自治体のメタバースとは?できることと注意点を紹介

近年、多くの地方自治体がメタバースを導入し、地域活性化や住民サービスの向上を目指しています。地方自治体がメタバースを活用することで、観光資源の発信や移住促進、業務効率化などが期待されます。
地方自治体のメタバース導入の可能性や具体的な活用方法、注意点について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
自治体のメタバースとは

さまざまな活動ができます。これらの空間は、リアルタイムでインタラクションが可能で、物理的な制約を超えて人々が交流したり、コンテンツを体験したりできる点が特徴です。メタバースは、VRやAR(拡張現実)技術を活用し、ユーザーに没入感のある体験を提供します。
地方自治体においてもメタバースの活用が進んでおり、多岐にわたる用途が期待されています。
自治体でメタバースを活用してできること

地方自治体におけるメタバース活用は、地域振興や住民サービスの向上、過疎化対策に貢献します。仮想空間を通じて観光資源を発信し、行政と住民のコミュニケーションを円滑にするほか、リモートワークやオンライン医療の提供によって地方移住の促進も可能です。さらに、メタバースは行政業務のデジタル化を進められ、住民サービスの質向上にもつながるでしょう。
ここでは、自治体がメタバースを活用する具体的な方法について紹介します。
地域の魅力を発信できる
メタバースを活用することで、地方自治体は地域の観光資源や特産品を効果的に発信できます。仮想空間内で観光地を3Dで再現し、VRやAR技術を使った体験型コンテンツとして提供することで、遠方の人々にもその魅力を伝えられます。
また、特産品を仮想空間内で販売することで、物理的距離に関わらず消費者に届けられ、地域経済の活性化にもつながるでしょう。これによって、地域の魅力を広範囲に伝える新たな手段が提供されます。
リモート化により移住者が増やせる
メタバースを活用することで、地方自治体は過疎化や労働力減少など、課題への対策を進められます。仮想空間内で地域の生活環境を体験できる仕組みの構築によって、移住希望者に地方の魅力を効果的に伝えられます。
さらに、リモートワークやオンライン医療サービスの導入によって、地方に住みながら都市部と同じレベルの仕事や医療を享受できる環境が整うでしょう。メタバースによる移住促進は、地域の活性化と地方の人口減少問題の緩和につながると期待されています。
住民へのサービスの質が向上する
メタバースを活用することで、地方自治体は住民サービスの質を大幅に向上可能です。行政の窓口業務をオンライン化することで、住民は自宅から行政手続きを行えます。役所に足を運ぶ必要がなくなり、利便性が高まるとともに、住民の移動時間や待ち時間が削減され、ストレスも軽減されるでしょう。
さらに、オンライン予約システムの導入で、住民は必要なサービスをスムーズに予約でき、行政対応のスピードアップが図られます。メタバースの活用は、住民満足度の向上だけでなく、業務効率化による行政運営の最適化にもつながります。
文化財の保護や保管ができる
メタバースの活用によって、地方自治体は文化財の保護や保存を効率的に進められます。文化財をデジタル化して仮想空間に再現すれば、物理的な劣化を防ぎつつ、安全かつ長期的な保存が可能です。また、仮想空間上で文化財を展示することで、遠隔地に住む人々にもその価値を広く伝えられます。これによって、文化財が観光資源や教育ツールとして活用されると同時に、地域の歴史や文化を次世代に継承する手段ともなり得ます。
デジタル保管技術を取り入れることで、従来の保護方法を補う形で、貴重な文化財の保全と地域振興を両立させる革新的な取り組みが可能です。
自治体がメタバースを活用するときの注意点

地方自治体がメタバースを活用するには、さまざまな課題やリスクがあり、事前に把握し、対策を講じることが重要です。メタバース導入にあたっては、技術的な準備だけでなく、地域住民への配慮が欠かせないでしょう。
ここでは、自治体がメタバースを活用するときの注意点について解説します。
セキュリティ対策をする
メタバースはインターネット上に構築された仮想空間であり、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが伴います。地方自治体がメタバースを導入する際には、特に住民情報や行政データを保護するための徹底したセキュリティ対策が重要です。具体的には、アクセス制限の設定やデータの暗号化、外部からの不正アクセスを防ぐためのシステム導入が求められます。
定期的なセキュリティ監査を実施し、リスクを未然に防ぐとともに、万が一の際には速やかに復旧可能なバックアップ体制を整える必要があります。
匿名性のメリットとデメリットを押さえる
メタバースでは、匿名で参加できる仕組みがユーザーのプライバシー保護や自由な意見交換を可能にする一方、誹謗中傷や悪質な行為が増えるリスクも伴います。このため、地方自治体は行動規範を設け、違反行為に対して適切なペナルティを課す必要があります。
さらに、オンラインでの身元確認や透明性のある運営体制を整えることで、利用者が安全に利用できる環境の構築が重要です。メリットを活かしつつ、デメリットに適切に対処することで、安全で有意義なメタバース活用が可能となるでしょう。
依存性に留意する
メタバースは日常生活と密接に関わる技術として注目される一方で、長時間の利用による依存症のリスクがあります。地方自治体は住民の健康や生活への悪影響を防ぐため、適切な利用ガイドラインを設けることが求められます。特に、メタバースの利用時間を制限することや、現実世界とのバランスを保つような教育や啓発活動を進めることが重要です。
住民がメタバースを健康的かつ有効に活用し、現実生活と調和した形で利用できる環境を整えましょう。
住民のデジタル格差を考慮する
メタバースを活用する際、住民全員がデジタル機器を使いこなせるわけではないことを考慮する必要があります。年齢層や地域によってデジタル格差が存在するため、すべての住民が平等にアクセスできる環境整備が重要です。
地方自治体は、デジタルリテラシーが低い住民向けに、使い方について学べるサポート体制を提供するほか、現実の窓口や電話対応などの代替手段を充実させる必要があります。これによって、デジタル格差を解消し、すべての住民が適切にサービスを利用できる環境が整います。
自治体がメタバースを活用した事例

地方自治体がメタバースを活用する例が増えており、各地域で新たな試行がされています。
どのように地方自治体がメタバースを活用しているのか、そしてその成果をどのように評価しているのかなど、地方自治体がメタバースを活用した例を8つ紹介します。
千葉県木更津市
千葉県木更津市では、メタバース上での合同婚活イベントが開催されています。このイベントは、仮想空間を通じて参加者が交流を深める新しい形の出会いの場を提供します。交通の便が悪い地域や従来の婚活イベントに参加が難しい人々にとって、時間や場所の制約を超えた利便性が実現するでしょう。参加者は自宅からアクセスできるため、物理的な移動が不要で、より多くの人々が参加可能です。
また、地域住民に限らず、他地域からの参加者も招き入れることで、木更津市の地域活性化につながる効果が期待されています。
出典:メタバース婚活協会
静岡県焼津市
静岡県焼津市は、ふるさと納税の促進と特産品の知名度向上を目的に、メタバースを活用したPR活動を展開しています。特産品であるマグロやカツオの魅力を発信するため、メタバースイベント「バーチャルマーケット2022winter」に出展し、バーチャルマグロ一本釣りやマグロ解体ショーを開催しました。
また、納税額の限度額シミュレーターを設置することで、ふるさと納税の手続きをスムーズに行える環境を整え、納税件数の増加につなげました。こうした取り組みは、焼津市の知名度向上にも寄与しています
三重県明和町
三重県明和町では、「めいわデジタルプロジェクト」として、メタバースを活用した地域創生に取り組んでいます。アバターを活用したイベントや物産展を実施し、町の伝統工芸品や特産品を販売するなど、リアルとデジタルを融合したプロモーションを展開しています。
また、国内外のユーザーに向けたメタバースイベントを開催し、町の魅力を発信。町のファン(関係人口)を増やし、地域とのつながりを強化することを目的としています。
出典:三重県明和町
兵庫県養父市
兵庫県養父市では、仮想空間「バーチャルやぶinZEP」を提供し、メタバースを活用した地域活性化に取り組んでいます。スマートフォンやPCからアクセスでき、市役所や観光スポットの再現、イベントスペースの設置、住民や関心を持つ人々の交流を目的とした空間を整備しています。
また、「バーチャルやぶ市民証」の発行を通じて、養父市と関わりを持つ人々が共通のコミュニティを築き、地域の発展を支える仕組みも取り入れています。
出典:養父市役所
山口県萩市
山口県萩市では、ふるさと納税のPR活動の一環として、メタバースを活用した仮想空間「Decentraland」にPRブースを開設しました。ブース内では、萩市のふるさと納税返礼品を展示し、デジタルポスターを通じて寄付サイトへ直接アクセスできる仕組みを提供しています。
また、公式キャラクター「萩にゃん。」が来場者を迎え、地元特産品の魅力を発信。これにより、寄付者が返礼品をより身近に感じながら、スムーズに寄付を行える環境を整えています。
出典:萩市
佐賀県嬉野市
佐賀県嬉野市では、観光客の来訪意欲を高めるため、仮想の駅前広場「デジタルモール嬉野」を構築しました。利用者は自身のアバターで空間内を自由に移動し、360度カメラ撮影による臨場感あふれる観光の疑似体験が可能です。
このプラットフォームは、嬉野温泉観光協会のHPや公式LINEアカウントからアクセスでき、観光情報を提供することで、訪問者にとってより身近な観光体験を実現しています。
出典:嬉野市
鹿児島県日置市
鹿児島県日置市では、「ネオ日置計画」を通じて、メタバースを活用した地域コミュニティの創出を進めています。このプロジェクトは、市民との交流を主軸に据えた取り組みであり、オンライン上で鹿児島ならではの文化体験ができる場を提供しています。
特に、鹿児島弁を話す市民とのリアルな会話や、実演販売を通じた交流を重視し、「第2のふるさと」を築くことを目指しています。遠方に住んでいても、オンラインで日置市を身近に感じられるように取り組んでいます。
出典:日置市
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