梱包作業の改善例|効率化のポイントと人手不足の解消法も紹介
近年、宅配便の取り扱い数増加に伴い、梱包作業の改善が注目されています。
ここでは、梱包作業の改善例や、効率化のポイント・人手不足の解消法や成功例をくわしく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
梱包作業の改善例
梱包作業の改善は、効率向上や費用削減に直結する重要な取り組みです。
一般的な改善方法や成功例を学ぶことで、作業の質やスピードを向上させるヒントが得られるでしょう。ここでは、梱包作業の改善例について5つ紹介します。
作業台の改善で業務時間削減
梱包作業の改善において、作業台の高さ調整は非常に重要です。4か月で400時間の業務時間削減を実現した例があります。
従来の低い会議用テーブルでは、作業者の腰に負担がかかり、作業効率の低下が課題でした。そこで、作業台の足に継ぎ足を設置し、3段階の高さ調整を可能にしました。この改善によって、個々の身長に合わせて高さを変えられ、作業者は無理のない姿勢で作業ができ、業務効率が大幅に向上しました。
人材派遣を利用して人手不足を解消
人手が不足しやすい梱包作業には、人材派遣サービスや人材紹介サービスの利用が有効です。人手不足が原因で対応できる業務量が限られるときは、適切な人材の派遣や紹介によって、梱包のスキルを持つ人員が迅速に確保できます。
これによって、教育や採用にかかる時間が短縮され、作業効率が向上します。特に繁忙期や急な業務増加に対して、派遣サービスの利用は迅速な対応が可能であり、業務の遅延を防げるでしょう。
自動包装機械の導入で時間短縮
梱包ロボットの導入は、作業効率を大幅に向上させます。ロボットは人間よりも作業が速くく、一日でより多くの荷物を梱包できるため、時間短縮が可能です。また、個包装にかかる時間の削減や、資材の変更によって費用削減も実現できます。
さらに、人的ミスの防止や、危険な作業環境での安全性向上にも寄与します。これによって、サービス品質の向上と従業員の安全確保が図れるでしょう。
緩衝材の入れ方を変更して効率化
梱包作業の効率化を図るためには、緩衝材の入れ方を見直すことが重要です。
製品の両側に緩衝材を挟む作業が困難で、作業者が負担を感じていた例があります。改善方法として、緩衝材・製品・再び緩衝材を順に外装箱に入れる手順に変更することで、作業が簡素化され、効率が向上しました。
この改善によって、作業性と安全性が向上し、トータルコストの削減やリスクの回避にも寄与しています。
自走式ロボットで梱包ミスも防止
自走式ロボットによるピッキングは、棚からパーツを正確に選び出し、バーコードリーダーで確認後、コンテナに移す作業を効率化します。スタッフはロボットの画面指示に従い、ピッキング場所を次々と移動して作業します。
ロボットは自動で荷卸しエリアへ向かうため、作業の時間短縮とミス防止が実現するでしょう。これによって、ピッキングの精度が向上し、梱包ミスも予防できるため、全体の物流効率が大幅に向上します。
梱包作業の手順
梱包作業は、商品や製品を段ボールなどに入れて封をする重要な工程です。ここでは、基本の流れから具体的なポイントまで含め、梱包作業の手順について3つ紹介します。
注文を元に商品を外装箱に入れる
梱包作業は、商品の破損や混乱を防ぐために重要な工程です。注文内容と商品の数が間違っていないかの確認と、サイズに合う適切な外装箱を選びが重要です。
外装箱には、段ボール・宅配袋・ビニール袋・封筒などがあり、商品の大きさや形状に応じた選定が求められます。商品を選んだ外装箱に入れ、外装のサイズが適切であることを確認します。適切な梱包材を選ぶことで、配送中の破損リスクを低減し、安全な配送が実現できるでしょう。
商品に応じて緩衝材を選択する
商品を安全に配送するためには、適切な緩衝材を使用します。
商品に合わせて最適な緩衝材を選び、隙間を埋めることで衝撃から保護します。緩衝材には気泡緩衝材・エアー緩衝材・バラ緩衝材・紙緩衝材・緩衝シートなどがあり、商品やその材質に応じた使い分けが大切です。
量が少なすぎると商品が破損する恐れがあり、多すぎると費用が嵩むうえに配送先での処分問題があります。商品ごとに適切な緩衝材と量を事前に決めることで、配送中のトラブルを防ぎます。
外装箱をテープで止める
商品と緩衝材を外装箱に入れた後は、しっかりとした封が重要です。外装箱を閉じる際には、OPPテープやガムテープなどを使用して封をします。これによって、配送中に箱が開くリスクを防ぎ、商品の破損を避けられます。
特に重い商品や壊れやすい商品は、テープの貼り方に工夫が必要です。たとえば、クロス貼りやH貼りを用いることで、箱の強度を増し、安全な配送ができます。すべての商品を同じ方法で封止するのではなく、商品の特性に応じた適切なテープの使い方を心がけましょう。
梱包作業を効率化するポイント
業務内容や作業動線の見直し・適切な資材選び・機器やシステムの導入など、梱包作業の効率化に有効な方法はさまざまです。
ここでは、梱包作業を効率化するポイントについて6つ紹介します。
>>物流業務効率化のメリットとは?課題解決に向けた方法や事例
>>物流コストとは?内訳や上がる要因、コスト削減の要点・例を解説
業務内容自体を見直す
梱包作業は、業務内容全体の見直しによる効率化が有効です。具体的には、無駄やミスが発生しやすい部分を特定し、改善策を講じる必要があります。たとえば、商品付近に適切な梱包資材を配置することで、余分な移動を減らし、作業の効率化を図れます。また、省略できる業務や簡略化できる作業を見つけ、人手が余っている業務を確認することで、効率の向上が可能です。細かい改善を積み重ねることが、大きな効率化につながります。
梱包資材を変更する
商品サイズに応じた外装箱や緩衝材の目安一覧表を準備し、適切な資材を選ぶことで、梱包資材の選定ミスを防ぎます。「段ボールが大きくて緩衝材が大量に必要」「商品が入らず選び直す」などの問題を解消するためには、適切な資材を事前に明確化することが効果的です。また、ワンタッチ組み立ての梱包資材のように、扱いやすい資材への変更も作業時間の削減に寄与します。これによって、作業効率が向上し、全体の作業数も削減可能です。
梱包台の環境を改善する
前述の通り、高さが適切ではない梱包台は作業員に負担をかけ、作業効率が低下します。また、スペースが不足すると複数台に分けた作業となり、梱包ミスや誤出荷につながる可能性もあります。梱包台の高さや備品の配置、必要な資材の有無を見直し、余分な動作を省くことで業務の効率化が可能です。改善された梱包台周辺での作業完結によって、全体の作業効率が向上します。
ミスの発生を防ぐ
梱包作業の効率化を図っても、1つのミスが全体の作業効率を大幅に下げる可能性があります。同梱物の入れ忘れや商品の入れ間違いが発生すると、該当荷物を探し出し、段ボールを開封して再梱包する手間や、通常の作業も停止して効率が低下します。
ミスを防ぐためには、作業手順を見直し、ミスが発生しやすい工程を特定した上での改善が重要です。
機械による確認や環境整備をし、ミスを防ぐ仕組みを整えることで、作業の全体効率を維持できます。
機器やシステムを導入する
梱包作業を効率化する機器やシステムには、段ボールの組み立てを自動化する「製函機」や、箱に封をする「封函機」、PPバンドを固定する「梱包機」などがあります。これらの機器は作業員の人的ミスを減らし、他の業務にリソースを振り分けられます。ただ、導入には設置スペースや費用がかかるため、作業効率が悪い工程から導入を検討することがおすすめです。機械の導入によって、人手不足の解消や作業効率の向上が期待できます。
外注を検討する
リソース不足や改善が困難なときには、発送代行サービスや外注の利用が有効です。委託できる作業を外注することで社内の人員が余裕を持ち、主要業務に専念できるため、全体の生産性が向上し、会社全体の売上増加につながります。大規模な改善から身近な見直しまで、外注も含めて総合的な検討が重要です。
人手不足を解消する方法
物流業界では、人手不足の深刻化は避けられない問題です。
ここでは、人材不足の原因を分析し、業務効率化を通じた具体的な人手不足解消方法を、成功例を交えながら3つ紹介します。
物流業界での人材確保や効率的な業務運営の参考にしてください。
現場の声を聞く
業務効率化を進めるためには、現場の声を積極的に聞くことが大切です。
トラック積載率の向上や梱包工程の見直しは、業務の効率化だけでなく、スタッフの負担軽減にもつながります。たとえば、段ボール箱のサイズをパレットに合わせることでトラックの積載効率を改善した例があります。この取り組みで物流業務全体の効率向上が可能です。
作業環境や動線の見直しも重要で、スタッフにヒアリングをし、具体的な困りごとや負担が多い作業を把握することで、実践的な解決策が見つかります。現場の声を反映させることで、効果の高い業務改善が期待できます。
離職率を下げる
労働時間や賃金の改善は、物流業界の人手不足対策において重要です。福利厚生の見直しやITシステムの導入、リードタイムの短縮などの業務効率化を進めることが、労働環境の改善につながります。また、適正な労働時間のシフト管理や事務作業のリモート化も労働者の負担軽減に役立ちます。少子高齢化や低賃金、長時間労働が影響する中で、従業員の待遇改善を図ることで定着率を高め、離職を減少させることが重要です。離職による採用活動の手間や費用を削減し、残された人員の負担を軽減することで、全体の業務効率が向上します。
配置転換をする
配置転換は、労働を奪うのではなく、リソースの最適化を目指す方法です。特定のエリアでの人員依存を解消し、余剰人員を上流工程や他の作業エリアに移動させることで、生産性を向上させられます。
たとえば、パレットエリアから数名の作業者を解放し、カートン処理エリアやグレーディング機器に移動させると、増員なしで処理能力を向上させた例があります。
配置転換をすることで、リソースの有効活用と生産性の向上を実現しましょう。
>>物流アウトソーシングについて徹底解説!業務内容やメリット・デメリットとは
>>梱包代行サービスとは?利用するメリットや選定時のポイント
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梱包作業の改善例では、効率化のために業務内容の見直し、設備導入、作業環境の改善などが挙げられます。適切な梱包資材の選定や作業導線の最適化、機械の活用はもちろん、人手不足解消のためにも、プロの物流業者への委託もおすすめです。
専門業者の技術を取り入れることで、効率のよい正確な梱包作業が実現でき、全体の生産性向上につながるでしょう。
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