コールセンターの委託にかかる費用とは?料金形態とポイントを解説!
顧客との重要な接点であるコールセンターを開設したいと考える企業は多いでしょう。近年では、業務効率化を図りたい、顧客満足度を向上させたいなどの目的で、コールセンターの委託を検討する企業も増えています。そこで今回は コールセンター委託の料金形態や委託先選びのポイントを解説します。内製するか委託するか迷っている企業や、どのように委託先を選んだら良いかわからないという方の参考になるでしょう。
目次
コールセンター委託の料金形態
コールセンターを委託する場合は、さまざまな費用がかかります。料金形態についてくわしく知っておかなければ、業務を委託できるかどうかの判断もできません。こちらでは、コールセンター業務を委託する場合の一般的な料金形態について、くわしく解説していきます。
初期費用
コールセンターを開設する際は、自社で内製する場合でも他社に委託する場合でも、初期費用がかかるのが一般的です。委託する場合は、代行会社に対して以下のような初期費用を支払います。ただし、初期費用を必要としない代行会社もあるので、比較検討の際には必ずチェックしておきましょう。
- コールセンター業務に使用する場所の整備・工事費用
- オペレーターが使用する機材や備品の費用
- 電話回線や構内交換機(PBX)の設置費用
- システムやソフトウェアの費用
- マニュアル作成費用
- オペレーターの教育費用
初期費用は、コールセンターの規模や使用するシステムの内容によって大きく異なります。小規模のコールセンターで設備を必要最小限とするなら、数十万円程度で済むケースもあるでしょう。しかし、大規模コールセンターで十分な設備を整える場合は、初期費用に数百万円必要なケースもあります。
月額固定
コールセンターの料金形態は、一般的に「月額固定」「従量課金」「成果報酬」などがあります。
月額固定では、コール数によって月額料金が固定されています。コール数を超えなければ、基本的に決められた金額以上の費用は発生しません。コールセンターの毎月の委託予算が決まっている場合などは、月額固定が向いているでしょう。
月額固定で注意したいのは、「コールオーバー」です。コールオーバーとは、あらかじめ決めたコール数以上の受電があった場合、別途追加料金が発生する仕組みです。例えば、1ヵ月の受電数を300件で契約している場合でも、実際には400件の電話がかかってくれば、追加100件分のコールオーバー費用が発生します。コールオーバーは「件数×コールオーバー単価」で計算するのが一般的です。月額固定費が安い代行会社でも、コールオーバー単価が高いケースがあるため、月額固定で契約する場合は、コールオーバー単価も必ず確認しておきましょう。
従量課金
従量課金は、実際に代行会社が対応したコール数に応じて料金を支払う形態です。1件あたりに換算すると、月額固定に比べて単価が高く設定されているケースが多いですが、コール数が少ない場合は比較的安価になります。ただし、コール数が多い場合は、他の形態よりも費用が高くなってしまうことがあるので、注意が必要です。従量課金は、対応したコール数によって金額が決まるため、コール数のうち何件の顧客対応が成約につながったかを確認し、費用対効果があるかどうかを確認する必要があります。
成果報酬
成果報酬は、代行会社が獲得したアポイントや受注などの成果数に応じて料金を支払う形態です。一般的には、売上から一定の割合を代行会社に支払います。成果が出た場合にのみ費用が発生するため、導入しやすい形態といえるでしょう。ただし、最低月額料金が設定されているケースがほとんどであり、成果が出ていない場合でも一定額の費用が発生します。
委託費用に違いが出る理由
コールセンターの料金形態は、主に「月額固定」「従量課金」「成果報酬」という3つの形態があることを解説しました。しかし、同じ形態であっても大きな費用差が生まれるケースがあるので注意が必要です。差が出る要因には、対応件数・対応日時の違いだけではなく、インバウンド・アウトバウンドなどの業務内容の違いがあります。
インバウンド・アウトバウンドの違い
コールセンターの業務には、大きく分けて「インバウンド」「アウトバウンド」の2種類があります。それぞれの業務内容によって費用が異なり、一般的にインバウンドよりもアウトバウンドのほうが費用が高い傾向にあります。それぞれの業務の違いについてチェックしてみましょう。
インバウンドの業務内容
インバウンドとは「受電」を意味し、以下のような業務を行います。顧客からの問い合わせに応える、顧客からの注文を受けるなど、いわゆる受け身の業務です。基本的にコール数やメール数、受注・発注件数などで料金を計算します。
- 自社商材に関する問い合わせ対応
- 受注、発注対応
- メール対応
- 顧客情報入力などの事務作業
アウトバウンドの業務内容
アウトバウンドとは「発信」を意味し、以下のような業務を行います。こちらから連絡してアポイントを取る、アンケートに答えてもらうなど顧客へ電話をかける業務です。成果が求められるため、インバウンドよりも費用が高くなる傾向があります。
- テレアポ営業
- テレマーケティング(電話で行う市場調査)
- アンケート調査
- アフターフォロー
コールセンターの委託先を選ぶポイント
コールセンターを委託する際は、多くの代行会社の中から自社に合った業者を選ばなければなりません。しかし、どのように選べば良いのかわからないという方も多いでしょう。こちらでは、コールセンターの委託先を選ぶ際に重要な5つのポイントについて、くわしく解説します。
費用の確認をする
委託費用の予算に納めるためには、事前に費用を確認する必要があります。費用の安さ・高さだけではなく、以下のようなポイントについても数社で比較して検討しましょう。
- 料金形態(月額固定・従量課金・成果報酬)
- 初期費用
- 月額基本料
- 対応件数・時間
- 業務の範囲
- 人員体制
料金が安くても、対応できる業務範囲が狭すぎると、運営がうまくいきません。希望通りの対応をしてもらえず、顧客からのクレームにつながってしまうこともあります。また、費用の確認をおろそかにすると、対応してほしい内容を後から盛り込むことになり、追加費用が発生してしまうケースもあります。費用の確認をする際は、複数の代行会社から見積もりを取り、自社の予算や業務に見合った会社を選びましょう。
継続依頼をする場合のコストを確認する
初期費用が高くても、月額料金が比較的安価で業務に見合った対応をしてくれるのであれば、ランニングコストを抑えることができます。委託先を選ぶ際は初期費用だけではなく、継続依頼をする長期的な費用がどのくらいになるのかという視点も大切です。
コールセンターの状況は日々変化します。業績が良く、コールセンターを拡張することもあるかもしれません。 小規模から始めて、ゆくゆくはコールセンターの規模を大きくしたい場合など、変化に対して柔軟に規模・機能の拡張に対応できるかも確認しましょう。
依頼内容に詳しい会社を探す
コールセンター代行会社は、対応できる業務に得意・不得意があります。また、内容によっては業務を限定しているケースもあります。ECサイトの窓口対応実績が高い企業、アウトバウンドコールを専門としている企業など、委託先が専門とする領域や得意とする業務を確認しておくことも大切です。大手の代行会社は多くの知識と経験をもっており、幅広く対応できるメリットがある一方で、社内リソースの関係上、依頼内容を理解していない新入社員が対応するケースもあります。そのため、大手企業だから良いという判断は危険です。「自社の依頼内容を得意としているか」「過去に同じような経験があるか」「実績はあるか」など、会社の規模に関わらず、自社にマッチするかどうかを判断基準にするのがポイントです。自社の依頼内容と一致し、コールセンターの導入や運用に適切なアドバイスができる経験豊富な企業を選定すると、心強いです。
オペレーターのコミュニケーションスキル
オペレーターは、顧客との接点になる重要な役割であるため、トーク力はもちろん、臨機応変な対応力や相手を不快にさせないコミュニケーションスキルも重要です。オペレーターの能力は個人によって差がありますが、スキルを持ったオペレーターは、経験年数が長い傾向があります。委託先を選ぶ際は、オペレーターのスキルや経験値の確認も必要です。また、オペレーターの能力は、SV(スーパーバイザー)によっても差が出ます。SVとは、コールセンター全体の監督業務、オペレーターの研修・育成、マネジメントなどを行う責任者です。SVは、コールセンター全体の質を向上させる役割もあります。SVを外部に委託する場合も、経験年数や経験値・実績を確認しましょう。
セキュリティ
コールセンターは個人情報を扱う業務です。多くの顧客情報を取り扱うため、セキュリティ対策は万全にしておかなければなりません。好調に運営できていても、1回の情報漏洩などで大きなリスクにさらされます。自社の機密情報はもちろんのこと、顧客のカード情報や個人情報が漏洩した場合は、賠償責任が課せられ、社会的信用も失ってしまいます。代行会社を選ぶ際は、コールセンターの場所や基盤システムの確認が必要です。さらに、プライバシーマークを取得しているか、過去に情報漏洩はなかったかなど、どのようなセキュリティ対策を取っているのか具体的に確認しておきましょう。
コールセンターの委託サービスを利用するメリット
コールセンターの委託先は慎重に選ぶ必要があります。自社にマッチしたコールセンターの委託サービスを利用すれば、以下のようなメリットを得られるでしょう。
コストの削減
コールセンターを自社で内製する場合は、コールセンターの設置場所・設備・人材などの確保が必要です。準備には多大な時間と手間もかかります。自社で内製する場合の初期費用には、システムや機器の購入費用、工事費用、採用費用などさまざまなコストが必要です。また運用費用として、施設や通信インフラなどの月額利用料などの維持費、ライセンス料、スタッフの給与も必要になります。外部に委託すれば、設備やスタッフも含めて依頼できるため、コスト削減が可能です。外部に顧客対応業務を任せることで、空いたリソースをほかの業務にまわすことができ、業務効率化に貢献できます。
ノウハウがなくても利用できる
自社にコールセンターノウハウがない場合は、業務委託した方がかえって効率的になるケースのほうが多いでしょう。スタッフの教育も必要なため、ノウハウの蓄積がされていない業務を社内で全てまかなうことは難しいです。自社にノウハウがない場合でも、委託サービスを利用することで、経験豊富なスタッフによる自社専任のコールセンターが設置できるため、スピーディーに立ち上げられます。コールセンターの委託サービスには、経験やノウハウが豊富に蓄積されています。顧客対応経験も豊富なため、コールセンター業務の専門性・生産性の向上に加え、依頼した企業の顧客満足度・評判の向上も期待できます。
アップセル・クロスセルの実現
コールセンターの委託サービスを利用することで、アップセル・クロスセルの実現にもつながる可能性があります。
アップセルとは、商品を検討している顧客に対して上位製品を提案することで、客単価を向上させる取り組みです。例えば、毎月3千円の化粧水を定期購入している顧客に、より美容成分が多い5千円の化粧水を提案することで、5千円の化粧品の定期購入に切り替えたことになれば、コールセンターの対応によって、ひとり当たりの売上が月額で2千円増えたことになります。
クロスセルとは、商品を検討している顧客に対して、別の商品も合わせて提案する取り組みです。例えば、先の例と同じように、毎月3千円の化粧水を定期購入している顧客に、5千円の美容クリームを併用することを提案し、化粧水と美容クリームを合わせて定期購入することになれば、コールセンター対応によって、ひとり当たりの売上が月額5千円増えることになります。
アップセル・クロスセルのどちらも、売上を拡大していくために重要なマーケティング手法です。ただし、アップセル・クロスセルは専門的なテクニックを要します。難易度が高く、経験が浅いオペレーターがすぐに対応できるものではありません。社内でオペレーターを育成するためには、相応の時間と手間が必要になります。アップセル・クロスセルを目的にコールセンターの委託サービスを利用すれば、経験豊富なオペレーターが効果的な電話対応を行ってくれるでしょう。時間・手間・費用をかけることなく、売上拡大が期待できます。
まとめ
顧客との重要な接点であるコールセンターの業務を委託する場合は、しっかりと比較検討して自社に合った代行会社を選ぶ必要があります。そのためにも、委託する場合の料金形態や費用に違いが出る理由を把握しておかなければなりません。委託サービスを利用することによって、自社にどのようなメリットをもたらすかを考え、ポイントを押さえて委託先を選ぶ必要があります。ぜひ今回の記事をもとに、自社に適したコールセンターの委託先を選んでください。