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EC分析の基本と手法、売上向上に必要な10個の指標を解説

2024.05.11

ECサイトのアクセスを解析し、売上向上につなげる施策はECサイト運営に必須です。EC分析の基本と手法、そして売上向上につながる要素と活用法について解説します。


EC分析とは

ECとは、Electronic Commerceの略語で、電子商取引を指します。EC分析とは、ECサイトのアクセス数や訪問者の行動を分析することです。EC分析は、ECサイトの売上や収益を左右します。

EC分析の目的

EC分析の目的は、ECサイトの売上をあげることです。主に、ECサイトに流入してきたユーザーの数や、ユーザーの行動分析をして、得られたデータを元にECサイトの構成や商品を変化させます。

顧客の行動から商品の売れ行きまで、営業上発生するあらゆることをすべて、数値化されたデータとして収集します。ECサイト内での営業データだけでなく、顧客ごとの障害顧客単価やユーザーセグメントなど、個々のユーザーのデータも分析の対象です。

EC分析の重要性

EC分析では、ECサイトを見ているユーザー数だけでなく、ユーザーがよく見ている商品や検索ワードなどがデータとして確認できます。

商品を購入する前のユーザーの行動もデータとして確認できるため、ユーザーの購入までの行動を予測して誘導することも可能です。さらに、ECサイト全体で問題になっている点や改善する表示の洗い出しもできます。

EC分析でECサイトを改善し続けると、ユーザーにマッチしたECサイトに変化するでしょう。

EC分析の手順とフロー

EC分析は、目的を明確化し、仮設の洗い出し、指標の設定を経て分析を実行します。分析後、得られた結果をECサイトの改善に反映させるまでがEC分析のフローです。EC分析の手順を解説します。

目的の明確化

EC分析は、目的の明確化から始めます。課題や目的を明確化したうえでの分析が効果的な施策につながります。

「直帰率が大きいHPの構成を見直したい」「アクセス数は多いけどコンバージョン率があがらない状況を改善したい」など、具体性の高い課題と目的を設定しましょう。

目的、課題を定めたうえでECサイトの状態を解析すると、数値を背景にした改善策が導かれます。

仮説の洗い出し

目的が定まったら、仮説を洗い出します。事実となるデータを元に、改善のためのアクションにつながる仮説をたて、検証しましょう。

アクセス数にくらべコンバージョン率が低いECサイトを分析する場合、「口コミや体験談を入れることでコンバージョン率があがるのではないか」「購入ボタン周辺のデザインをすっきりさせたほうがいい」などの仮説をたてます。あがった仮説は優先度順に整理して、検証に移ります。

指標(KPI)の設定

KPIとは、Key Performance Indicatorsの略称で、日本語では「重要業績評価指標」と翻訳されます。最終的な目標達成のための目安となるデータを指し、中間目標として機能するデータです。

ECサイトにおいては、ユーザー数、売上、コンバージョン率、直帰率などの指標が一般的に使用されます。目的に合った指標の選択が必要です。コンバージョン率を高めたい場合はサイト回遊率やページからの離脱率が重要な指標となるでしょう。

アクセス解析

ECサイト内でのユーザーの行動は、ツールで自動的に計測可能です。多数の項目を一気に収集して、重視する指標を軸に、情報をセグメントごとに表示します。

初見のユーザーの行動と再訪したユーザーの行動を分けて表示して、目的に合致したセグメントを設定しましょう。

データ分析

得られたデータをセグメントごとに集計し、KPIを算出します。解析で得られたデータだけでなく、必要に応じて売上額のデータも含めて指標を計算します。

得られたKPIによって、ECサイトの状態や機能、課題を分析しましょう。例えば、パソコンユーザーとスマートフォンユーザーで購入率に差がある場合、スマートフォン決済との連携に課題がある可能性があります。

課題につながるKPIを発見し、成果の出ている値についても評価と再検証をします。

分析結果から改善施策を導き出す

分析結果からECサイトの改善につなげます。データ分析から導かれたKPIの改善方法を、ECサイトの改善の具体策に反映させましょう。

改善策は、期待できる効果や実行費用などを考慮して優先順位を設定します。例えば、再訪ユーザーのコンバージョン率が高いデータがあるときは、新規顧客募集よりアップセルに重点をおいた施策を実行します。

改善施策は、次のアクセス解析時に確認し、必要に応じて再度調整しましょう。

EC分析で見るべき10個の指標

多くのECサイトの分析で重視されている指標を10個ご紹介します。重視するKPIはECサイトのタイプやターゲット層によって異なります。最初は汎用性の高い指標で分析し、自社ECの評価に役立てましょう。

利益・売上高

利益や売上は、ECサイトを評価する軸となる指標です。

ECサイトの売上高は、ユーザー数×コンバージョン率×客単価で算出されます。売上高から支出を引いて算出されるものが利益です。もちろん、決済のデータも反映されます。

アクセス数

アクセス数は、一定の期間内にユーザーがアクセスした回数です。

いくつかの集計方法があります。例えば、セッション数は、1人のユーザーが期間内に複数回訪れたときにすべての回数がカウントされる方法です。そのほか、ユニークユーザー数は再訪者をカウントしません。また、ページビューは、Webページの表示ごとに1回とカウントされます。

CVR(コンバージョンレート)

コンバージョンレートは成約率とも呼ばれます。一定期間内でECサイトを訪問した総数に対し、購入した人の割合を示すデータです。

アクセス数にくらべコンバージョン率が低い場合、顧客の購入行動の動線上に何らかの問題が存在する可能性があります。

顧客単価

顧客単価は、商品の購買やサービスの利用を1回するごとに、顧客がどれほどの金額を支払ったかを示す指標です。原則として売上を売上件数で割って算出します。

顧客単価をあげるための施策は、より単価の高い商品を進めるアップセルと、関連商品との併せ買いを促すクロスセルです。

LTV(生涯顧客単価)

LTVは、生涯顧客単価とも呼ばれ、顧客が自社に対してどれだけの利益をもたらすかを示した指標です。この指標が高いと、ユーザーのリピート率が高いことを示します。

LTVが高まることはECサイトがユーザーのニーズにマッチしている証明でもあります。

ユーザーセグメント

ユーザーセグメントは、訪れたユーザーを分類するための要素です。ユーザー属性とも呼ばれます。

使用するデバイス、年齢、性別などさまざまな要素があり、ECサイトがどのような顧客層に指示されているかを測る指標です。

離脱率

離脱層は、Webサイトから離脱したユーザーの割合を示します。ページビュー数に対するページの離脱数の割合を示した数値です。

離脱率が高いと、該当ページにユーザーの興味関心を失わせる何かがあったと評価されます。ECサイト改善のヒントとなる重要な指標です。

直帰率

直帰率は、1ページのみ閲覧して離脱したセッション数を表す指標です。すべてのセッション数に対する1ページのみのセッション数の割合で算出します。Webサイトが初見のユーザーをどれほど惹きつけられるかを表す指標です。

ただし、ランディングページで即コンバージョンに達した場合も直帰率にカウントされるため、解析時は区別する必要があります。

リピート率

リピート率は、商品を購入した顧客が再度訪問し再購入をした割合を表します。

これは顧客のロイヤルティやLTVにつながる指標です。向上させるには顧客満足度やニーズとの合致を目指さなければなりません。

顧客リスト数(会員数)

顧客リスト数は、ECサイトに登録している会員数を指す指標です。

会員数が増えるとDMやメールなどでアプローチできる人数も増加します。

これは、ECサイトの人気度を示す指標です。ただし、顧客リスト数が多いにもかかわらず再訪率やリピート率が伸びない場合は、既存顧客へアプローチする施策が求められていると判断します。

滞在時間

滞在時間とは、その名のとおりユーザーがWebサイトに滞在した時間のことです。

ECサイトでユーザーの滞在時間が数十秒の場合、CV率は非常に低いのが一般的です。CVまで結びつく滞在時間は最低でも5分以上、できれば10分以上といわれています。

商品数やコラムなどのコンテンツを増やすと、滞在率は上がる傾向があります。

カゴ落ち率

カゴ落ちとは、ECサイトにおいて商品をカートやカゴに入れたままで購入手続きに進むことなくECサイトを離脱することです。カゴ落ち率は「カゴ落ちした人数÷カートに商品を入れた人数」で求めることができます。

送料や手数料に納得がいかなかった、アカウントを作成したくない、決済方法や手順に不満があるなどの理由でカゴ落ちは起きるとされています。カゴ落ちへの対処は、ECサイトの売上を伸ばす際に最初に手を付けるべき箇所といえます。

ROAS

ROAS(Return on Advertising Spend)とは広告の費用対効果のことで、「広告によって得られた売上÷広告費 ×100(%)」で求められます。原価や人件費は含まれないため、100%の場合は赤字であることになります。

ROASによって、広告の売上への貢献度を可視化することができます。ROADが高い広告には予算配分を上げたり、広告媒体を変えたりといった施策が考えられます。

EC分析で使えるツール

EC分析には、無料で使用できるGoogleのツールと、有料で契約するツールの2系統があります。それぞれに利点があるため、導入時は比較検討をしましょう。

ここからは、EC分析ツールについてご紹介します。

無料ツール

GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールは、無料で使えるWebサイト分析のためのツールです。

Googleアナリティクスは、Webサイト内におけるユーザーの動きを記録します。ユーザー数、セッション数、ページビュー数に加え、検索エンジンやSNSなどの流入元の特定、ページごとのデータやコンバージョンも解析可能です。

Googleデータポータルは、アナリティクスや広告など、Googleが提供するデータを一元管理できるサービスです。データのシェアが可能で、ユーザー別の権限付与にも対応しています。

有料ツール

有料ツールには、EC分析以外にも、独自の機能を持つ点が特徴です。

分析データを可視化したり、キーワードやコンテンツを立案したりするツールがあります。最近は、AIが自動でアクセス分析をして、AIアナリストが重要なポイントの抽出や対策を提示するツールが支持を集めています。

有料ツールは運用経費がかかりますが、こうした機能の活用はEC改善に大きく貢献する可能性があります。

ツール例
Google アナリティクス360
Similarweb
User Insight

EC分析で実績を伸ばした例

とあるファッションサイトは、F2層をターゲットとした若干単価の高い商品を取り扱っています。

F2層とは、35~49歳の女性のことで結婚・出産を経験し家庭を持つ方の割合が増え高額消費が盛んになる世代とされています。

EC分析をして、ユーザーの行動分析をしたところ「閲覧履歴を利用するユーザーのコンバージョン率が高い」結果を得ました。お気に入り機能と比較してもこの傾向が有意に高かったため「商品詳細ページから閲覧履歴機能への動線の強化」を実施した結果、コンバージョン率は5割、カート投入率は2割程度増えました。

EC分析を効果的に使って売上を伸ばそう

EC分析は、効果的に使うとECサイトの売上を大きく伸ばします。ECサイトの運営には、EC分析を始めとしたITの活用が欠かせません。

ECサイトの運営代行サービスを活用すると、戦略立案、施策の実施や検証による売上アップのサイクルの確立まで、サポートが受けられます。興味のある方はぜひこちらをご参照ください。

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