食品物流の特徴を徹底解説!物流の流れや業者の選び方とは
食品物流とは、どのような物流をさすのでしょうか。今回は、食品物流について、いくつかの分類に分けつつ、それぞれに求められる品質管理や特徴を解説します。
また、食品物流における課題や対策についてもご紹介します。
目次
食品物流について
食品物流とは、人が口にするものの物流をさす言葉です。他の物流とは品質管理の基準が異なり、特殊な設備や基準が設けられています。食品物流は、主に「常温食品」と「冷蔵・冷凍食品」の2つに分けられます。
常温食品
常温食品とは、常温で保管しても品質に問題がない商品です。例えば、缶詰や調味料、お菓子などが当てはまります。
常温食品は消費期限が長く、管理がしやすいといえます。ただし、常温食品の中にも、チョコレートやグミなど、一定の温度よりも高くなると溶けたりくっついたりするものがあります。品質を損なわないよう、商品に合った適切な温度での運搬が大切です。
冷蔵・冷凍食品
冷蔵・冷凍食品は、名前の通り温度調整が必要な食品です。
冷蔵食品として、青果や魚・肉などがあげられます。適切な温度で輸送しなければ、鮮度が保たれません。
冷凍食品とは、アイスクリームや冷凍食品です。冷凍食品は、温度の上昇により解凍されると品質が落ちます。そのため、適切な温度管理のもとで輸送する必要があります。
食品物流の特徴・課題
食品物流の特徴として、「食品に合った適切な温度管理を徹底すれば食品の品質を保てる」という点があげられます。そのため、食品物流の主な課題は温度管理にかかわるものです。
また、食品には賞味期限や消費期限があります。温度管理だけでなく日付管理も必要不可欠であり、倉庫や加工現場には厳しい管理環境が求められています。
食品を適切に保存・管理するためには専用の倉庫が必要です。しかし、温度管理や環境を整えると手間や費用がかかります。これが原因で事業の拡大に踏み出せない企業も存在します。
【要素別】食品物流の課題と対策
ここからは、食品物流における課題と対策を要素別に解説します。それぞれの課題に対して、どのようにすれば解決できるかを把握しておきましょう。
徹底した温度管理
食品物流には徹底した温度管理が欠かせません。食品に合った温度管理が求められるため、企業は複数種類の倉庫や冷蔵庫を用意する必要があります。
食品の鮮度を一定に保つためにも、条件の合う倉庫を用意したり、コールドチェーンを活用したりする対策をしましょう。取り扱っている商品や最適温度に合わせて対応することで、商品の品質を保てます。
賞味期限・消費期限管理
食品を安心して口に入れてもらうために、賞味期限・消費期限の確認は徹底しましょう。もし賞味期限の切れた食品が店頭に並べば、企業の信頼低下の原因となります。
しかし、取り扱っている商品数が多い企業や人手不足の企業の場合、期限のチェックには時間や手間がかかるでしょう。
そのようなときは、業務のデジタル化を推進して、期限の管理を円滑に行えるような工夫をします。手作業の業務が少なくなれば、ミスが減り、作業効率が上がります。
また、業務の一部を外部に委託することで、社員の負担を減らす方法もあります。
衛生管理・防犯管理
食品を保管している倉庫は、異物の混入を防ぐためにも徹底した衛生管理が必要です。
害獣やその他の生きものが侵入できないように対策しましょう。例えば、作業入り口でのエアシャワー設置や手洗いルールの厳守が対策としてあげられます。
また、外から関係者以外の人が入って来ないように、防犯管理もしっかり行いましょう。意図的な異物混入や窃盗などを未然に防げます。
コスト管理
コスト管理とは、取り扱っている仕入れの数や在庫数、納品数などの管理です。
食品は、売上や人気の動向を踏まえた管理が必要です。おろそかにすると、消費期限が切れたり傷んでしまったりします。傷んでしまった食品は廃棄処分となります。
廃棄を避けるためにも、過去の売上や毎年の傾向から販売数を予測して、できるだけロスを出さないような生産や発注を心がけましょう。食品によっては時期やイベントによって需要が生まれます。世間のイベントや流行のチェックも欠かさず行ってください。
配送品質
食品物流において、品質を管理する場面は保管のときだけではありません。配送中も、保管している倉庫と同じ環境を保つ必要があります。
具体的な温度管理としては、以下があげられます。
・15℃程度:チョコレート菓子やワイン
・-18℃以下 冷凍食品
食品に合った温度で配送しないと、食品が傷んだり、解凍が原因で劣化する恐れがあります。配送品質を保った状態で、消費者の元に食品を届けましょう。
食品物流の最新トレンド
ここからは、食品物流に関するトレンドや、話題になっている2024年問題と食品物流の関係性、食品物流の自動化やシステム化について解説します。
コールドチェーン
コールドチェーンとは、生産から消費までの過程で、低温管理が必要な食品を適切な温度に保ちながら、途切れることなく商品を届ける仕組みです。低い温度下での管理を連続して行うことからコールドチェーンと名付けられました。
コールドチェーンは、食品の鮮度を保ったままユーザーへ食品を届けられる方法として注目されています。コールドチェーンにより、生鮮食品の保存期間が長くなり、広い地域に対しての流通が可能になりました。また、食品だけでなく医薬品の品質も保てます。
コールドチェーンの大きなメリットは、食品の廃棄ロスが減ることです。一方、デメリットとして、温度管理の徹底により費用がかかることがあげられます。
2024年問題は食品物流にも影響
運送ドライバーに大きな影響を及ぼす2024年問題は、食品業界にも影響を与えます。
2024年問題とは、2024年4月以降に、働き方改革関連法案の一環で運送ドライバーの時間外労働に上限がつくことで起こる問題です。この法案により、年間960時間までしか業務が追加できなくなります。
これにより、これまで時間外労働で稼いでいた運送ドライバーの給与が低下して、離職率の増加が予測されています。
運送ドライバーの数が減ると、食品物流にも影響が出るでしょう。食品物流に関する企業は、業務の効率化や自動化を図り、自社の物流に影響が出ないような工夫をすることが求められます。
食品物流の自動化(AI予測技術・IoTスマートパッケージング技術)
業務の効率化を図るために、システムの自動化が進められています。自動化の例として、膨大な量のデータを収集・分析できるAI予測技術を使った情報収集があげられます。
また、loTスマートパッケージング技術も注目されている技術の1つです。これを導入すると、センサーやデバイスにより運送中の食品の温度や湿度、在庫管理・製品の品質保持などをリアルタイムで監視できます。
システム導入によるJIT配送の実現
ジャストインタイム物流とは、必要なものを必要なときに配送する物流の仕組みです。
これを実現できれば、在庫を最小限に抑えられます。ただし、在庫切れのリスクがあり、その都度配送する配送費用もかかるため、デメリットも踏まえたうえで取り組まなければなりません。
これらのデメリットは、共同配送を取り入れると解消されます。
食品物流の流れ
食品物流の流れについて、解説します。
まず、食品の原料生産者から食品メーカーへ原料が送られます。食品メーカーが自社農園を持っている場合もあるでしょう。
つぎに、食品メーカーで原料を調理・加工し販売する商品のかたちにします。その食品は、メーカー倉庫で保管され、品質が維持されます。
その後、倉庫から問屋へ商品がわたり卸売店へと届けられます。ここまで、商品が消費者の目に留まることはほとんどありません。最後に、小売店から消費者の元へと商品が届きます。
食品物流の委託先を選ぶ基準
食品物流の業務において、外注や委託を考えている企業もあるでしょう。委託先を選ぶ基準はいったいどのようなものでしょうか。ここからは、委託先を選ぶ基準を2つ紹介します。
自社製品を管理できる環境であること
最初に、自社で取り扱っている食品を管理できる環境が整っていることを確認しましょう。
商品によって適切な温度管理や環境は異なります。委託先の倉庫に自社製品を保管して、品質が保たれるかどうかは非常に重要です。
また、自社製品の生産数に合う規模の倉庫が存在することも確認します。食品の大きさや生産数をもとに、「どの程度の規模の倉庫を希望するか」をはっきりさせます。
倉庫管理のサービスについて
「倉庫管理」に含まれるサービスやシステムは、企業によって異なります。どこまでのサービスが含まれているかは、委託先を選ぶ際の重要なポイントです。
倉庫管理には、以下のようなサービスがあります。
・在庫管理システム
・配送準備
・品質チェック、賞味期限切れチェック
・梱包作業
例えば、梱包が必要な食品を扱っている場合、その商品に合った梱包方法を行える委託先がおすすめです。また、トラックドライバーが足りない企業は、小売店や消費者への配送までも請け負ってくれるような業者を選びましょう。
食品物流の委託例
記事の最後に、食品物流の委託例を紹介します。
とある外食チェーンの大手企業は、既存システムのまま入庫〜出荷の倉庫管理業務委託できる業者を探していました。取扱品は多岐にわたり、常温・冷蔵・冷凍とそれぞれの対応が求められます。
委託先の物流倉庫では、専用チームを発足し、クライアントの希望通りに、そのままのシステムで全ての業務を委託できるような対応をしました。
食品物流は商品の管理を任せられる業者に委託しよう
今回の記事は、食品物流の要素や、物流に関する課題と対策を解説しました。食品の品質を保ったまま消費者の元へ届けるには、専門分野に特化した業者への委託がおすすめです。自社商品の種類や特徴に合う業者へ委託しましょう。物流業務の一部をアウトソーシングすることで、社内の負担が減り、業務の効率化や売上の向上が見込まれます。