随意契約をわかりやすく解説!意味や条件など
随意契約は、地方公共団体が任意の相手と契約することです。
入札方式よりもスピーディーに事業が進められるメリットがある反面、透明性に欠けるデメリットがあります。
今回は、自治体職員の方向けに随意契約について解説します。意味や条件など押さえておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 随意契約とは公共事業に用いられる契約形式
- 一般競争契約との違い
- 指名競争契約との違い
- 随意契約4種類
- プロポーザル方式
- 特命随意契約
- 少額随意契約
- 不落随意契約
- 【ケース別】随意契約を結ぶための条件
- 予定価格が250万円未満の製造・工事の場合
- 予定価格が160万円未満のものを購入する場合
- 年額・総額が80万円を超えない物件を借りる場合
- 予定価格が50万円未満の財産を売却する場合
- 年額・総額30万円未満の物件を貸し付けるとき
- 上記以外の契約で、予定価格が100万円未満の場合
- 外国で契約をする場合
- 生産物を売り払う場合
- 運送や保管の業務に関係する場合
- 慈善事業に関わる場合
- 随意契約のメリット
- 随意契約の問題点2つ
- 汚職を疑われる可能性がある
- 企業の競争意識を奪う可能性がある
- まとめ
- 公共BPOサービスは当社にお任せください
随意契約とは公共事業に用いられる契約形式
随意契約は公共事業の契約形式の1つです。競争以外の方法で決定した相手との契約をさします。
公共事業は2社以上の競争入札を経て事業者を選定しますが、随意契約は、特定の条件の元で特定の1社を選びます。
契約相手は過去に取引のあった企業が選ばれるケースがほとんどです。今まで取引のない企業は選びません。ただし、随意契約が行える条件であっても、複数の事業者から選ぶように努めることが望ましいとされています。
一般競争契約との違い
一般競争契約は、2社以上の企業が自由に参加し、最も条件のよい入札事業者との契約をさします。そのため、随意契約とは事業者の選び方が異なります。
一般競争契約は、複数の企業が競い合い落札します。一方、随意契約は、特定の企業を自治体が指定する契約です。一般競争契約は時間がかかりますが、随意契約よりも公平性や透明性があります。
一般競争契約は、過去に取引がない事業者とも契約できる可能性があります。随意契約は、過去の実績の乏しい事業者は選ばれません。
指名競争契約との違い
指名競争契約は、特定の事業者を2社以上指定して、最も条件にあう企業を選ぶ契約です。
随意契約との違いは、2社以上を指名したうえで選定する作業の有無です。指名競争契約は複数の企業からの選定作業や手続きが発生します。随意契約の方が、契約締結までの時間を短縮できるといえるでしょう。
随意契約4種類
随意契約には、4つの種類があります。それぞれの特徴を解説します。
プロポーザル方式
プロポーザル方式は、特定のテーマに沿った企画を事業者が提出し、提案内容を評価して事業者を決める発注形式です。高い技術や専門的な知識が必要であるときに利用されます。
特定の1社のみ事業に対応できる際は、随意契約を結びます。
特命随意契約
特命随意契約は、発注する側の事情により事業者を指定する契約です。一般的な随意契約は、特命随意契約を意味します。
競争入札が適当ではない場合や、急ぎの案件の際に、特命随意契約が結ばれます。たとえば、災害時をはじめとする緊急事態があげられるでしょう。
ただし、特命随意契約は例外的な措置です。特命随意契約のガイドラインを明確にして、透明性を高めている自治体が多いといえます。特命随意契約の利用では、契約内容が明確になる工夫が重要です。
少額随意契約
少額随意契約は、予算の少ない事業で簡素的に事業者を選ぶ契約です。2社以上の業者から見積もりの提出をうけ、より適した方を事業者に決めます。
少額随意契約を行うメリットに、時間や事務作業の短縮があげられます。一般競争契約や指名競争契約は時間がかかり、複数の事務作業が発生するかもしれません。少額随意契約であれば、よりスピード感を持って事業を進められます。
2社以上から選ぶため、特命随意契約よりも公平性が期待できるでしょう。
不落随意契約
不落随意契約は、競争入札で落札者が決まらなかった場合に行われる契約です。入札で立候補者がいない、もしくは落札者が契約をしなかったときに、不落随意契約を結びます。
たとえば、災害復旧事業で時間がないときや3回ほど公告入札をしても入札者が決まらない場合があげられます。不落随意契約は、事前に決めた価格や条件での契約を目指します。
【ケース別】随意契約を結ぶための条件
随意契約の条件は、地方自治法施行令第167条の2第1項および地方公営企業法施行令第 21条の14の第1号から第9号で定められています。
たとえば、6号は競争入札が不利であるケースがあてはまります。9号は、落札者が契約を終結しない場合に定められています。
ここからは、随意契約の条件をわかりやすく解説します。
予定価格が250万円未満の製造・工事の場合
県や政令指定都市の予定価格が250万円に届かない製造や工事は、随意契約の条件を満たします。その他の市町村は130万円未満が目安です。その他、独自の基準を定めている自治体もあります。
予定価格が160万円未満のものを購入する場合
財産を買い入れる際、県や政令指定都市は160万円未満、その他市町村は80万円が随意契約の条件です。
多くの自治体は、160万円以下の物品購入のときに、見積もりをとる少額随意契約を行うと公表しています。購入時は、160万円を目安に購入先を選択するとよいでしょう。
年額・総額が80万円を超えない物件を借りる場合
予定する物件の借り入れ総額が、県や政令指定都市は80万円、その他の市町村は40万円を超えない場合、随意契約の条件を満たします。
一般競争契約を行うよりも、随意契約の方が時間を短縮できます。事務作業を省略できる例といえるでしょう。
予定価格が50万円未満の財産を売却する場合
県や政令指定都市が予定価格50万円未満の財産を売却するときは、随意契約の条件を満たします。その他市町村の場合は30万円です。
一般競争契約で事務量を増大させるより、随意契約を選択した方が運営をスムーズにできるでしょう。
年額・総額30万円未満の物件を貸し付けるとき
県や政令指定都、その他の市町村は、年額・総額30万円未満の物件を貸し付けるときに随意契約ができます。年額・総額30万円未満は、1か月あたり2万5,000円未満の貸付けです。
上記以外の契約で、予定価格が100万円未満の場合
先述した内容以外の契約で、県や政令指定都の場合に予定価格が100万円未満、その他市町村は50万円未満のときは、随意契約の条件を満たします。
ただし、随意契約は例外的な契約です。予定価格が100万円未満になるよう分割発注を行うと、法律にふれる恐れがあります。
外国で契約をする場合
外国での契約は、随意契約の条件を満たします。ノウハウを持つ事業者の選定が困難で、競争契約が難しい場合も少なくありません。すると、その性質や目的が競争入札に適しないとみなされます。ただし、最初から随意契約で進めないようにしましょう。
生産物を売り払う場合
生産物を売り払う場合、随意契約を選択できます。生産物は、性質によっては競争入札に適しません。
たとえば、自治体が栽培した野菜を売り払うときがあてはまります。なるべく早く売り切る必要があるため、随意契約で早期の売却を目指します。
運送や保管の業務に関係する場合
運送や保管の業務は随意契約の条件を満たします。運送や保管の業務は価格が決まっているケースが多いため、競争入札に適しません。
たとえば、価格が認可制のハイヤーは最低価格が確認しやすく、随意契約が多い傾向です。競争が成り立たない契約は、随意契約が選択できます。
慈善事業に関わる場合
慈善事業は、随意契約ができます。政策達成のために、随意契約を結べます。
たとえば、障がい者福祉施設から物品を購入したり、サービスをうけたりすることがあげられます。ただし、慈善事業の随意契約には工事が含まれません。
随意契約のメリット
随意契約のメリットは、事務作業の簡略化、時間の短縮、経費の軽減などです。人手不足に悩む自治体の働き方改革に役立ちます。
そのほかのメリットに、事業者の能力を熟知したうえでの依頼があげられます。指名できる事業者は取引のあるところであり、資産状況や技術などを想定できます。そのため、効率的な目的達成につながるでしょう。
随意契約の問題点2つ
随意契約にはデメリットもあります。主な問題点を2つ紹介します。
汚職を疑われる可能性がある
随意契約は、事業先を決める担当官の汚職が疑われるかもしれません。
なぜその事業者が契約先に選ばれたのか、理由が不透明だ。と指摘される恐れがあります。癒着や賄賂により、担当官が同じ事業者を何度も指定した事例も少なくありません。
随意契約は、契約理由の明瞭さが求められます。
企業の競争意識を奪う可能性がある
随意契約は、企業の競争意識の低下を招く恐れがあります。
選ばれる事業者は競争しなくても仕事が入ってきます。実績の乏しい事業者は契約を結べない状態が続くでしょう。
このような状態は、公平性や公正さに問題があります。事業の質にも影響しかねません。随意契約を満たす場合も、最初は競争入札契約を検討しましょう。
まとめ
本記事は、随意契約を紹介しました。随意契約は事務作業や時間短縮につながる契約です。ただし、公平性や公正さに欠ける場合もあり、あくまでも例外的な契約という認識が求められます。違いを理解して、事業に適切な契約形式を選びましょう。
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ここまで、随意契約の概要や特徴について解説しました。
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