自治体にChatGPTを導入するメリット・デメリット|できることも紹介

ChatGPTを活用し、業務効率化やサービス向上を目指す取り組みが広がっています。
職員の減少や少子高齢化といった課題を抱える地方自治体でも、ChatGPTを導入することで業務負担の軽減やサービスの質の向上が期待できます。
本記事では、地方自治体におけるChatGPTの活用事例を紹介します。業務効率化やサービス向上のため、デジタル技術の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- ChatGPTとは
- 自治体業務にChatGPTを活用するメリット
- 業務を効率化できる
- サービスの質が向上する
- 自治体業務にChatGPTを使うデメリット
- 誤った回答が出力されることがある
- 専門知識が必要な業務には使えない
- 情報漏洩のリスクがある
- 自治体がChatGPTを使ってできること
- 書類の作成
- 問い合わせへの対応
- イベントのアイデア出し
- Excelの関数処理
- 自治体業務にChatGPTを導入するときのポイント
- マニュアルやガイドラインを作る
- 住民の反応を集める
- 自治体業務にChatGPTを導入した事例
- 宮崎県都城市
- 神奈川県横須賀市
- 福井県越前市
- 三重県伊賀市
- 兵庫県神戸市
- 自治体業務の効率化は当社にお任せください
ChatGPTとは

ChatGPTは、アメリカのOpenAI社が開発した生成AIの一種で、自然な対話ができるAIサービスです。GPTと呼ばれる言語モデルを使用し、質問に対して高度で自然な回答が可能です。個人利用だけでなく、ビジネスでも活用が広がっています。
従来のチャットボットよりも、より自然な会話ができる点が特徴です。
自治体業務にChatGPTを活用するメリット

自然な会話文を生成できるChatGPTは、ビジネスの幅広いシーンで活用されています。資料作成や文書作成、企画のアイデア出し、キャッチコピーの考案、問い合わせ対応など、多様な用途に役立ちます。近年、多くの自治体でも業務への導入が進んでおり、その活用が広がっています。
ここでは、地方自治体がChatGPTを導入するメリットについて解説します。
業務を効率化できる
ChatGPTを活用すれば、業務の効率化が期待できます。従来は手作業で行っていた文書作成や編集・要約などの業務を任せることで、作業負担を軽減できます。必要な情報やターゲットを入力するだけで短時間で作成できるため、効率的に業務を進められます。また、企画やキャッチコピーのアイデアに行き詰まった際にも活用可能です。
このように、ChatGPTを文書作成やアイデア出しの補助として活用すれば、労力と時間を削減でき、その分、人の手が必要なコア業務に集中できます。
サービスの質が向上する
ChatGPTの活用は、住民の満足度向上につながります。従来の電話やメール対応では、職員がすべて対応するため待ち時間が発生していました。しかし、ChatGPTを導入すれば、住民は即座に回答を得られ、満足度の向上が期待できます。
さらに、多言語対応が可能で、多様なニーズにも応えられる点が魅力です。問い合わせ対応をChatGPTに任せることで、職員は窓口対応などに集中でき、サービスの質も向上するでしょう。
自治体業務にChatGPTを使うデメリット

ここまで、地方自治体業務におけるChatGPTのメリットを紹介しました。適切に活用すれば、業務負担の軽減やサービス向上につながりますが、注意すべき点もあります。導入を検討する際の参考にしてください。
ここからは、ChatGPTを使うデメリットについて説明します。
誤った回答が出力されることがある
ChatGPTは、インターネット上の情報を学習して文章を生成するため、誤った情報を含む場合があります。
そのため、ChatGPTの回答が常に正確とは限りません。情報収集に利用する際は、必ず内容を精査しましょう。
専門知識が必要な業務には使えない
ChatGPTは、一般的で大規模なデータから学習します。法律に関する業務は、高度で専門的な知識が必要なため、ChatGPTには不向きです。
その他にも、高度な知識が必要な業務は専門家に相談するようにしましょう。
情報漏洩のリスクがある
ChatGPTは、学習したデータに含まれる情報をもとに回答します。個人情報を学習させることはプライバシー保護の観点から問題視されています。
個人情報の他にも、地方自治体では、さまざまな情報を扱うため、重要な情報を扱う業務には使用せず、情報漏洩を防ぐセキュリティ対策に注意しましょう。
自治体がChatGPTを使ってできること

ここまで、地方自治体業務でChatGPTを使うメリットとデメリットをまとめました。ChatGPTを使った業務の効率化やサービス向上に関心のある方もいるのではないでしょうか。
ここからは、ChatGPTを使ってできる業務について解説します。
書類の作成
ChatGPTは、文章の作成が得意なため、資料作成にも役立ちます。条件や伝えたいターゲット、どのような文章を作って欲しいのかを提示することで、要望にあった文章を作ることができるでしょう。その後は文章の確認と修正で済むため、1から文章を作成するより業務の負担が軽減されます。
また、ChatGPTは、統計データや必要な情報なども素早く集められるため、書類作成のための情報収集にも活用できます。さらには、文章の編集や要約もできるため、ビジネスのさまざまな場面で活用できるでしょう。
問い合わせへの対応
問い合わせをChatGPTに任せることで、職員は、他の業務に集中でき、対応の負担を軽減できます。また、住民は、電話やメールよりも迅速に回答を得られ、待ち時間の短縮につながります。
職員と住民双方にとって、ChatGPTを活用した問い合わせ対応は、効率的な解決策といえるでしょう。
イベントのアイデア出し
ChatGPTは、企画のアイデア出しにも役立ちます。企画の概要やターゲットなどを伝えて、アイデアを質問すると、短時間でいくつかのアイデアに回答します。ChatGPTをアイデア出しの際に補助的に活用することで、業務の負担軽減につながるでしょう。
また、テーマに沿ったキャッチコピーの作成もできるため、ChatGPTにアイデアをいくつか出してもらって、人の手でブラッシュアップすることもできます。アイデア出しに行き詰まったときには、ChatGPTに任せてみると新たな切り口が見つかるでしょう。
Excelの関数処理
ChatGPTは、Excelの関数作成が可能です。Excelに関する複雑な業務もChatGPTの活用で効率的に進められます。
また、Excelに関する質問にも回答できるため、Excel操作が不慣れな方や、複雑な業務の効率化が期待できるでしょう。
自治体業務にChatGPTを導入するときのポイント

ここまで、ChatGPTを使える場面についてまとめました。ChatGPTを取り入れることで、さまざまな業務の効率化が図れます。
ただし、ChatGPTを業務に取り入れる際には、注意点や活用のポイントがあります。ChatGPTを導入するときには、ここから紹介するポイントに注意して取り組みましょう。
マニュアルやガイドラインを作る
マニュアルを作成し、運用方法を明確にしましょう。導入時には戸惑う職員が出る可能性があるため、業務が円滑に進むよう工夫が必要です。
また、トラブルを防ぐために利用ガイドラインを定め、周知することも重要です。ChatGPTのガイドラインを共有することで、職員も住民も正しく、効果的に活用できるでしょう。
住民の反応を集める
問い合わせ対応の質やChatGPTを用いた業務について職員や住民の反応を集めるようにしましょう。使った結果の反応を集め、PDCAを回すことで、住民の安心感や利便性を向上させられると考えられます。
また、業務に取り入れた職員たちの反応も集めることでさらなる業務の効率化につながるでしょう。
自治体業務にChatGPTを導入した事例

ここまで、ChatGPTを業務に取り入れるポイントについて解説しました。近年、さまざまな地方自治体で業務にChatGPTを活用する取り組みが進められ、注目されています。
ここからは、地方自治体業務にChatGPTを導入した例を紹介します。導入を検討中の方は、参考にしましょう。
宮崎県都城市
宮崎県都城市は、自治体環境でChatGPTを活用できる、「zevo」の共同開発を民間会社と進めています。地方自治体が民間会社と共同開発を進める、全国初の例です。自治体AI「zevo」の新機能、「自治体独自AI」は、自治体ごとの情報をサーバーに登録し、ChatGPTと連携します。登録した情報をもとに回答を生成するシステムです。都城市は、さまざまな仕組みに関する膨大なマニュアルがあるため、そのマニュアルを登録することで職員の業務効率化につながるでしょう。
また、利用の際に使用した情報は、ChatGPT本体に学習されない仕組みのため、地方自治体でも安心して利用できる点が特徴です。政策のアイデア出しや文書作成にも活用され、業務効率化やサービス向上が期待されています。
出典:宮崎県都城市
神奈川県横須賀市
神奈川県横須賀市では、自治体で初めて、ChatGPTの全庁的な活動実証を開始しました。自治体専用のビジネスチャットツールに、ChatGPTの機能を連携させ業務に活用できるようにしました。文章作成や要約、アイデア出しなどに活用でき、業務の効率化が期待されています。
また、ChatGPTに入力した情報は二次利用されないため、情報の安全な取り扱いも徹底しています。
出典:横須賀市
福井県越前市
福井県越前市は、ChatGPTを文書の作成補助や要約、アイデア出しなどの自治体の一部業務に試験導入しました。その結果、庁内業務での活用では、職員1人当たり年間で約60時間の業務時間を削減できると算出されました。
住民向けの問い合わせ対応では、正確な回答の割合が58%にとどまり、市民が安心して利用できる水準には達していないため、今後の技術革新を注視する方針です。
出典:福井新聞ONLINE|業務にChatGPT試験導入した結果…
出典:福井新聞ONLINE|越前市が「ChatGPT」で住民の質問に回答…
三重県伊賀市
三重県伊賀市では、民間企業と連携し、ChatGPTを活用したAI行政サービスの実証実験を進めています。Webサイトで住民からのチャットで文字や音声による質問を受け付け、質問にChatGPTが答えます。
また、市職員向けのナレッジベースとして、過去の市議会や庁内会議の議事録などを学習した情報検索エージェントを活用することで、職員の業務効率化にも寄与します。
出典:伊賀市
兵庫県神戸市
兵庫県神戸市では、ChatGPTの試行利用を通じて、活用方法のアイデア収集や有効活用のための知識・経験を蓄積しています。業務効率化や課題抽出を目的に、職員約100名が3か月間の試行利用に参加しました。
また、また、神戸市では、個人情報等の保護の観点から全国に先駆けて条例を改正し、安全性が確認されたMicrosoft社のAzure OpenAI Serviceを活用した独自の利用環境を構築しました。
出典:神戸市
自治体業務の効率化は当社にお任せください

この記事では、地方自治体業務にChatGPTを活用することについてまとめました。メリットやデメリットを踏まえた上で、他の自治体の例を参考に検討しましょう。
当社では、幅広い経験や技術、知見をもとに、地方自治体の業務効率化をサポートしています。地方自治体業務の効率化のために、ChatGPTの活用をお考えの方はお気軽にご相談ください。