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アップセル・クロスセルとは?それぞれの違いや成功のポイントを解説

「アップセル」や「クロスセル」は、マーケティング用語の一つです。アップセル・クロスセルに取り組むことによって、顧客単価や、顧客1人が生涯うち一企業に対してどのくらいの利益を発生させるかを表すLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。市場競争が厳しい現代において、アップセル・クロスは多くの企業に注目されているマーケティング手法です。今回は、アップセル・クロスセルの特徴や違いについて解説します。また、アップセル・クロスセルのリスクや成功させるためのポイントについてもあわせてご紹介いたします。


アップセルとは?

アップセルとは、顧客1人あたりの「顧客単価」を上げるマーケティング手法の一つです。人口が減少しつつある現代の国内市場において、多くの企業に重視されています。アップセルに分類できる手法はいくつかあります。

まず、上位ランクの商品や、高額商品の提案を行う手法です。例えば、顧客が洗濯機の購入を検討している場合、顧客が想定しているよりも少し大き目のサイズを提案したり、最新モデルを提案するのがアップセルです。「大きなサイズは家族が増えても対応できる」「最新機種は乾燥機能のパワーがアップしている」など、上位ランクや高額商品のメリットや利便性を訴求します。

また、まとめ買いや定期購入の提案もアップセルです。まとめ買いや定期購入によって、商品が割安になったり、送料無料になったりすることを訴求します。

クロスセルとは?

クロスセルとは、アップセル同様、顧客1人あたりの「顧客単価」を上げるマーケティング手法です。しかし、アップセルとは異なり、顧客が購入しようとしている商品やサービスに加え、関連する「別商材」も提案する方法です。本来購入するはずの商品・サービスに加えて、別の商材を購入してもらうことで、顧客単価の向上が期待できます。例えば、レストランで食事をするときに、ドリンクセットを付けることを提案するのはクロスセルに該当します。また、保険契約のオプション商品を提案するのもクロスセルです。

ECサイトの場合は「この商品を購入した人は、こちらの商品も購入しています」などと表示することによって、クロスセルを誘導します。店頭の場合は、商品の近くに関連商品を置くのが効果的です。例えば、冬のスーパーの野菜売り場では、鍋料理を作る人を想定して、白菜や大根の側にポン酢を置くなどのクロスセルを行います。

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アップセルとクロスセルの違い

アップセルとクロスセルは、顧客単価の向上という点で、目的が共通しています。しかし、アップセルが同商品の上位ランクや高額商品の提案をするのに対して、クロスセルは関連する別商材を購入してもらうという違いがあります。目的は同じでも、達成までのアプローチに違いがあるのが特徴です。

アップセル・クロスセルの目的

ここでは、アップセルやクロスセルのそれぞれの目的について、くわしく解説します。

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LTV(顧客生涯価値)の向上

LTVとは、顧客1人が生涯のうち、一企業に対してどのくらいの利益を発生させるかを表します。顧客の潜在ニーズにフィットしたアップセルやクロスセルを行えば、「良い商品を提案してもらえた」「より便利になった」など、期待以上の購買体験を実感してもらえるため、顧客満足度の向上が期待できます。顧客と企業がより良い関係を築けると、「また買おう」「次は別の商品を買ってみよう」という好意的な印象を与え、LTVの向上にもつながります。

顧客単価、LTV向上による業務効率化

働き手が減少しつつある現代においては、利益率の高いビジネスモデルを展開することが重要です。
自社の商品やサービスについて何も知らない状態の新規顧客に商品・サービスを売るには、多くの時間や手間がかかります。しかし、一定の情報を得ている顧客や、理解がある既存顧客にリピート(再来店・再購入)してもらうのは、さほど時間や手間はかかりません。顧客単価やLTVを向上させると、顧客数を増やすことなく総売上額を増やせるため、効率良く利益の向上が狙えます。

アップセル・クロスセルが重要な理由

近年は、インターネットやECサイトの普及によって、多種多様な商品やサービスが市場に溢れ、消費者の選択肢が広がっています。また、日本市場では、類似商品やサービスを販売する競合が次々と現れているというのが現状です。新規顧客を獲得するコストは、既存顧客の5倍かかる(1:5の法則)ともいわれています。そこで注目されているのが、LTVの向上です。顧客1人あたりの売上を増加させ、長く使ってもらうことで、企業は中長期的な成長を目指せます。そのため、多くの企業では、LTV向上に効果的なアップセルやクロスセルに力を入れています。

アップセル・クロスセルのリスク

アップセルやクロスセルは、顧客単価やLTV向上など、企業に多くのメリットをもたらします。しかし、やり方を間違えるとリスクにもなりかねないので注意が必要です。なぜなら、顧客が好意的に受け止めてくれなければ、「ゴリ押しされた」「強引に買わされた」などの印象を与えてしまうからです。アップセルやクロスセルを行うには、顧客の「買う気」を見極めるのがポイントになります。買う気がない顧客にアップセルやクロスセルを行えば、「強引」と受け取られてしまいます。

顧客の行動をよく観察することも重要です。商品選定にこだわりのない場合や、いくつかの商品で悩んでいるときは、アップセルを行うことによって「良い商品を勧めてもらった」という印象を与えられます。

商品を勧める際には、顧客とのコミュニケーションも重要です。例えば、空気清浄機の購入を検討している顧客と会話するなかで「手入れが面倒」というキーワードを引き出せたとしましょう。手入れが楽な機種を勧めることによってアップセルを狙ったり、入れておくだけで「ぬめり」が防げる洗浄剤をあわせて提案するクロスセルが行えたりします。どちらの場合も要望に合わせて提案した形となり、ゴリ押し感を抱かれるリスクは少なくなります。

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アップセル・クロスセルを成功させるには

アップセルやクロスセルを成功させるには、いくつかのポイントがあります。こちらでは、成功に導くための4つのポイントについて、くわしく解説します。

日頃から顧客情報の収集と管理を行う

アップセルやクロスセルを成功させるには、日頃から顧客情報の収集や蓄積を継続的に行うことが大切です。アップセルやクロスセルは、顧客が「必要」と感じるものを提案しなければ、成功しないからです。必要ではないものを提案すれば、顧客に押し付けられた印象を与え、かえって反感を買うこともあるでしょう。適切なタイミングで提案をするためには、顧客情報の把握が必要です。例えば企業に対して営業を行う場合、決裁権をもつ担当者や、プロダクト導入の推進者を把握していれば、適切な人に最適な提案が行えます。また、顧客の現在の課題や目的を知ることで、課題や目的にフィットした商材を提案できます。顧客情報の把握は、個人的・属人的に行うのではなく、組織の業務として定着化させることが重要です。そうすれば、誰が対応しても、顧客のニーズに合った商品を提案できるようになります。

顧客の中でもアプローチする優先順位を決める

アップセル・クロスセルは、すべての顧客に対して行うのが理想的です。しかし実際にすべての顧客にアプローチしていると、自社のリソースが足りなくなってしまいます。効率的に進めるためには、顧客の中でもアプローチするターゲットを絞り、優先順位を決めるのがポイントです。顧客のLTVを軸として、業種・業態や企業規模、プロダクトの活用成熟度、顧客ロイヤルティが高い順に実施します。これらの項目の数値が高いほど、プロダクトに依存していると考えられるため、アップセルやクロスセルの成功率は上がるでしょう。また、プロダクト活用状況のデータから、アップセルやクロスセルの機会がある傾向が高い順に実施するのもおすすめです。

ユーザーニーズを考え、アップセルかクロスセルかを判断する

アップセルとクロスセルは、最終的な目標は同じでも、達成までのアプローチに大きな違いがあります。顧客のニーズに合った提案をしなければ、良い印象は与えられません。特に、クロスセルには注意が必要です。不要なオプションやアップグレードを提案すれば、返品や解約につながる恐れがあります。顧客のニーズをつかむためには、コミュニケーションを取り、会話の中から顧客の「要・不要」を見分けることが大切です。

ECサイトなど、顧客とのコミュニケーションが取りにくい場合は、収集・集積した顧客データを分析しますが、それとあわせて、ペルソナの行動予測に応じたタイミングで提案するのもおすすめです。

例えば、新規顧客の場合は、関心度が最も高い「顧客が購入を決めようとしているタイミング」にアップセルやクロスセル提案することで、上位モデルや関連商品の必要性を強く感じる傾向があります。既存顧客の場合は「契約更新やリピート購入のタイミング」に提案することで、上位モデルや関連商品の提案が通りやすくなるでしょう。

過剰な提案は避ける

アップセルやクロスセルを行ううえで重要なのは、顧客に満足してもらうことです。アップセルやクロスセルを行うことによって、顧客にメリットがあるのか、投資対効果があるのかを考えましょう。もしメリットや投資対効果がなければ「無駄な買い物をした」と思われることもあります。

また、どれだけメリットや投資対効果がある場合でも、資金に余裕がある場合や、顧客が買いたいと思うタイミングでなければ、効果はありません。よかれと思って提案しても「過剰に勧められた」というイメージを与えてしまいます。顧客が不快感をおぼえてしまうと、自社に対する不信感につながり、それ以上の取引が望めなくなります。店頭では、顧客の様子を見ながら提案を進めていくのがおすすめです。ECサイトの場合、しつこいメールなどは嫌われる原因にもなるので、注意が必要です。

まとめ

アップセルやクロスセルの内容や目的について解説しました。アップセルやクロスセルは、多種多様な商品やサービスに溢れ、競合が多い日本市場にとって、欠かせない施策です。顧客単価、LTV向上は、業務効率化にもつながります。ただし、メリットばかりではなく注意点やリスクもあります。今回は、成功させるためのポイントについても解説しました。ご紹介した内容を参考に、ぜひ自社の施策に活かしてください。


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