物流倉庫の移転手順を徹底解説!円滑に進めるためのポイントとは
現在使用している物流倉庫に限界を感じ、新しい物流倉庫への移転を考えている企業も多くいるでしょう。今回は、物流倉庫を移転するときの手順について解説します。起こりうるトラブルや円滑に進めるためのポイントを把握して、迅速に倉庫移転を完了させましょう。
目次
- 物流倉庫移転のタイミング
- 取り扱い商品数が増えた
- 作業効率が下がった
- 物流倉庫移転の手順
- ①移転先の倉庫について選定・契約
- ②運用ルールについて細かく決める
- ③移転スケジュールの決定
- ④既存倉庫との契約を解除する
- ⑤社員への周知・在庫移動
- ⑥新しい倉庫での稼働開始
- 倉庫の移転で起こりうるトラブル
- 在庫が入らない・保管場所が分からなくなった
- 作業員が慣れずに作業効率が落ちる
- 倉庫移転を円滑に行うためのポイント
- 自社の問題点を新しい契約先で解決できるか確認する
- データの連携や社員へのフォローは丁寧に行う
- 情報共有は入念にする
- 移転のタイミングは閑散期がおすすめ
- 倉庫移転にかかるスケジュール
- 倉庫移転の例
- 倉庫移転の事前準備は万全に
物流倉庫移転のタイミング
物流倉庫移転のタイミングは、「提供している物流サービスに変更が起きたとき」です。具体的には「取り扱い商品の増加」「作業効率の低下」が考えられます。
取り扱い商品数が増えた
自社製品として取り扱う商品数が増えた、または販売数の増加で在庫数を多く確保するようになった場合、現在使用している倉庫に保管できなくなる可能性があります。製品が倉庫に入りきらないときは移転を検討しましょう。
保管方法は製品の分類によって異なるため、その製品に合った保管ができる倉庫を探す必要があります。また、現在の事業では倉庫の場所が足りていても、新しく事業計画を立てた際に倉庫が必要になるケースも生じます。その他、新事業の立ち上げも移転のタイミングです。
作業効率が下がった
物流倉庫内における作業効率は、一つひとつの作業にかかる時間や作業スペースの広さに影響を受けます。製品の注文数が増えて作業数が増えたり、作業スペースが足りなくなったりしたときは、倉庫への移転を検討しましょう。
作業効率が低い状態で仕事を進めると、作業スタッフに負担がかかります。注文ミスや配送ミスの原因になる恐れもあります。
物流倉庫移転の手順
物流倉庫を移転する際は、契約までの順序の理解が必要です。理解が欠けていると、トラブルが起こりやすくなります。円滑に移転を進めるための手順を紹介します。
①移転先の倉庫について選定・契約
新しい物流倉庫を選定します。選ぶ基準は以下の通りです。
・倉庫の場所
・保管できる製品の種類
・倉庫の環境
取り扱っている製品に合った倉庫の適切なサイズや、倉庫内の配置も確認します。移転先の倉庫へ足を運んで確認すると、より納得のいく移転先を見つけられるでしょう。
②運用ルールについて細かく決める
移転先の倉庫が決まれば、既存倉庫で適用していた倉庫内のルールや製品の保管方法、梱包方法を共有します。
もし、既存倉庫での運用方法を改善したければ、改善案について新しい倉庫の担当者と話し合いましょう。特に、製品の取り扱い方法やメーカーで決まっている梱包方法については細かくチェックします。
運用手順が決まったあとは、作業員の体制やトラブルが起こったときの対応についても話し合いましょう。
③移転スケジュールの決定
既存倉庫から新しい倉庫への移転スケジュールについても考えましょう。
既存倉庫にある製品を一度に新しい倉庫へ移転すると、輸送費が莫大にかかり、製品の管理が行き届かない可能性があります。そのため、管理できる量の製品を少しずつ移転させましょう。
移転を進めながら既存倉庫の在庫を減らすと、輸送費を削減できます。移転スケジュールは細かく決めず、1〜3か月ほど余裕を持って組み立てることで、ミスなく完了できます。
④既存倉庫との契約を解除する
新しい倉庫への移転スケジュールが決まれば、既存倉庫との契約を解除します。既存倉庫での管理や梱包の期限を決めて、日程を伝えましょう。
多くの物流倉庫では、「契約を解除する数か月前までに申請をする」規定があります。規定の期間にのっとり契約解除の手続きを進めましょう。違反をすると、違約金を支払わなければならない恐れもあります。
⑤社員への周知・在庫移動
倉庫の移転について、全社員に周知します。在庫の移転スケジュールについても連絡しましょう。事前に伝えておくことで、作業員の負担を減らせます。移転までに新しい倉庫でのオペレーション方法についても説明しましょう。新事業を始める場合は、その説明も必要です。
また、既存倉庫内の在庫数について、製品ごとに確認・把握を行います。
⑥新しい倉庫での稼働開始
在庫の移動が完了すると、新しい倉庫が稼働します。
予定していたオペレーション通りに製品の梱包や発送作業ができるかどうかを確認しましょう。初めはトラブルがあるものと考えて、テストを数回行い、既存システムとの連携を確認する方法がおすすめです。
もし、不具合や改善点があれば稼働前に話し合います。テストで問題がなくなれば、正式な稼働が可能です。
倉庫の移転で起こりうるトラブル
倉庫の移転で、トラブルが起こることもあります。ここからは、倉庫の移転で起こる可能性がある問題を2つ紹介します。
在庫が入らない・保管場所が分からなくなった
1つ目のトラブルは「在庫が入らない」「保管場所が分からない」です。
製品を全て新しい倉庫に保管できない場合、そもそも倉庫としての役割を果たしていません。新しい事業のスタートで取り扱い製品数が増えるケースにおいて起こりやすいトラブルです。
また、移転作業を急ぎすぎて、商品の保管場所が分からなくなるトラブルも起こり得ます。既存倉庫から新しい倉庫へ、どの製品をどこに保管したかをきちんと記録しましょう。
作業員が慣れずに作業効率が落ちる
2つ目のトラブルは、「新しい倉庫による作業効率の低下」です。これは、新しい環境でまだ作業員が慣れておらず起こりうるトラブルです。
作業スペースや作業の変更で、梱包や配送手配に時間を要する場合があります。しかし、これらの問題は、作業に慣れると解消されます。
作業員が早く作業に慣れるように、新しい職場の作業内容やオペレーションについて、移転前から説明をしましょう。
倉庫移転を円滑に行うためのポイント
倉庫移転で起こりうるトラブルを踏まえて、移転を円滑に行うためのポイントを解説します。各ポイントに留意して、既存倉庫からの移転計画を立てましょう。
自社の問題点を新しい契約先で解決できるか確認する
最初に、「既存倉庫から移転する必要性」を書き出します。例えば以下の内容があげられます。
・倉庫が狭くなってきた
・新しく事業を始めたいが、製品の保管場所がない
・倉庫の立地に納得していない
現状の問題点を書き出すことで、客観的に自社の状況を把握できます。新しい倉庫を探すときは、それらの問題点が解決できるかどうかを念頭に考えましょう。
・倉庫の広さが既存倉庫よりも広い
・新しい製品を入庫しても広さに余裕がある
・倉庫の立地がよく、本社との連携が取りやすい
上記のように、問題が解決できることを確認してから契約を進めます。
データの連携や社員へのフォローは丁寧に行う
倉庫で管理する製品の情報や、梱包方法の共有、自社システムとの連携は丁寧に行いましょう。
「社員はすぐに理解をするはずだ」という思い込みは捨てて、丁寧に説明をする必要があります。
例えば、以下のような説明が必要です。
・既存システムとの連携範囲
・作業の方法
・倉庫のシステムと自社社員の対応範囲
・新しいオペレーション手順
社員側から出される疑問や改善案が出たときは真摯に対応し、現場環境がよくなるように努めましょう。
情報共有は入念にする
倉庫移転において、情報共有は非常に重要です。倉庫の管理者や自社社員間で、情報共有を怠らないようにしましょう。
・倉庫の移転スケジュール
・移転先での作業内容
・データ管理の方法
・現状の進捗
上記の情報について、一部分の社員だけが情報を持っている状況を作らないように心がけましょう。
情報共有が不十分だと、作業の行き違いや製品の保管場所が分からなくなるなどのトラブルを引き起こします。
移転のタイミングは閑散期がおすすめ
移転のタイミングは、事業の閑散期がおすすめです。繁忙期に移転すると、在庫の増減や業務の変更で、作業員が混乱する恐れがあります。繁忙期やイベントの時期を避けて移転をしましょう。
繁忙期は売上が見込めるため、慣れているオペレーションで作業ができるように配慮しましょう。
倉庫移転にかかるスケジュール
倉庫移転には、3か月〜半年ほどかかります。この程度の期間を見積もったうえでスケジュールを組みましょう。移転を急いでいない場合、1年ほど期間を設けると焦らずに移転先を探せます。
3か月で移転をするときの、スケジュールの例を以下に示します。
3か月前 | ・新しい倉庫の選定 ・候補倉庫の視察 |
2か月前 | ・契約内容の確認 ・運用ルールの話し合い ・システム連携についての確認 ・契約 ・社員への周知 |
1か月前 | ・現場での教育 ・新しい倉庫の試運転 ・在庫移転 |
契約開始日 | 本稼働開始 |
3か月以上余裕を持つことで、自社に合った倉庫を見つけられるだけでなく、契約内容についても担当者とすり合わせる時間を多く取れます。既存倉庫の状況を見て、余裕があるうちに次の倉庫先を検討しておくことが大切です。
倉庫移転の例
倉庫移転の例を紹介します。
とある大手インターネット通販会社は、物流センターの入出荷機能を拡充するために、在庫保管と作業スペースを広く確保できる新倉庫に移転したいと考えていました。
ただし、「センターの入出荷機能を一度も止めずに新しいセンターへの移転を完了させたい」という要望がありました。これは、インターネット通販会社では注文を一時でも止めると売上に大きく響くためです。
そこで、従来のセンターから段階的に出荷機能を移転させる方法で移転を計画しました。その結果、無事に全ての出荷機能移転が完了しました。事前の準備や計画が、要望通りの移転を叶えた例です。
倉庫移転の事前準備は万全に
今回は、物流倉庫移転について、移転の手順や起こりやすいトラブル、移転を円滑に行うためのポイントを解説しました。
物流会社の扱う製品に合った倉庫へ移転することで、作業員の負担が減り、業務効率がよくなります。更なる事業拡大も目指せるでしょう。
倉庫移転をお考えの方は、余裕を持ったスケジュールで計画を立てましょう。
当社は、物流業務全体の業務を委託できるフルフィルメントサービスを提供しています。また、倉庫トラブルの未然防止策や倉庫にかかわる業務効率化の施策も提案しています。倉庫移転は、システムやフロー改善のチャンスです。コスト削減やリプレースをお考えの方は、見学・相談など、お気軽にお問い合わせください。