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EC物流倉庫とは?基本情報と管理をアウトソーシングするときのポイント

EC事業の運営では、多くの業務が必要となります。今回は、業務の中でも大きな割合を占める物流業務やEC物流倉庫について解説します。物流業務のアウトソーシングのポイントについてもご紹介するので、現在EC事業を運営している方は、ぜひ参考にしてください。


EC物流倉庫とは

EC事業の運営では、商品の企画や開発だけではなく、受注・出荷・配送・カスタマーサービスなど、数多くの業務が発生します。ここでは、EC事業の出荷や配送などの物流業務を担当する倉庫を「EC物流倉庫」とします。

EC物流倉庫の重要性は高まっている

インターネットやスマートフォンの普及によって、日本のEC市場は急成長を遂げてきました。コロナ禍による巣ごもり需要の影響から、EC市場はさらに拡大し、EC物流倉庫での取扱い数も増加中です。

これからのEC物流倉庫について

日本国内のEC化率は右肩上がりであり、今後もEC市場の拡大は続くと予測されています。コロナ禍の影響で、これまでECサイトを利用していなかった層も利用し始めたことで、ECサイトの利用者が増加しています。EC市場の拡大に伴い、EC物流倉庫の需要もさらに増加すると考えられています。

EC物流の種類

物流センターは、商品の保管だけでなく、入荷から出荷までの作業を行います。物流センターには、大きくDCとTCの2種類があります。それぞれについて、くわしく解説します。

DC

DCとは「Distribution Center(ディストリビューションセンター)」の略語で、「在庫型物流センター」を意味します。DCは、荷物を入荷・保管し、必要に応じて出荷してくれる物流センターです。保管の機能があるのが特徴で、メーカーの在庫を一定期間保管する倉庫などはDCに該当します。広大な保管スペースがある倉庫のほとんどは、DC型の物流センターといえるでしょう。

TC

TCとは「Transfer Center(トランスファーセンター)」の略語で、「通過型物流センター」を意味します。TCは、入荷した荷物を積み変えし、保管せずに出荷を行う物流センターです。例えば、スーパーの物流センターなどは、TCに該当します。メーカーから納品された商品を、スーパーの各店舗行きのトラックに分けて配送します。入荷したものがほとんど保管されずそのまま出荷される倉庫は、TC型の物流センターといえるでしょう。

主なEC物流倉庫

物流センターの種類がわかったところで、次はEC物流倉庫の種類を解説しましょう。EC物流倉庫の種類は、一般的に以下の4種類に分けられます。

販売主体型の倉庫

販売主体型のEC物流倉庫は、商品の入出荷や保管だけでなく、顧客からの注文受付やカスタマーサービス、返品処理といったEC販売業務をサポートしてくれる物流倉庫です。例としては「フルフィルメントby Amazon」などが挙げられます。販売主体型のEC物流倉庫を構築できれば、費用対効果は高いといえます。
ただし、自社で販売主体型の倉庫を構築するのは、ノウハウ的にも資金的にも容易ではありません。多くの商品を取り扱うため、柔軟な対応が難しい点もあります。

専門業種特化の倉庫

専門業種に特化している倉庫は、業種ごとに必要とされる機能を備えています。例えば、食品系の業種では、適切な温度下での管理や、賞味期限の管理を徹底できる倉庫が必要です。専門の設備費用を削減したいEC事業者や、特定の商品を扱っているEC事業者には、専門業種特化の倉庫が適しています。

倉庫サービスを主体の倉庫

物流倉庫自体を主体とし、倉庫サービスを提供するタイプの倉庫です。EC事業者ごとに最適な方法でサービスをカスタマイズできます。例えば「ラッピングをして欲しい」「メッセージカードを入れて欲しい」といったニーズに応えることが可能です。ただし、要望を増やすほど必要なコストもかさみます。予算に余裕があり、物流倉庫に対して何らかの要望がある場合は、倉庫サービス主体の倉庫が適しています。

システム会社主体の倉庫

システム会社主体の倉庫とは、物流システム業者が物流倉庫と提携しているサービスです。EC事業者がクライアントとなり、まず物流システム会社に相談し、物流システム会社を通して最適な物流倉庫を紹介されます。運用がシステム化されているため、比較的安価で利用できる点がメリットです。

EC物流倉庫の特徴

EC物流倉庫を依頼する際は、あらかじめEC物流倉庫の特徴を知っておくと選びやすくなります。一般的な特徴について、以下から説明します。

企業から顧客へのBtoCが多い

ECサイトのほとんどは、一般消費者がインターネットを通じて商品を購入する「BtoC」のビジネスです。多くのEC物流倉庫では、個人への出荷が大半を占めています。EC物流倉庫は専門的に「BtoC向けの出荷」を取り扱い、顧客に迅速かつ丁寧に届けるのが大きな特徴です。

迅速な業務展開が要求される

多くの顧客は、注文した商品が少しでも早く届くことを期待しています。そのため、EC物流倉庫の作業には、スピードが求められます。EC物流倉庫で倉庫作業を迅速に行い、スムーズに顧客に荷物を届けることが顧客満足度の向上につながります。

EC事業は競争が激しく、同じような商品や価格帯を販売する事業者が多数存在しているのが現状です。顧客は数あるEC事業者の中から、自分に適したサービス提供者を選択するため、商品が魅力的なだけでは勝ち残っていけません。商品到着の早さだけではなく、箱をつぶさない、荷物を汚さないなどの丁寧な対応も重要です。できるだけ顧客の要望に応えていくことが、他社と差別化する秘訣です。

品質の高さが要求される

EC事業者は商品を発送する際に、以下のような同梱物を封入するケースがよくあります。

・キャンペーンの案内
・新商品のチラシ
・お礼の手紙
・カタログ
・サンプル(試供品)
・使い方ガイド

上記の同梱物は、リピート利用を促したい、顧客満足度を高めたいなどの効果が期待できるため、EC事業者にとっては重要な要素です。EC物流倉庫は、EC事業者の要望に合わせて丁寧かつ正確に同梱物を封入する必要があります。

EC物流倉庫を選ぶ際に確認すること

数あるEC物流倉庫から、自社に合った倉庫を選ぶのは難しいと感じるかもしれません。しかし、以下のポイントを押さえることで、選びやすくなるでしょう。

運営にかかるコスト

EC物流倉庫にかかるコストは、輸送費・保管費・荷役費・梱包費・人件費などの項目があり、それぞれ業者によって異なります。利用者側に提示される金額にも大きな差があるため、十分な比較検討が必要です。また、アウトソーシングできる業務も、業者によって異なります。温度管理や海外への発送などを依頼する場合は、新たな費用が発生するケースがほとんどのため、事前のチェックが必用です。自社のニーズに該当するEC物流倉庫を見つけるためにも、提供内容・サービス内容・コストをしっかり確認し、わからないことがある場合は、必ず問い合わせて確認しましょう。

仕入れ元や発送先との距離

EC物流倉庫の立地は、利便性に大きく影響します。自社に合った運用ができる倉庫でも、仕入れ元や発送先まで遠いと、「リードタイムが長くなる」「配送コストがかかる」などの可能性が高まります。仕入れ元に近い場所に倉庫があれば、物流コストの削減が可能です。

また、発送先のエリアが全国にまたがる場合は、東西の二拠点や主要拠点に倉庫があると、翌日配達エリアの拡大や配送料の削減が見込めます。複数拠点に倉庫をもつことは、自然災害や事故など、不測の事態があった場合の物流リスクを最小限に抑える「BCP対策」としても有効です。

自社の管理システム連携ができるか

選んだ倉庫の倉庫管理システムと、自社が利用している管理システムが連携できるかどうかも、確認する必要があります。連携できない場合は、自社システムの入れ替えが必要になり、総合的にコストが増えるケースも予測されるため、注意が必要です。また、システムが変わると、従業員が運用を覚えるための負担もかかってしまうでしょう。導入後に現場でスムーズに稼働するためにも、システム連携の確認は必須です。

EC物流倉庫の運営はアウトソーシングもできる

月間出庫数が少ない場合は、自社で物流業務を行うのも良いでしょう。しかし、物流業務では、受注・出荷・配送・カスタマーサービスなど多くの業務が発生します。そこで、物流機能の全てもしくは一部を切り離して、物流のプロである外部企業へアウトソーシングするのもおすすめです。

アウトソーシングに適している企業は?

多くの企業が、EC物流倉庫をアウトソースすることで、効率化を図っています。経済産業省が発表した「物流アウトソーシングマニュアル」*によると、卸売業の多くでアウトソーシングを活用しています。業種別では、食品・雑貨業、機械業の40%以上がアウトソーシングを利用しています。製造業でも電気機械は40%がアウトソーシングを活用しており、飲料・食料も33%以上が利用しています。

運営をアウトソーシングすることのメリット

運営をアウトソーシングする最も大きなメリットといえるのが、社内リソースの削減です。在庫が増えれば増えるほど、空間的にも労力的にも、在庫管理に必要なリソースは増えていきます。アウトソーシングすることで社内リソースを削減し、ほかの業務に従業員を集中させることができるようになるでしょう。

ECサイトで扱う商品の需要変化は予測が難しく、ある日需要が急増するケースもあります。自社で倉庫業務を行っている場合、急激な変化に対応するために、常に十分なリソースを確保しておくことは困難です。例えば、商品がテレビやSNSで話題になり、需要が予想をはるかに上回るケースもあります。物流業務に特化した物流倉庫には、需要の変化に対応できるノウハウがあります。高い物流品質を保ったまま、顧客に迅速に商品を届けることが可能です。

運営をアウトソーシングすることのデメリット

トラブルが発生した場合に自社ですぐに現場を確認できないことはデメリットです。倉庫で何か問題が発生しても、把握するのに時間がかかってしまい、迅速に対応できないリスクがあります。アウトソーシングする際には、委託業者との連携やコミュニケーションの取りやすさなども確認しておくことが大切です。

また、アウトソーシングすると自社で倉庫業務を行うことがないため、倉庫業務に関するノウハウが蓄積されません。将来的に自社で倉庫を運営することになっても、ノウハウが不足してしまう可能性もあります。

まとめ

EC事業の運営では、受注・出荷・配送・カスタマーサービスなど、物流業務が多くの割合を占めます。今回は、物流センターやEC物流倉庫の種類をはじめ、EC物流倉庫の特徴や選び方のポイントを解説しました。EC事業運営の参考にお役立てください。

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