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あふれ呼とは?原因・問題点・解決策・メリットについて解説!

コンタクトセンター(コールセンター)を運用していると、さまざまな問題が発生します。さまざまな問題のなかで、顧客にとっても企業にとってもデメリットになるのが「あふれ呼」です。今回は、あふれ呼の原因や解決策についてくわしく解説していきます。


あふれ呼とは

あふれ呼(あふれこ)とは、コンタクトセンターにおいてオペレーターが不足し、電話対応できない状況を指します。通常あふれ呼は、問い合わせが急増したときに発生しやすい問題です。製品やサービス利用者の急増などポジティブな要因から、製品の問題や災害などのネガティブな要因まで発生し、原因はさまざまです。この結果、顧客は電話につながらない状態が続くことになります。

あふれ呼と放棄呼の違い

あふれ呼の状態で、顧客がオペレーターにつながる前に待ちきれず回線を切ってしまうことを「放棄呼(ほうきこ)」といいます。つまり、あふれ呼が増えると、放棄呼率も高まります。

あふれ呼と待ち呼の違い

あふれ呼は、顧客を待たせている状態でもあるため「待ち呼(まちこ)」と呼ばれることもあります。あふれ呼と待ち呼の意味に大きな違いはありません。

あふれ呼が発生する原因

こちらでは、あふれ呼が発生する原因として考えられるものを4つ解説します。

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電話の集中

コンタクトセンターの規模やオペレーターの数に問題がない企業は、あふれ呼が発生する機会は少ないです。ただし、決まった時間や曜日などに電話が集中し、あふれ呼が発生してしまうケースがあります。例えば、以下のようなケースです。

・商品の申し込みや予約受付が開始された瞬間
・期間限定のイベントを開くとき
・休業日明けや週末明け

上記のような場合は、一時的に入電が増えて常駐しているオペレーターの数では対応しきれなくなるケースが増え、あふれ呼が発生しがちです。

コンタクトセンター(コールセンター)の規模が小さい

コンタクトセンター(コールセンター)の受付能力と実際にかかってくる電話の量の調和が欠けると、あふれ呼が生じます。例えば、10人のオペレーターを備えたコンタクトセンターは、電話回線の容量も10人程度に設定されているでしょう。しかし、一度に100件の通話が発生した場合、電話回線の容量よりも入電が上回ることになり、90件のあふれ呼が発生することとなります。

問い合わせ対応に時間がかかる

問い合わせの幅が広く、説明や解決に要する時間が増えると、あふれ呼が発生しやすくなります。オペレーターが10人いる場合において、すべてのオペレーターが応答しているときは、次の電話を受けられません。例えば、平均通話時間(ATT)が15分の場合、新たに電話をかけた顧客は15分待つことになります。待機中の顧客が10人いるとすると、10人の顧客のほとんどは15分待つことになってしまうのです。個々の問い合わせに時間がかかると、オペレーター1人が1日に処理できる数が減少し、あふれ呼の問題が慢性化しやすくなります。

FAQがわかりにくい

最近では、電話だけでなく公式WebサイトにFAQページを設ける企業が増えました。FAQページを設けることによって、顧客は従来の待ち時間や手間を感じずに問題を解決できるようになります。ただし、FAQがわかりにくい場合や使いにくい場合は、問題が解決できず、結局電話で問い合わせることになります。

あふれ呼によって引き起こされる問題

あふれ呼が発生すると、企業にとって以下のような問題が生じます。問題を大きくさせないためにも、コンタクトセンターを備える企業は、迅速に対処する必要があります。

顧客満足度の低下

顧客がコンタクトセンターに対して不満を抱く原因には、以下のようなものがあります。

・電話がつながりにくい
・電話代がかかる
・たらいまわしにされる
・解決しなかった
・担当者が冷たい

多くの不満があるなかでも、顧客がストレスを感じやすいのが「電話がつながりにくい」ことです。顧客がコンタクトセンターに電話をするのは、何かを解決したい状態です。解決したい気持ちがあるにもかかわらず、電話がつながらないと、もどかしさから大きなストレスを感じてしまいます。顧客が不満を抱えることは、顧客満足度の低下を招くため、あふれ呼は企業にとって早急に解決しなければならない問題です。

機会損失につながる

コンタクトセンターは、既存顧客からの問い合わせだけでなく、新規の商品やサービスに興味を持つ見込み客からの問い合わせも受け付けています。多くの消費者は、購入前に疑問を解決したいと考えます。もし見込み客がコンタクトセンターにつながらずにイライラしてしまった場合、購買意欲が低下してしまうかもしれません。辛抱強い人なら何度も待ち続けるかもしれませんが、商品の購入を諦めてしまう人もいるでしょう。見込み客を失うことは、機会損失につながります。

商品や企業のブランドイメージが低下する

コンタクトセンターの待ち時間が長いと、コンタクトセンターの印象だけではなく、商品や企業のブランドイメージも損なわれます。電話がなかなかつながらないと、顧客は軽んじられた気分になり、アフターサービスに不安を抱くかもしれません。また、待たされることで不満を抱えた顧客からのクレームも増えてしまいます。不必要なクレームを防ぐためにも、あふれ呼の早急な改善が必要です。

離職率の向上

あふれ呼が多くなるとクレームが増加しやすくなります。電話がつながった瞬間に長時間待たされたことに対するクレームを唱える顧客も少なくありません。クレームは、オペレーターにストレスをかけるため、このような状況が続くと、モチベーションが低下する可能性もあります。オペレーターのモチベーションが低下すると、顧客へのサービス品質に悪影響が及ぶだけでなく、離職者が増加する恐れもあります。その結果、新たなオペレーターを補充しなければならなくなり、コンタクトセンターの運営に悪影響を及ぼしかねません。

あふれ呼の解決策

あふれ呼が増加すると企業に多くの問題が生じることがわかりました。早急に解決するためにも、以下のような解決策を実施することをおすすめします。

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オペレーターの増員

オペレーター数を増やすことで、あふれ呼は軽減できます。しかし、無駄な増員はコストを増やしてしまうだけになるため、適正なオペレーターの数を把握することが重要です。ただし、あふれ呼が組織構成や業務マニュアルに起因している場合は、増員での対応は一時的なものとなるため、根本的な解決策の必要性があります。

適正なオペレーター数を算出するには、コール予測から要員配置計算を行う計算式「アーランC式」を利用します。アーランC式には、以下の3つの要素が必要です。

・平均処理時間(AHT):顧客問い合わせを処理する平均時間
・1時間あたりのコール数:入電数の1時間あたりの平均
・サービスレベル目標値:通常、20秒以内に80%の電話に対応するという目標

アーランC式は複雑ですが、自動計算サイトを利用すれば簡単に適正人員数を導き出せます。

IVRの導入

IVR(Interactive Voice Response)とは、「音声自動応答システム」を意味します。音声自動応答を提供し、通話時における効率的な電話接続を実現するのが目的です。IVRにより、顧客の待ち時間が短縮され、企業も通話対応にかかる時間を削減できるので、双方にメリットが生じます。

かつてのIVRは、着信後に機械音声によるガイダンスが提供され、顧客がダイヤルを操作することで、担当部署に接続されていました。現代のIVRは進化しており、主に以下の3つの種類があります。

1.コールバック型IVR
オペレーターが忙しい場合、IVRが自動音声を提供します。顧客は自分の電話番号と希望のコールバック時間を登録でき、オペレーターは対応可能になった後でかけ直します。顧客は無駄な待ち時間を避け、企業は機会損失を軽減できます。

2.ビジュアルIVR
電話での問い合わせに対し、FAQページへのアプリやSMS経由の案内を提供するIVRです。顧客はオペレーターを介さずに問題を解決でき、音声ガイダンスを何度も聞き直す必要がありません。視覚的なインタフェースにより、ミスも減少します。

3.ボイスボット型IVR
受付から申し込みまで、すべての処理を自動音声で行います。簡単な処理について、ボタン操作に代わり対話形式で、効率的にサービスを提供します。

チャットボットの導入

Webサイトにチャットボットを導入するという解決策もあります。チャットボットとは、テキストベースのリアルタイム対話が可能な自動会話プログラムです。チャットボットには、主に以下の2種類があります。

・シナリオ型:事前に設定したスクリプトに従って対話を進行させる
・AI型:リアルタイムで会話内容を分析し、人工知能を使用して対話を進める

AI型のチャットボットは、機械学習により精度を向上させていく仕組みであり、シナリオ型よりも柔軟な顧客対応が可能です。

WFMの導入

近年、コンタクトセンターの運用において、WFMの導入が増加しています。WFM(Workforce Management)とは、コンタクトセンターの運用において、サービス品質の向上と人件費の抑制を同時に実現するマネジメント方法です。オペレーターの適正な配置を保ちつつ、リアルタイムで予実管理を行うことによって、業績の向上を支えます。

WMFシステムによって機能が異なることもありますが、一般的には以下のようなマネジメントが可能になります。

・入電予測
・必要なオペレーターの人員予測・手配管理
・オペレーターのスキル管理

特に特定の曜日や時間帯において入電が急増する傾向がある場合や、入電のタイミングを正確に把握できていない場合に非常に効果的です。入電がピークを迎える時間帯を事前に予測し、オペレーターを最適に配置できるようになります。

アウトソーシングの利用

アウトソーシングの利用は、あふれ呼対策の一環として有用です。特にイベントや繁忙期など、予測されるあふれ呼の増加時に、コンタクトセンター業務の一部を外部に委託すると良いでしょう。自社での増員手配にかかる手間を軽減できるメリットがあります。しかし、オペレーターの増員と同様に、一時的な対処となってしまうため、問題が組織構成や業務マニュアルに起因している場合は、別途、根本的な解決策を考えることも忘れないようにしましょう。

あふれ呼対策のメリット

あふれ呼対策を行えば、企業に以下のようなメリットをもたらします。

顧客満足度の向上

電話がつながらない状況や長い待機時間は、顧客に多大なストレスを与え、不満を高める可能性があります。あふれ呼を解決するために、IVRなどのサービスを利用すれば、適切なチャネルに顧客を誘導し、オペレーターを介さずに問題を素早く解決できる場面が増えます。24時間365日、適切なタイミングでサポートを提供できるようにもなるでしょう。顧客を待たせることなく疑問や不満を解決できる道筋を作れば、顧客満足度の向上も期待できます。

売り上げの向上

顧客が商品に関心を持ち、購入を検討している段階でスムーズに対応できるようになれば、購買意欲を高められます。機会損失を回避し、結果、売り上げ増加が期待できます。さらに、売り上げに直結する受電を効果的にオペレーターに振り分けることも可能です。最適にリソースを活用し、ビジネスの機会を的確に追求できます。

オペレーターの負担軽減

あふれ呼対策を行い、適切なオペレーターに振り分けられるようになったり、自動でFAQページへ誘導できたりするようになると、電話対応を本当に必要な顧客に限定できるようになります。コール件数が削減され、オペレーターの負担も軽減できるでしょう。また、コールバック型IVRを活用することで、顧客が希望する時間にコールバックを予約できるようになり、煩わしい掛け直し作業が不要になります。長い待ち時間により引き起こされる顧客のイライラに対応する必要性も減少するでしょう。

ビジュアルIVR『CS_LINK』があふれ呼対策をサポート

あふれ呼が発生する原因や解決方法について解説してきましたが、あふれ呼対策をサポートするツールも存在します。ここからは、弊社NTMが提供するビジュアルIVR「CS_LINK」についてご紹介します。

ビジュアルIVR「CS_LINK」は、お問い合わせチャネルをスマートフォンに集約させ、ポップアップ機能を活⽤して顧客に促したいチャネルをアナウンスし、最適なチャネルへ誘導するソリューションです。顧客・企業の双方に、以下のようなメリットをもたらします。

 

顧客のメリット 企業のメリット
・わかりやすい操作画面
・利用したいチャネルが好きなタイミングで活用できる
・ストレスなく自分の時間で進められる
・電話による問い合せの削減
・顧客満足度の向上
・顧客接点増による機会損失を削減

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まとめ

今回は、あふれ呼がもたらす問題や解決するための手段、おすすめのシステムについて解説しました。あふれ呼を解消することは、顧客側・企業側双方にとって、大きなメリットになります。ご紹介した内容を参考に、ぜひ問題解決に取り組んでください。


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