ECサイトではDXをどのように導入すべき?必要な理由と目的を解説
DXは、デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を用いて業務の改善や販売拡大につなげることを指します。
ECサイトは実店舗を持たずに、商品やサービスを、インターネットを通じて提供する事業です。そのためDXの導入は、ECサイトにとっては直接的に影響する施策です。
ECサイトにおけるDX導入について解説します。
目次
ECサイト運営におけるDXとは
DXは、前述のとおり、デジタル技術を活用して企業の商品やビジネスモデル、あるいは業務内容を改革することを指す言葉です。
DXという言葉が頻繁に用いられるようになった背景には、今までの体制ではサービスの付加価値を高めることが難しくなったことが挙げられます。
ECサイトにおけるDXは、「業務の効率化」と「売上拡大」という意味で用いられることが多く、デジタル技術で単純作業を自動化したり、データやAIを活用して広告やUIを最適化したりする取り組みを指します。
ECサイト業界におけるDXの現状
ECサイトは、インターネットで商品やサービスを提供する事業です。そのため、売上や顧客に関するデジタルの情報は収集しやすい傾向があります。それでもDX化が求められているのは、収集したデータが充分に活用できていないケースが多いためです。
つまり、ECサイト業界はデジタルなデータが多いため、豊富なデジタルデータを活用し、業務効率化と売上の拡大につなげられます。また、近年では、カゴ落ちDM(カートに商品を入れたまま離脱した顧客に個別で紙のDMを送る施策)のように、デジタルの限界をアナログで補う施策も流行しています。
ECサイト・DXの課題
ECサイト運営においてDXを推進するには、いくつかの課題があります。
まず、DXに対応できる人材の不足です。企業のDXは急速に拡大していますが、それらに対応できる人材は限られています。優秀な人材の確保で、DXを最大限有効に活用できる体制が整うでしょう。
また、既存のシステムとの連携や切り替えのタイミングが難しいという課題もあります。既存のシステムを利用している企業ほど、レガシーから脱却できない、という傾向が強まるのです。DXの価値を理解し、本格的に取り組む姿勢が望まれています。
ECサイトとDXに関する今後の展望
日本におけるDX市場は近年急速に拡大し、導入企業も増加しています。日本国内では一定の成果は上がっていますが、世界に目を向けると、日本のデジタル競争力は決して高くはありません。
ECサイトでは、業務の効率化だけでなく、データを活用した売上向上、かつ新しい付加価値が創り出せるようなDXの進展が求められています。
人材不足やレガシーからの離脱など、さまざまな課題を乗り越え、DXがもたらす新しいサービス、価値の創造につながる施策が必要です。
ECサイトでDXを推進するメリット
DXには、内向きと外向きの推進方向があります。
内向きの推進として業務の最適化を行った上で、外向きの推進による売上とLTVの向上がもたらされると、メリットは最大化するといえます。
ここからはECサイトでDXを推進するメリットについて3つの項目に分けて詳しく解説します。
業務の最適化を実現させられる
DX推進のメリットの1つは、業務最適化の実現です。これは内向きのDX推進といえます。
ITツールやロボティクスを導入し、単純作業の自動化を実現する施策です。
手作業に費やしていた人員を他の業務に転用でき、かつミスの削減、処理速度の向上も期待できます。
書類作成の自動化やAIの活用などを通じ、業務効率化によって最適化が実現可能です。電子化に伴い、意思決定や承認のサイクルも改善され、意思決定の迅速化も期待できます。
売上を拡大させられる
ECサイト運営で収集されるデジタルデータを解析し、課題の改善で売上向上につなげられます。
応用範囲は、広告やレコメンド、CRMの改善だけでなく、サイトにおけるコンバージョン率の向上などさまざまな面で活用できます。ECサイトのDXは集客・成約率・サイト回数率など多くの指標に影響を与えます。
LTVを向上させられる
ECサイトのDX推進でLTV(顧客生涯価値)を向上させられます。
LTVの向上は、今後のECサイトの成否を左右する要素です。リピーターに向けたアプローチで、持続的な販促が実現します。
具体的には、顧客が求める情報を得やすいようにサイト内検索やレコメンドを改善したり、チャットボットなどのデジタル技術を活用したりしてリピーター、ファンへの誘導ができます。顧客の上質な買い物体験もLTVの向上に寄与するでしょう。
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DX推進に必要なポイント
本章では、ECサイトでDXを進めるために欠かせない要素について解説します。
情報の一元管理
顧客情報や競合情報、売上の推移やサイト内のユーザーの挙動など、あらゆるデータを一元管理し、どの部署からも活用できるようにすることは、DX導入時の大事なポイントです。
本格的にDXを進める段階で、情報を一元管理するためのデータベースを構築しましょう。
取り扱うデータ量が多い企業ほど、データベースを構築するための要件定義や仕様を決めるのに大きな工数がかかります。そのため、早めに着手することが重要です。
顧客データの収集と活用
顧客データの収集と活用も、DX推進には欠かせないポイントです。顧客データの収集を積極的に行い、データ分析を活用することはECサイトの優位性向上や差別化につながります。
得られたデータを分析することで、顧客の属性や嗜好が読み取れるため、より正確なターゲティングを行う、嗜好に合わせたキャンペーンを行うなど多様なマーケティング活動に活用できます。
また、時系列に沿ったデータ解析も、未来予測ができるため、中長期的な取り組みとして推進するべきです。
顧客アプローチの自動化と推進
顧客データは販促だけでなく、リピーターや見込み顧客への育成にも役立つ点が魅力です。顧客アプローチを自動化し、データに基づいた販促でLTVが向上します。
また、顧客ごとのニーズをデータ分析し、それぞれに合わせてサジェストやレコメンドという形で商品を提案できると、顧客がリピーターになる確率を高められるでしょう。
VOCの活用
VOCとは、「Voice Of Customer」、つまり顧客の声を指します。
アンケートや問い合わせを通じて収集したVOCを、商品やサービスにフィードバックする施策は顧客満足度を高めることに繋がります。顧客満足度はロイヤリティの向上につながり、サイトの価値を高めるのです。
ECサイトのDX推進の成功例
ECサイトにおけるDX推進の成功例をご紹介します。
化粧品での成功例
化粧品業界におけるECサイトでは、AI技術を用いたメーク診断や、AR(Augmented Reality、拡張現実)技術を駆使した髪色シミュレーションなど、デジタル技術の特性を生かした新しい顧客体験を提供することで、成功につなげています。
多彩な化粧品をオンライン上で自在にシミュレーションできる特性は、デジタルだからこそ提供できます。
これはフィッティングが大きな要素を占める化粧品という商品を、AIやARを用いた効果によってイメージしやすくしたことによる効果です。
アパレルでの成功例
アパレル業界でのDX推進による成功例もまた、顧客体験の向上を目的とした施策が多くみられます。
AIを用いてデジタルで採寸することで、「試着ができない」というECサイトへの不安感を取り除く施策はその好例です。
また、デジタルファッションショーやバーチャルマーケットなど、3D映像やメタバースを用いた仮想空間、仮想店舗などの試みもアパレル業界の特性とマッチしています。
3D空間で商品を全方位からチェックし、実際に服を着用した時のイメージを提供する施策も同様です。
ソフトウェアサービスでの成功例
ソフトウェアの販売は、ECサイトでは売り切り型のライセンス販売や、PCのプリインストールされているセット販売がビジネスモデルの主流でした。
近年では、デジタル技術の発展と、特にクラウドサービスが充実したことを受け、実際にPCにインストールするのではなく、ブラウザ上でアクセスして使用するソフトウェアサービスが登場し、大きな成功を収めています。
ネットがつながればどのPCからでも使えるという利便性から、従来の販売方法では購入しなかった層にもアプローチできています。
自動車販売での成功例
ECサイトにおけるDXを用いた自動車販売の成功例は、販促アプリを開発し、アプリ内の仮想空間で車を全方位から眺めたり、カスタマイズをするなどの顧客体験を提供したものです。
自動車を購入するという体験を、顧客がARを用いて自宅で経験することで、ECサイトによる自動車販売を活性化させました。
また、通常車の購入に慎重な層にも、購入までの時間を短縮する効果がもたらされています。顧客体験をデジタル技術を通して提供することが売上向上につなげた好例です。
住宅販売での成功例
住宅販売のECサイトでは、無人のモデルハウスをリモートで内覧できるサービスを提供することで売上向上につながりました。
リモートの内覧サービスは、実際の物件にカメラ搭載の案内ロボットを配置し、映像で物件の様子を確認できるものです。
DX推進における分析の結果、住宅業界においてECサイトを展開するためには、実物を用いた顧客体験の提供が不可欠だと分かったことが、実在空間をバーチャルで体験するという顧客体験を向上させるサービスにつながったのです。
DX推進でECサイトを躍進させよう
ECサイトにおけるDX推進は、業務の効率化だけでなくデータ分析や顧客体験の向上を通じて売上拡大に貢献します。そのため、DXの導入は今後のECサイトの成否を左右すると考え、入念に検討するべきでしょう。
人材や知識、経験の不足からDXの実行に踏み切れない場合は、ECサイト運営を代行サービスにアウトソーシングする手段があります。
ECサイト運営代行サービスでは、DXによるデータ分析や業務効率化の施策が経験豊富なプロによって運営されます。ご興味のあるかたはこちらをご覧ください。