ECサイトとは?基本情報と5つの種類・4つのビジネスモデルを解説!
インターネットやスマートフォンの成長・普及により、近年、消費者の買い物行動は大きく変化しています。特に注目したいのが、オンライン上で買い物ができる「ECサイト」からの購入です。商品・サービスの口コミ、価格をECサイト、SNSなどで消費者が情報を検索し、商品を選ぶのが主流となってきました。今回は、ECサイトの概要をはじめ、ECサイトを構成する機能や業務内容についてくわしく解説していきます。
目次
そもそもECサイトとは?
ECサイトのECとは「Electronic Commerce」の略語です。「電子商取引」と訳され、インターネット上に開設された「商品を販売するWebサイト」を指します。ECサイトは、ほかにも「Eコマース」「ネットショップ」などと呼ばれることがあります。
ECサイトにおいてサイト運営者は、パソコンやスマートフォンなどを利用し、インターネット上で商品を販売できます。利用する顧客は、インターネットに接続されたパソコン・スマートフォンなどのデバイスでECサイトにアクセスします。顧客が欲しい商品をカートに入れて注文し、決済画面が完了すると購入できます。
ECサイトが必要な理由
日本では、1997年頃から大手企業がECサービスを開始しました。1999年には「Yahoo!ショッピング」や「Yahoo!オークション」、2000年には「Amazon」がサービスを始め、一般層にもECが浸透し始めました。
ECサイトは、実店舗を持たずに販売できるだけではなく、日本はもちろんのこと海外での売買も可能です。ここ数年は、コロナ禍による影響などで、オンライン需要が高まる傾向にあり、ECサイトは企業にとって欠かせない販売方法になっています。
国内のEC市場規模
経済産業省が2022年に発表した「国内電子商取引市場規模」によると、2021年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は、前年の19.3兆円から20.7兆円に拡大し、7.35%も増加しています。また、2020年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模も、前年の334.9兆円から372.7兆円に拡大し、11.3%増加しました。
全ての商取引におけるECが占める割合を「EC化率」といいますが、BtoC-ECでは8.78%(前年比0.7ポイント増)で、BtoB-ECでは35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあります。この結果から、商取引の電子化は引き続き進展していくと考えられます。
BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)
引用:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
ECサイトの5つの種類
ひとことでECサイトと言っても、以下のようにさまざまな販売形式があります。
ECサイトの販売形式 | 概要 |
---|---|
単店舗型ECサイト | 自社商品を販売するため独自に構築したサイト形式 |
BtoB型ECサイト | 企業間取引のために構築したサイト形式 |
オムニチャネル型ECサイト | 実店舗とECサイトなど、あらゆるチャネル(販売経路)を統合して活用する形式 |
ショッピングモール型ECサイト | Amazonや楽天市場など、1つのECサイトに複数のEC店舗を構築する形式 |
越境ECサイト | 海外に向けて販売しているサイト形式 |
ECサイト4つのビジネスモデル
ECサイトを運営するには「ECサイトのビジネスモデル」の理解が必須です。ECサイトは、売り手と買い手の属性によって以下のようなビジネスモデルに分けられます。「B」はBusiness(企業)、「C」はConsumer(一般消費者)を意味します。
ビジネスモデル | 概要 |
---|---|
BtoC
(Business to Consumer) |
企業と一般消費者間での商取引を指し、企業が販売する商品・サービスを一般消費者が購入する形態 |
BtoB
(Business to Business) |
企業間で行う商取引を指し、企業が販売する商品を企業が購入する取引 |
CtoC
(Consumer to Consumer) |
個人同士で行うオークションサイトやフリマアプリなどの売買取引 |
DtoC
(Direct-to-Consumer) |
卸売業者などを通さずに消費者へ直接販売するモデル |
ECサイトを構成するために必要な機能
ECサイトの概要がわかったところで、ECサイトを開設するには何を準備したら良いのか気になる方も多いでしょう。そこで、ECサイトを構成するために必要な機能を解説します。
ショッピングカートの機能
まず、ECサイトを運営するのに欠かせないのがショッピングカートの機能です。ECサイトで買い物する際には、商品の近くにある「カートに入れる」というボタンを押すと、購入予定の商品がカートに入ります。ショッピングカートの機能は、無料で始められるものから有料のカートまで種類が豊富なので、目的に合わせて選定することが大切です。
ショッピングカート設置の際は、商品をカートに入れる際の動線チェックを顧客目線で行うことが大切です。例えば、商品をカートに入れて決済画面に進んだ際に、買い忘れに気づいて戻りたい場合、戻る方法がわからないと、購入体験の質が低下します。決済に進んでもらえない「カゴ落ち」になってしまうだけでなく、リピートしてくれない可能性も高まるでしょう。顧客の目線の動線チェックを事前に行うと、機会損失を防ぐことにもなります。
決済サービスの機能
決済サービスとは、顧客が支払いを行うための決済手段です。クレジットカード、コンビニ支払い、代金引換などの決済手段を導入する準備を行います。最近ではPay払いなど、新たに個人情報を入力しなくても購入可能な「ID決済」も人気です。
独自の決済サービスを構築するケースもあれば、決済代行会社と契約するケースもあります。ネットショッピングではクレジットカードの利用率が最も高いので、クレジットカードを中心に、そのほかの決済手段を取り入れていくのが良いでしょう。
導入コストの関係で決済手段が限られる場合は、自社のターゲット層が最も多く使う決済手段を優先させます。また、コンビニ後払いは人気の決済手段ですが、運営資金が十分でない時期に導入すると資金繰りに影響する可能性があります。
小規模な決済方法から始め、ECサイトの成長に合わせて決済手段を増やしていくのも良いでしょう。
顧客管理のシステム
顧客管理システムは、顧客の購入履歴やアクセスログなどのデータが蓄積されるシステムです。システムを利用して、顧客情報とアクションの履歴などを紐づけて管理できます。データが整理されれば、過去に閲覧したページから顧客に最適なアプローチを行うことも可能です。
ポイント付与やクーポンの配布など、個別の状況に合わせてアプローチを行えば、顧客満足度の向上にもつながります。満足度が向上すれば、リピート率のアップも見込めるでしょう。ショッピングカートに顧客管理システムの機能が備わっていることもあるので、事前に確認しておくことも大切です。
受注管理のシステム
受注管理システムとは、受発注、入金状況の確認、キャンセル処理などが行えるシステムです。ECサイトは実店舗に比べて口コミの影響を受けやすいため、受注管理画面の使い勝手の良さにこだわることは重要です。入金後の発送が遅い場合やキャンセル後の連絡がない場合、顧客の心象を損なうことにもなります。入金後の発送遅延やキャンセル後の連絡不備を避けるためにも、操作性の良さ、管理画面の見やすさをチェックします。また、「一括対応ができる機能があるか」など、業務効率化が叶うかどうかも、あわせて確認しておきましょう。
メールの機能
ECサイトには、下記のような顧客とのコミュニケーションができる仕組みが必要です。
- 受発注状況のお知らせ
- 購入後のお礼やフォロー
- セールのお知らせ
- メールマガジンやクーポンの送付など
ECサイトを開設する際には、メール配信機能にもこだわりましょう。
集客のツール
ECサイトは、開設したら終わりではありません。ECサイトの成長のためにも、新規顧客を集めたり、リピーターを獲得したりすることが重要になります。広告やSNSとの連携が可能かどうか、出品や在庫状況に合わせた集客が効率良く行えるかなどを考慮したツール選びも大切です。
ECサイト運営の業務内容
ECサイトの業務は、以下のようにさまざまなものがあります。自社で行うべき業務を解説し、最後に外注可能な業務を紹介するので、ECサイト運営の参考にしてください。
商品の管理
商品管理とは、商品マスター管理、在庫管理、売上管理などの一連の業務を指します。効率的に出荷を行い、在庫の過不足を起こさないように最適な量に調整します。
業務の種類 | 業務内容 |
---|---|
商品マスター管理 | 商品をECサイトに掲載するために必要な業務。商品の撮影や紹介用の文章作成などを行う。 |
在庫管理・検品・発送 | 在庫を倉庫などで管理する。受注に対する検品・梱包・発送や棚卸などを行う。 |
売上管理・発注管理 | 商品の発注計画を立て、仕入れを行う。海外から仕入れる場合は貿易の知識も必要。 |
サイトの管理
サイト管理とは、ECサイトへの商品登録や情報更新など、サイト運営に関わる管理業務を指します。HTMLやCSSなどWeb特有の記述を使ったプログラミング知識が必要です。目的に合ったサイトデザインや機能カスタマイズのため、エンジニアやプログラマーとコミュニケーションを取りながら業務を進める必要があります。クリスマスや正月など、季節ごとのイベントやセールなどの特集ページのコンテンツ作成もサイト管理に含まれます。
顧客のサポート
受注管理、顧客からの入金確認、問い合わせやクレームなどに対応する業務です。通常はメールまたは電話で対応しますが、顧客と接する業務のため、ECサイト運営にとって非常に重要であり、接客スキルが欠かせません。複雑な商品を扱う場合は、顧客の質問にわかりやすく答えるためにも、商品に関する深い知識が求められます。
顧客の管理
顧客管理とは、顧客データや会員機能を管理する業務です。購入者の声やアンケート結果を社内にフィードバックしたり、顧客に最適な情報をメールマガジンで配信したりします。ほかにも、以下のような業務が顧客管理に含まれます。
業務の種類 | 業務内容 |
---|---|
アクセス解析 | webサイトやアプリなどのアクセス状況を解析し、売上計画、集客・販促の施策に反映する。解析ツールを使いこなす知識が必要。 |
集客・販促プロモーション | 集客・販促に効果的な施策を検討・実行する。Web広告やマーケティングの知識が必要。 |
ブログやSNSの投稿・更新 | ブログ記事やSNSを投稿・更新する。商品紹介をはじめ、使い方の提案などを写真や動画で発信する。 |
ECサイトの運営で外注できる業務
ECサイトは、先にご紹介したようにさまざまな業務がありますが、数ある業務の中で外部に委託した方が効率的なものもあります。ECサイトでは、以下のようなバックヤード業務の一連のプロセスを「フルフィルメント」といいます。フルフィルメント業務を効率的に行うために、業者に外注するケースも一般的です。
フルフィルメントの業務内容 |
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カスタマーサポート 入荷管理・検品作業 商品の保管 受注処理 ピッキング・流通加工 梱包 発送 決済業務 返品処理と顧客対応 |
自社で倉庫やコールセンターを構えたり、人材を抱えたりすると、固定費として販管費が計上され、利益が出にくいこともあるでしょう。そのような場合はフルフィルメント業者に外注すると、自社で倉庫やコールセンターを構える必要がなく、人材費も抑えられます。物流のプロに任せることで、自社でサービスを提供するよりも圧倒的なスピード感とクオリティで顧客対応が可能になります。
まとめ
今回は、近年利用者が増加中のECサイトについて、必要な機能や業務内容について解説しました。ECサイトを効率的に構築・運営するには、自社に合ったサイトや機能を選択し、効率的な運営を行っていくことがポイントです。まずは小規模なECサイトからはじめ、売上に応じて拡大していくのも良いでしょう。