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自治体での入札とは?基本情報とその流れを詳しく解説

2023.10.17

自治体での入札は、資金が市民の生活に役立つ事業に使われるよう、業務を発注する事業者を選出する仕組みです。自治体での入札を適切に実施するには、理解が重要です。

今回の記事は、自治体での入札の基本情報や流れを解説します。


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自治体の入札とは?

自治体が行う入札は、公共入札と呼ばれます。日本において入札といえば、ほとんどが公共入札をさします。

公共入札とは、以下の公的機関が、民間企業に業務を発注する際に用いられる仕組みです。

・国や自治体などの官公庁
・官公庁に準ずる独立行政法人
・国立研究開発法人

民間企業に業務を発注する際には税金が使われます。公共入札は、税金を用いることの正当性・透明性を担保するために用いられます。

自治体での入札における3つのポイント

自治体の入札には押さえておきたいポイントがあります。ここからは、自治体での入札における3つのポイントを解説します。

公平性

自治体での入札は、公平性が重要ですので、公平に競争が行われなければなりません。

透明性

自治体での入札には税金が使用されます。入札した金額や入札した民間企業の情報は公開してください。そうすることで、透明性が確保できます。

市民から調達した税金は膨大な金額です。税金がどこにどれだけ使用されるかは、多くの市民が気にかけている情報です。入札に関する透明性を高め、市民からの信頼を獲得しましょう。

将来性

自治体での入札は、目先の利益よりも将来性を意識した入札が必要です。市民から賛同を得られるよう、自治体の将来をよくする事業に入札しましょう。

将来性のある事業は、以下があげられます。

・学校や公園、医療・福祉施設などの少子高齢化対策に関わる取り組み
・道路や水道、河川の整備など、生活の利便性を高める事業

市民の生活を守る事業や利便性を追求した事業への入札は、市民から賛同を得られやすいといえます。

談合とは?

談合は、自治体や企業が入札に関わる事業者同士で事前に相談する場を設け、入札先・入札金額に合意する行為です。

談合は、入札談合等関与行為防止法や独占禁止法に基づき厳しく罰せられます。談合の意図がない場合も、事業者同士の話し合いや暗黙の了解があれば、罰せられる恐れがあります。

入札は公正な価格競争のもとに行われるべきものです。そのため談合の防止が重要です。

談合を防ぐには?

談合を防ぐために、3つの防止策が定められています。

1つ目は入札談合等関与行為防止法です。これは自治体の職員が談合に関わる「官製談合」を取り締まる法律です。違反すると、刑罰を科せられます。

2つ目は独占禁止法です。私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法を取り締まる法律で、違反すると刑罰を科せられる恐れがあります。

3つ目は課徴金減免制度です。談合に関与した企業が、関与した旨を自ら公正取引委員会に申告すると、課徴金が減免されます。

自治体が入札を行う流れ

自治体の入札は、公示・審査・入札・落札の流れで行われます。

公示

入札に関する情報を開示する手続きです。公示後に説明会が行われる場合もあるでしょう。入札の参加には一定の条件を満たす必要があります。条件は自治体や案件によって異なります。

審査

入札に参加を申し込んだ企業が参加要件を満たしているかを調べる調査です。審査に通った企業のみが入札を行えます。

入札

企業が入札価格を提示します。インターネットを経由した、電子入札が認められる場合もあるでしょう。

落札

入札価格のもっとも低い企業が落札者に決まります。ただし、入札価格が低くても、落札者になれない場合があります。詳しくは、後ほど解説する入札先選定方式をご参照ください。

入札の募集方法の種類

入札の募集方法には、いくつかの種類があり、異なる特徴をもちます。ここからは、自治体での入札における募集方法を4つご紹介します。

均等に機会を与える一般競争入札

一般競争入札は、不特定多数の応募を募り、最安値を提示した事業者と契約を結ぶ方法です。自治体での入札は、ほとんどが一般競争入札で行われます。

自治体が提示した条件を満たしていれば、いずれの事業者も参加できます。ほかの募集方法と比べてもっとも公平性・透明性を確保しやすい点がメリットです。
一方、事務負担が大きい、経費が高額になる、不良・不適格な事業者が混ざる可能性があるなどがデメリットとしてあげられます。

実績重視の指名競争入札

指名競争入札は、自治体が特定の事業者を複数指名し、最安値を提示した事業者と契約を結ぶ方法です。

自治体に指名された事業者のみが入札に参加できます。実績を有する事業者や信頼がある事業者が指名されます。そのため、立ち上げたばかりの事業者は参入しにくい方法です。
一般競争入札と反対に、事務負担や経費を削減できる、不良・不適格な事業者を排除できるといったメリットがあります。ただし、一般競争入札と比べて公平性・透明性の確保が難しいといえます。

一定以上の規模になるWTO対象入札

WTOは世界貿易機関の略称です。WTO対象入札は、海外の事業者も参加でき、国内の事業者のみで行われる入札よりも規模が大きくなります。入札方法というよりは、入札自体の規模を示す用語と考えた方が分かりやすいでしょう。

WTOの対象になるための基準額は注内容ごとに定められています。基準額以上の契約がWTO対象の案件です。
WTO対象入札を実施できる自治体は、都道府県・指定都市・中核市と定められています。

入札せずに契約する随意契約

随意契約は、入札を実施せずに契約相手を決められる募集方法です。公平性の観点より、認められにくい方法です。しかし、条件を満たせば、実績がありスキルの高い事業者と契約できます。

随意契約を結ぶには、2社以上の事業者からの見積もりが必要です。地方自治法施行令で定められている条件に該当する場合にのみ、随意契約を実施できます。

自治体が落札業者を選定する際の方式5つ

自治体が入札先を選ぶ際の方式には種類があります。自治体の入札先選定方式を5つご紹介します。それぞれの方式がどのようなものかを理解し、案件の内容に応じて方式を選択しましょう。

最低価格落札方式

最低価格落札方式は、最安値を提案した事業者が落札する方式です。もっともシンプルな方法ですが、ダンピングを仕掛ける業者の恐れがあります。

ダンピングは、不当に安い価格で入札することです。案件の内容に対して割に合わない低価格での入札や、相場と比較して過度に安い価格での入札をさします。

ダンピングを防ぎたいときは最低制限価格制度と低入札価格調査制度を採用しましょう。以下で詳しく解説します。

最低制限価格制度

最低制限価格制度は、案件の内容に適した価格で入札される制度です。入札価格の上限値・下限値を設定します。下限値以上の価格を提示した事業者のうち、最低価格を提示した事業者が落札者に決まります。
最低制限価格制度は、設定された下限値より低い価格を提示した事業者は失格と判定される点が特徴です。ダンピングを防ぐ方法のひとつです。

低入札価格調査制度

低入札価格調査制度は、最低価格を提示した事業者が落札者として認められないとき、次に安い価格を提示した事業者を落札者に決める制度です。案件の内容に適した価格ではないと判断した場合、またはその事業者との契約締結が公正な取引ではないと判断した場合に利用できます。

入札価格の上限値を設定し、上限値より安価な入札額を提示した事業者に対して調査を実施します。調査される内容は、サービスの内容・実績・信用情報などです。調査によって一定以上の質が確保できると判断された事業者のうち、最安値を提示した事業者を落札者に決めます。

総合評価制度

総合評価制度は、企画提案書やプレゼンテーションを用いて技術力・実績・安全性などを評価し、落札者を決定する制度です。企画提案書やプレゼンテーションで価格以外の面を評価し、数社に絞り込みます。絞り込まれた事業者に価格を提示してもらい、企画・価格の2つを評価して、落札者を決定します。

複数人の学識経験者の評価が反映される、透明性の高い制度です。企画と価格のバランスが優れた事業者を落札者に選びます。

プロポーザル方式

プロポーザル方式は、企画提案書やプレゼンテーションを用い、企画の内容を評価して落札者を決定する方式です。総合評価制度と似ていますが、価格を判断基準に含めず、企画の内容のみ評価する点が異なります。

プロポーザル方式は、企画提案書のみを評価するケースと、企画提案書・プレゼンテーションの両方を評価するケースがあります。主に以下の3つです。

・公募型プロポーザル方式
・指名型プロポーザル方式
・環境配慮型プロポーザル方式

まとめ

自治体での入札は、業務を発注する事業者を決めるための仕組みです。

自治体での入札における募集方法は4種類あります。自治体での入札におけるほとんどは一般競争入札によって実施されますが、案件の内容に応じてほかの3種類より募集方法の選択が可能です。また、自治体の入札先選定方式も、5つの方式から案件の内容に応じて選択できます。

入札に税金が使われることを考慮し、公平性・透明性・将来性を高められるような募集方法や選定方式を選択しましょう。


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