ECサイトにチャットボットは必要?有効性・配置の仕方・種類も
自動応答プログラムであるチャットボットは、近年Webサイトへの導入が広がっています。
特に、ECサイトは、チャットボットの持つ機能を活用できるWebサイトといえます。今回は、ECサイトへのチャットボットの有効性や導入のポイントについて解説します。
目次
- チャットボットについて
- ASP型
-
オープンソース型
- スクラッチ型
- ECサイトにチャットボットが適している理由
- 業務効率化
- CVR向上
-
ユーザーニーズの解析
- ECサイトにチャットボットを置くメリット・効果
- ユーザーの離脱を防止する
- 販促と購買率アップ
- ECサイトのチャットボット導入例
- フラワーギフトのECサイト
- 大手アパレルブランドのECサイト
- 大手化粧品のECサイト
- ECサイトにチャットボットを置くポイント
- チャットボットを途中から表示する
- 設置場所を工夫する
- 蓄積したデータを活かす
-
過去のお問い合わせ内容を検証する
- チャットボットの不得意な分野への対策を考えておく
- 定期的にメンテナンス・ブラッシュアップする
- ECサイトでチャットボットを導入する流れ
- 簡単な対応はチャットボットにお任せ
チャットボットについて
チャットボットとは、自動でおしゃべり(チャット)をするプログラム(ロボット)です。日本では2016年頃から一般のWebサイトへの導入が進んでいます。
特に、ECサイトではAI搭載のチャットボットが主流です。チャットボットは、EC運営上の欠かせない存在になりつつあるといえるでしょう。
ここからは、チャットボットの種類と特徴を紹介します。
ASP型
ASPとは、アプリケーションサービスプロバイダーの略です。
ASP型のチャットボットは、クラウド環境を利用するタイプで、費用負担の少なさが特徴です。ある程度機能や外観は限定されていますが、カスタマイズ可能な製品が多く、AIを搭載したタイプも増えています。
ただし、費用だけを見てこのタイプを選択すると、設定をすべて自社でする可能性が生じます。導入にあたっては、運用中のサポートの体制やその内容も重視して検討しましょう。
オープンソース型
チャットボットのオープンソースも数多く提供されています。
オープンソース型は基本的に海外製品です。自社にチャットボットに精通した技術者がいる場合、オープンソースを活用してチャットボットを自社開発する選択肢もあります。開発期間や費用を大幅に短縮できるでしょう。
しかし、オープンソースから作成したチャットボットはメンテナンスが受けられない、ソースが公開されていて脆弱性を突かれやすいなどのデメリットがあります。
スクラッチ型
スクラッチ型とは、開発ベンダーに依頼して自社の要望に合うチャットボットを作る方式です。費用はかかるものの、自社の要求や仕様に合致したチャットボットを作れます。
ただし、ASP型のチャットボットにはAIを搭載したものがあり、ある程度の基本機能は実装されています。カスタマイズができる製品も多く、スクラッチ型チャットボットを導入するメリットはそこまで大きくないといえるでしょう。
スクラッチ型は、どうしても実装したい機能がある、こだわりがあるような企業に向いています。
ECサイトにチャットボットが適している理由
Web全体でもチャットボットの利用は広まっていて、ECサイトは顕著です。ここからは、ECサイトに特にチャットボットが適している理由を解説します。
業務効率化
ECサイトでチャットボットを導入するメリットの1つに、業務の効率化があげられます。
ユーザーは電話やメールで問い合わせをするため、人で対応すると業務負担が大きくなります。チャットボットを導入すると、問い合わせの大半をチャットボットが対応するようになり、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
チャットボットなら、顧客を待たせたり、問い合わせを処理しきれない事態に陥ったりしにくく、顧客満足度にもプラスの効果をもたらします。
CVR向上
CVRの向上は、チャットボットを設置するメリットの1つです。
CVRはコンバージョン率といわれ、ECサイトを訪れたユーザーのうち、購入につながった割合を示します。
有人対応ではユーザーの疑問や問い合わせの対応に時間がかかり、購買意欲を低下させる可能性があります。一方チャットボットなら、ユーザーの疑問を即座に解決して、購買意欲を高い状態のままコンバージョンにつなげられるでしょう。
ユーザーニーズの解析
チャットボットの効果として、ユーザーニーズの解析が可能になる点があげられます。
チャットボットは、ユーザーからの問い合わせ内容の蓄積が可能です。例えば、使い方に関する問い合わせが多ければ、商品を改良したりマニュアルの改訂をしたりする余地があります。また、掲載情報をユーザーの疑問に合わせて書き換えられます。
チャットボットによるユーザーニーズの解析を業務にフィードバックすると、ECサイトの使い勝手を向上させられるでしょう。
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ECサイトにチャットボットを置くメリット・効果
チャットボットをECサイトに置くと、業務の効率化やCVRの向上につながります。ここからは、ECサイトにチャットボットを置くメリットや効果について紹介します。
ユーザーの離脱を防止する
チャットボットは、ユーザーがページから離脱することを防ぐ効果があります。
ユーザーからすると、有人の問い合わせよりもチャットボットへの質問の方が気軽にできます。手軽に尋ねられるチャットボットがあることで、ユーザーの興味関心を維持しつつ、ページからの離脱を防げるでしょう。
販促と購買率アップ
販促と購買率アップ
チャットボットは、販促や購買率アップへの効果を持っています。
AI搭載型のチャットボットは、過去の購買履歴をデータとして蓄積して、興味を持つ商品をレコメンドしたりアップセルやクロスセルに適した商品を提示したりできます。
さらに、チャットボットから決済手続きをする、配送日時の指定をするなどで購買行動のサポートも可能です。商品をカートに入れたままで購入にいたらない「カゴ落ち」を防ぐ効果も狙えます。
ECサイトのチャットボット導入例
チャットボットは、ECサイト運営にさまざまなメリットをもたらすでしょう。多くのECサイトは、チャットボットの導入により効果を得ています。ここでは、チャットボットを導入して成功した例を紹介します。
フラワーギフトのECサイト
フラワーギフトのECサイトでは、チャットボットの導入によりコストカットができた一例があります。
フラワーギフトは、繁閑の差が激しい特性を持っています。このため、最繁忙期にはユーザーの問い合わせに対応しきれない課題を抱えていました。
チャットボットを設置し、既存のFAQデータを活用してユーザーの疑問を即座に解決する体制を整えました。答えられなかった質問について対応するようなメンテナンスを重ねた結果、約500万円のコストカットに成功しています。
大手アパレルブランドのECサイト
大手アパレルブランドのECサイトでは、チャットボットにユーザーの買い物のサポート機能を持たせてコンバージョンを高めたという事例もあります。
導入したチャットボットは、注文やキャンセルなどの問い合わせに自動対応し、ユーザーの欲しい情報を素早く提示します。そのうえ、商品検索やコーディネート提案も可能になりました。AIによりコーディネートから気になる商品が検索、表示され、「具体的なファッションをイメージしながら買い物ができる」と高評価を得ています。
大手化粧品のECサイト
大手化粧品のECサイトにおけるチャットボットの導入事例を紹介します。
ユーザーの多くが女性であるため、チャットボットは可愛らしい犬のキャラクターにしました。このキャラクターはとても愛嬌があり、つい話しかけてしまう雰囲気を持っています。
親しみのあるチャットボットを導入したおかげで、利用率が増加。結果として、キャンペーン情報やおすすめ情報を提示する機会が増加し、コンバージョンの向上につながりました。
ECサイトにチャットボットを置くポイント
チャットボットはただ目立つ場所に置けば良いものではありません。
チャットボットには、ユーザーの行動を予測してより効果的な表示を設定する機能があります。そして、この機能を最大限活用するためにも置く場所に気を配りましょう。
ここからはECサイトにチャットボットを置くポイントについて解説します。
チャットボットを途中から表示する
チャットボットをECサイトの訪問直後に表示しても、まだ興味関心を持たないユーザーからすると「邪魔」と感じます。ページを閲覧して、商品に興味を持ったタイミングで表示した方が良いでしょう。
チャットボットは、管理画面から表示条件を設定できます。30秒同じ画面に滞在しているユーザーに対して表示させる、3ページ目で表示させるなどユーザーの挙動を予測した設定をしましょう。
設置場所を工夫する
ページの内容や目的に応じて、チャットボットの設置場所を工夫します。
FAQページを訪れるユーザーは回答を求めているため、ページのトップにチャットボットを置きましょう。そのほか、感想や口コミなどのフィードバックは商品紹介やカテゴリーのページに置くと、ユーザーの購買意欲が向上します。
表示の場所とタイミングも、設定画面から調整が可能です。
蓄積したデータを活かす
チャットボットは、過去の問い合わせ内容を蓄積できます。
得られたデータはユーザーの生の声であり、商品改良や新商品の開発、マーケティングやカスタマーサクセスなどの施策に活用できます。また、チャットボット自体のカスタマイズにも活かせるでしょう。
チャットボットの利用率が上がれば、多くのデータが蓄積でき、商品やサービス、ECサイトの内容改善につながります。その結果さらに利用率が上昇して、ECサイトがより充実するでしょう。
過去のお問い合わせ内容を検証する
チャットボットは、ユーザーの疑問への的確な回答が求められます。
あらゆる問い合わせ内容に対応可能なシナリオ設計が必要です。そのために、蓄積された過去の問い合わせ内容は、定期的に検証し、求められる内容の洗い出しが重要です。こうした情報は、自社のECサイトには求められているユーザーニーズでもあるため、ECサイト自体の改善や商品開発につながる大きなヒントとなります。
蓄積されたすべての情報を見返し、解析しましょう。
チャットボットの不得意な分野への対策を考えておく
チャットボットには、不得意な分野があります。例えば、クレームやトラブルへの対応です。こうした対応は、人間が判断や対応をした方が良いといえます。
チャットボットを設置するときは、チャットボットが苦手とする分野を把握し、有人対応への橋渡しを検討しましょう。
定期的にメンテナンス・ブラッシュアップする
チャットボットは、定期的なメンテナンスとブラッシュアップが欠かせません。例えば、商品企画や送料を変更したにもかかわらずチャットボットのシナリオが更新されていないと、トラブルの原因になります。
チャットボットの履歴を定期的に見直して回答内容の修正をすることで、顧客満足度が上昇し、ECサイトそのものへの信頼につながります。
ECサイトでチャットボットを導入する流れ
チャットボットを導入する流れは以下のとおりです。
(1)チャットボット導入の目的を明確化
(2)チャットボットを比較、選定
(3)連携するRPAやAPIを定める
(4)シナリオや対応コンテンツを作成
(5)チャットボットの設置
(6)効果の分析
(7)チャットボットの改善、(3)に戻る。
この流れを繰り返し、効率が良い運営を目指します。定期的なフィードバックによる改善サイクルが、設置の効果をより高めるでしょう。
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簡単な対応はチャットボットにお任せ
今回は、ECサイトとチャットボットの関係性やメリット、ポイントなどを紹介しました。チャットボットに顧客対応を任せれば、人件費の大幅な削減につながるだけでなく、顧客満足度を上昇させることにもつながります。コンバージョンの上昇も狙えるでしょう。
ECサイトに今や不可欠であるチャットボットの導入をぜひご検討ください。