪いイメージがあることから、抵抗を強く感じる人もいるかもしれません。しかし、お客様の言葉にしっかり耳を傾け、謝罪と感謝とともに適切に行動すれば、最終的には感謝してもらえることもあるのです。
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