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ECサイトにおけるカスタマージャーニーとは?構築方法やマップの作成手順を解説

2024.05.11

ECサイトにおいて、カスタマージャーニーとはどのような役割を果たすのでしょうか。今回は、カスタマージャーニーの構築方法やカスタマージャーニーマップの作成手順について解説します。


カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、ECサイトにおけるユーザー体験のプロセスをさす言葉です。はじめに、カスタマージャーニーの具体的な内容と、ECサイトで重要視される理由を解説します。

ECを利用するユーザーの体験プロセス

カスタマージャーニーとは、ECサイトに訪れたユーザーが商品を見てから購入するまでの過程を可視化したものです。

ユーザーは、いくつかのフローを通って購入までたどり着きます。例えば、「商品を見た」「その商品に興味を持った」「他の商品と比較をした」「商品を購入した」などです。

ECサイト内におけるユーザーの行動や感情を分析することで、それぞれの顧客プロセスに合った戦略を立てられます。

カスタマージャーニーが重要視される理由

近年、カスタマージャーニーが重要視されています。

1つ目の理由は、販売チャネルの多様化です。現在は、実店舗だけでなくECサイトやSNS、アプリなどさまざまな販売チャネルを持っている店舗が多くあります。
特に、ECサイトにおいては、顧客が意思決定するまでの経路が多様化しています。それぞれのチャネルにいる顧客の行動を把握・分析するために、カスタマージャーニーが求められるでしょう。

2つ目の理由は、従来よりも上質な顧客体験が求められている状況です。世界中の消費行動は多様化しており、住んでいる国に関係なくさまざまな買い物ができます。企業は、上質な商品やサービスの提供により他社との差別化をはからなければなりません。顧客が求める体験を提供するためにも、カスタマージャーニーが必要です。

ECサイトにおけるカスタマージャーニーの構築手順

ECサイトにおいて、どのようにカスタマージャーニーを構築すればよいか解説します。紹介する手順に従って、顧客の把握・分析をしましょう。

①ペルソナを設定する

ペルソナとは、その商品やサービスを購入する典型的な顧客像です。

例えば、ECサイトで男性アパレルを扱う会社は、以下のようなペルソナを設定します。

・性別:男性
・年齢:30代〜40代
・家族構成:妻、子ども2人
・趣味:ゴルフ
・年収:800万円
・ライフスタイル:平日は仕事、土日休日

ペルソナはなるべく詳しく設定します。ECサイトで得られる顧客データやアンケートの内容などを参考にしましょう。既存顧客をもとにペルソナを設定することで、よりリアリティのある人物像が完成します。

他にも、「この商品を検索しようと思った理由」「今困っていること」などの情報を追加すると、ユーザー像が鮮明になります。

②カスタマージャーニーマップを作成する

ペルソナを設定したあとは、そのユーザーの購入プロセスをまとめたカスタマージャーニーマップを作成します。

カスタマージャーニーマップは、カスタマージャーニーをマップ化したものです。顧客の行動や心理が時系列で明確に把握できます。
自社が扱っている商品やマップを作成する目的に合わせてマップの縦軸・横軸項目を設定し、それぞれのフェーズを表にまとめましょう。

顧客の行動をマップ化すると、細かく顧客の心情を読みとれます。ECサイトの課題を見つけるうえで役に立つでしょう。
カスタマージャーニーマップの詳しい作成方法は、後半でご紹介します。

③課題を分析・改善する

カスタマージャーニーマップを作成したら、ユーザーの行動から読みとれるECサイトの問題点を洗い出します。例えば、ECサイトで設定している目標の売上額や新規顧客数に達していない場合は、顧客の離脱率が高い地点を割り出すとよいでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成はゴールではありません。店舗で掲げている目標に到達するためにも、その後の施策と運用が重要です。
それぞれのフェーズで顧客にアプローチできているかどうかを確認し、顧客体験の質を向上させましょう。

ECサイトにおいてカスタマージャーニーマップを作成するメリット3選

ECサイトでカスタマージャーニーマップを作成すると、いくつかのメリットを享受できます。ここからは、3つのメリットを紹介します。
ユーザーを可視化し、ECサイトの質や顧客体験をさらに向上させるために、カスタマージャーニーマップを活用しましょう。

ユーザーの行動を可視化できる

ECサイト内のユーザーの行動や心理の判断は難しいといえます。「ECサイトのどこを見て興味を持ったか」「どのようなきっかけでECサイトにたどり着いたか」などをカスタマージャーニーマップで整理すれば、ユーザーが興味を示したタイミングや感情の変化が分析できるでしょう。

カスタマージャーニーマップを作成せずにECサイトの運用や改善をすると、方向性が定まらず、達成したい目標がずれる可能性があります。自社が持つ顧客情報をもとにペルソナを設定して、自社の顧客像をより明確にイメージしつつ、行動の想定をしましょう。

顧客視点の行動理解が深まり施策を考えられる

顧客の思考や行動をカスタマージャーニーマップに記載すると、顧客視点の施策につながります。顧客にとってタッチポイントになったきっかけや、商品を購入する決め手など、企業側の視点では分かりにくいユーザー行動の理由も整理できるでしょう。

また、カスタマージャーニーマップで出た課題や施策と合わせて、ECサイトで計測できる離脱率やカゴ落ち率を分析すれば、サイトの改善ポイントが浮かびあがります。

社内・クライアントと認識を合わせられる

カスタマージャーニーマップの作成により、マーケティングチームや商品開発部、外部の委託業者など業務に関わる全ての人と共通認識を持てます。

ECサイトは実店舗とは異なり、顧客の意見やサイトを閲覧したときの気持ちの収集が難しいといえます。企業側は顧客の気持ちを想像して、対処しなければいけません。

カスタマージャーニーマップがあれば、顧客の行動や心情を考えるときに、社内の人間やクライアントの間でずれが生じにくくなります。ECサイトが目指している目標と顧客の現状をチーム全員で把握すると、新規企画の立案やサイト運営の改善策につながるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップの作成手順を詳しく解説します。社内でペルソナを設定し、マップを作成する顧客像が決まったあとは、以下の手順でカスタマージャーニーマップを作成しましょう。

①マップのゴールとそこに至る経緯を設定する(横軸)

最初に、横軸に記載する項目を洗い出します。ECサイトで達成したい顧客の行動目標と、それまでの流れを項目で記載しましょう。

例えば、以下の項目があげられます。

・認知、興味:ユーザーが商品やサービスを認知したとき
・情報収集:商品やサービスの情報を集めたとき
・比較検討:他の商品やサービスと比較したとき
・決定、購入:商品やサービスを購入したとき
・継続利用、再購入:その後の継続利用について
・共有、拡散:購入後、商品やサービスについてどのような行動をとったか

上記のように記載すれば、ECサイト内で顧客が行動したきっかけから購入後の行動までをマップに表せるでしょう。

この項目は、顧客の心理や行動が変化するタイミングに沿って設定してください。そうすることで、マップ内での変化が分かりやすくなります。

②ユーザーの心理を設定する(縦軸)

横軸を設定したあとは、縦軸のフェーズを書き出しましょう。

縦軸には、横軸のプロセスに関して、「いつ・どのような感情を抱き・どのような行動をとったか」を項目に書き出します。例えば、以下の項目を使用します。

・タッチポイント:ユーザーが接触するツールや場所
・行動:ユーザーがとる行動
・思考:行動の際、ユーザーが考えること
・感情:そのとき、ユーザーが感じたこと
・課題:ユーザーが感じた不満や懸念点
・施策:課題に対する施策

これらを縦軸にまとめると、横軸のフェーズが起こったときに「ユーザーがどのような感情を抱いたか」「何をしたか」が分かりやすくなります。

③ペルソナの行動をマッピングする

横軸・縦軸を設定したら、ペルソナの行動を表に記入しましょう。横軸のフェーズに対するペルソナの思考や行動の変化を書きこみます。

記入する際は、会社が所有しているこれまでのユーザーアンケートや問い合わせ内容、クチコミなどを参考にしましょう。ECサイトを利用するユーザーの意見を参考にペルソナの行動を記入すれば、よりリアリティのあるカスタマージャーニーマップができます。

④それぞれのフェーズにおける課題を洗い出す

カスタマージャーニーマップが完成したら、それぞれのフェーズにおけるECサイトの課題を書き出します。

課題の例は以下のとおりです。

・タッチポイントでのアプローチ方法
・広告の種類や宣伝方法
・サイトの仕様
・商品の価格
・購入後のサポートなど

カスタマージャーニーマップのフェーズにおいて課題が洗い出されると、改善策を模索できます。ユーザー目線での課題を、カスタマージャーニーマップを活用して可視化しましょう。

ECサイトにおけるカスタマージャーニーマップ作成時の注意点・よくある失敗例

ECサイトでカスタマージャーニーマップを作成する際、気をつけたい点がいくつかあります。カスタマージャーニーマップ作成の目的を見失わないためにも、注意点やよくある失敗例を参考にしましょう。

自社が持つデータを参考に作成する

カスタマージャーニーマップを作成するときは、必ず自社が持っている顧客情報を参考にします。

ペルソナの設定やマップの作成は、前提条件が異なると、全く違う結果が生まれるものです。他社の情報や例を参考にしすぎると、自社に合わない結果が出る恐れがあります

そのため、自社の顧客分析ができていない状態でのカスタマージャーニーマップの作成はおすすめしません。現状とかけ離れたカスタマージャーニーマップにならないようにしましょう。

定期的に情報を更新、マップも修正する

カスタマージャーニーマップは、定期的に情報を更新し、修正をする必要があります。

よくある失敗例として、一度作成したカスタマージャーニーマップが放置されている、更新がされていないため現状にあっていない、修正が不足していて活用できていないなどがあげられます。

カスタマージャーニーマップをもとにECサイトの施策運用をするときは、PDCAを意識しましょう。
一定の期間が経てば、情報を更新してマップを修正します。この作業を繰り返すことで、改善点や放置されている問題などが一目で分かるでしょう。

作成には時間をかけすぎないようにする

カスタマージャーニーマップの作成には時間をかけすぎないようにしましょう。

マップの作成に集中しすぎてECサイトの運用に支障をきたすと、失敗につながります。
カスタマージャーニーマップは、作成が目的ではありません。作成後の施策や行動が重要です。作成だけに時間はかけすぎないようにしてください。

カスタマージャーニーの活用例

カスタマージャーニーの活用例をご紹介します。

とある就活サイトでは、新卒者を対象にしたペルソナを設定し、カスタマージャーニーを作成しました。その結果、「入社希望者が企業についての情報を十分得る機会がない」問題点が判明しました。その後、イベントの開催をはじめとしたユーザー視点の対応にとりくんでいます。

また、大手コーヒーショップでは、評判が悪いモバイル決済用アプリについて3種類のカスタマージャーニーを作成しました。ストア・支払・サインアップの点における問題点が判明し、それぞれの問題点について解決策を見出せました。

カスタマージャーニーを理解してECサイトを改善しよう

カスタマージャーニーは、ECサイトの現状や課題を洗い出し、改善策を模索するために必要なものです。顧客の視点に立つことで、企業目線では気づけなかった問題が見つかります。
ECサイトの運用やコンテンツ作成、マーケティングについてお困りの方は、NTMにご相談ください。EC総合支援サービスやフルフィルメントサービスなど、さまざまなサービスでお客さまのECサイトをお手伝いします。


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