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インサイドセールスとテレアポ 明確な違いと企業ごとの向き・不向き

見込み顧客にアプローチを行う内勤営業である「インサイドセールス」と「テレアポ」は、混同されがちですが、多くの点が異なります。こちらの記事では、明確な違いや企業ごとの向き・不向き、運営体制についてくわしく解説していきます。


インサイドセールスとテレアポの明確な違い

インサイドセールスとテレアポは、内勤で行う営業手法という点では共通しているものの、大きく異なる点があります。こちらでは、明確な5つの違いについて解説します。

運営の目的

インサイドセールスとテレアポにおける大きな違いは、活動目的です。インサイドセールスは、「見込み顧客との関係構築」を目的にアプローチを行います。そのため、アポイントの獲得数や受注数などの「行動数」を目的とはしていません。見込み顧客の育成に重点を置きます。

一方テレアポは、「アポイントの獲得数」を活動目的としています。見込み顧客の課題をヒアリングする際に、信頼関係を構築する必要はありますが、あくまでも「どれだけ多くの電話をかけたか」「アポイントが取れたか」という「行動数」が目的です。

成果指標

インサイドセールスとテレアポは、運営の目的が異なるため、成果指標も異なります。業種や商材によって成果指標が異なるケースも多いですが、一般的な成果指標として設定される項目は以下のとおりです。

インサイドセールスで成果指標とされる項目

・商談化率、商談化
・受注率、受注数
・受注額
・メール開封率、メール開封数

テレアポで成果指標とされる項目

・架電率、架電数
・アポ獲得数
・平均通話、処理時間
・平均架電単価
・稼働率

成果を検証する期間

インサイドセールスは見込み顧客の育成に重点を置いているため、長期的な活動を前提としています。「1回アプローチして終わり」ではなく、定期的にアプローチを行って信頼関係を築いていくのが特徴です。成果を検証する期間は、短くても1ヶ月単位で行われ、長ければ半年や1年以上かけて効果を検証するケースもあります。

一方でテレアポは、検証期間を1日や1週間などの短期間に設定してアポイントの獲得件数を検証し、架電リストやトークスクリプトの改善・ブラッシュアップを行っていきます。このように、2つの手法では、成果を検証する期間が大きく異なります。

1リードあたりのアプローチ回数

インサイドセールスとテレアポの対象者は、どちらも見込み顧客です。しかし、インサイドセールスは、マーケティング部門から引き渡された自社に興味がある見込み顧客にアプローチを行っていきます。良きタイミングで適切な案内を定期的に行うことで、商材に興味を持ってもらい、最終的にフィールドセールスへつないでいきます。見込み顧客に「興味がない」という態度を取られても、時期を見て改めて連絡を行うこともあります。

テレアポは、展示会などで名刺交換をした見込み顧客など、あまり自社の情報のない相手に対して行う営業手法です。一度興味がない態度を取られたら特にフォローを行わず、リストから除外していきます。このように2つの手法では、アプローチ回数が大きく異なります。

他部署との連携

インサイドセールスは、マーケティング部門から見込み顧客を引き継ぎ、確度が高まった状態でフィールドセールスに引き渡します。つまり、3部門同士の繋がりが必須です。営業業務を分業することで、業務効率化を図っています。一方でテレアポは、アポイントで獲得した顧客をフィールドセールスに引き渡しますが、それ以外の関わりはありません。つまり、2部門での繋がりしかありません。このように2つの手法では、他部署との連携数が異なります。

インサイドセールス・テレアポ、どちらが自社は向いているのか?

インサイドセールスとテレアポでは目的やアプローチ方法が異なるため、どっちが優れていてどっちが劣っているということはありません。しかし、業種や商材によっては、向き・不向きがあります。こちらでは、どのような企業がインサイドセールス、あるいはテレアポに向いているのかについて解説します。

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インサイドセールス・テレアポどちらも向いている企業

インサイドセールス・テレアポのどちらも、電話やメールでアプローチすることが多いため、口頭や文章でも説明しやすい商材や、比較的安価な商材が向いています。もし扱っている商材が高価であっても、説明しやすくて市場優位性の高いものは、インサイドセールスにもテレアポにも向いているいます。

インサイドセールスが向いている企業

インサイドセールスは、直接客先に出向かずに顧客との信頼関係を築きながら、確度を高めて最終的に売り上げに繋げていきます。最終目的であるKGIとして、売上や生産性向上を目指す企業は、インサイドセールスが向いています。長期的な視点で顧客との信頼関係を構築したい企業にもおすすめです。また、目標達成に向けたプロセスにおける中間目標とするKPIにおいて、受注1件当たりのコストや受注に繋がったアポイント数を目標にしたい企業にも向いています。

テレアポが向いている企業

KPIがコール数の場合やKGIがアポイント数を目的にしたい企業には、テレアポが向いています。短期間で顧客ニーズを見極めたいという企業にもおすすめです。

インサイドセールスを単なるテレアポ部隊にしないためには?

インサイドセールスとテレアポには、明確な違いがあることがわかりました。しかし、市場の変化にあわせてインサイドセールスを立ち上げても、テレアポ部隊化してしまうケースも多くあります。それは、管理者や責任者による認識の違いが原因です。テレアポ部隊にしないためには、以下の3点のポイントを押さえておく必要があります。

インサイドセールスは“育成”を成果指標にする

インサイドセールスの目的は、あくまでも見込み顧客の育成です。成果指標を設定する際には、見込み度を「1.潜在層→2.顕在化→3.アポ見込み→4.アポ獲得」のような段階で評価した指標を取り入れ、顧客をどこからどの段階までステータスアップさせたのか評価します。

指標は自社内で設定することも可能です。マーケティングオートメーションツールなどでは、汎用的なステータスがテンプレートで初期設定されているものもあるため、参考として活用するのも良いでしょう。

アポ数やコール数を成果指標にしない

インサイドセールスの成果指標を「育成」にするのではなく「アポ数」「コール数」などテレアポの特徴ともいえる「行動数」にしてしまうと、テレアポ部隊化してしまいます。インサイドセールスを立ち上げたとしても、成果目標の設定を見誤ると成果を出せないため、注意が必要です。「アポ数」や「コール数」を成果指標にしてしまうと、電話をかける担当者は「見込み顧客の育成」という本来の目的を見失ってしまいます。ヒアリング内容や質にこだわらなくなるばかりか、件数にとらわれてしまうため、強引なアポを取ってしまう原因にもなるでしょう。

結果的にフィールドセールスも、成果が上がらないアポイントメントに振り回される結果となり、インサイドセールスのメリットである生産性の向上につながりません。顧客にとっても無駄な時間になってしまい、会社の評判が下がる原因にもなってしまうので、注意が必要です。

インサイドセールスはヒアリングが特に重要

インサイドセールスでは、見込み顧客に定期的なアプローチを行い、顧客との関係を築いていきます。始めは興味がないと思っていた顧客も、同業他社の動向や事例を聞くことによって「自社にも同じような課題があったかも」「自社も同じように成功したい」という課題が生まれ、商談につながるケースもあります。見込み顧客の課題を上手く聞き出すには、担当者のトーク力よりも見込み顧客が抱えている課題やニーズを上手く引き出すヒアリング力が必要です。

テレアポの場合は、架電率や架電数、アポ獲得数など短時間で効率的に行うことが求められるため、顧客が「はい(Yes)」か「いいえ(No)」で答えやすいクローズドクエスチョンが向いています。しかし、クローズドクエスチョンでは、顧客の課題やニーズを上手く引き出すのは困難です。

インサイドセールスでは、「はい(Yes)」か「いいえ(No)」ではなく、相手が自由に回答しやすいオープンクエスチョンで問いかけましょう。もし、インサイドセールスのトークスクリプトがクローズドクエスチョンになっている場合は訂正が必要です。情報を漏れなく聞き出すためには、営業質問フレームワークとして有名な「BANT情報」を活用するのも良いでしょう。潜在層の見込み度合いが判断できます。単なるテレアポ部隊にならないように、トークスクリプトや事前に質問内容をまとめたヒアリングシートを準備しておくのもおすすめです。

B Budget 予算 商材を導入する予算はあるか
A Authority 決裁権 決裁権をもつ人に提案できているか
N Needs 必要性 見込み顧客に必要性があるか
T Timeframe 導入時期 導入するタイミングが決まっているか

インサイドセールスで成果を出すためのポイント

ここからは、インサイドセールスで成果を出していくために大切な3つのポイントをご紹介します。

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明確にターゲットを絞る

インサイドセールスはテレアポとは違い、自社商材にある程度、興味・関心がある見込み顧客に対してアプローチを行います。しかし「少し気になる」程度の顧客と「導入を検討したい」という顧客とでは、確度に大きな差があります。すぐに案件化しそうな顧客と時間がかかりそうな顧客を判別してから、フィールドセールスにつなげなければなりません。しかし、全ての見込み顧客に対して見極わめていくのには時間がかかるため、ある程度ターゲットを絞って優先順位をつけるのがポイントです。ターゲットを絞る際には、商材に向いた業界・業種や見込み先の事業規模、アプローチを行う部署や役職など、案件化率が高い属性の顧客を基準にすると良いでしょう。あるいは、「マーケティング部門が重点ターゲットとしている顧客を優先する」という選定基準もあります。

レスポンスの速さとタイミングに命をかける

レスポンスの速さもインサイドセールスにおいては、重要なポイントです。問い合わせや依頼に対してすぐレスポンスできれば、商談の機会や受注の機会を得やすくなります。すぐに答えられない場合でも、顧客に不安を与えないことが大切です。レスポンスの速さと同時に、タイミングの良さも重要になります。特に、BtoBの場合は、購買検討期間が長い商材が多い特徴があります。最初の接点では情報収集程度の顧客でも、半年後や一年後には検討段階に進んでいることもあるでしょう。マーケティングオートメーションなどを活用している場合は、メールマガジンのクリックや自社サイトへの訪問などのアクションから判断し、タイミングを逃さないようにアプローチを行っていくことが重要です。

情報管理を徹底する

インサイドセールスを行う際に必要なのは、顧客情報です。いざ電話してみると、担当者が異動していたり、企業の統合などで社名が変更されていたりするケースはよくあります。見込み顧客の課題や興味・関心も経営戦略や部署の方針で変わってしまうこともあるでしょう。

インサイドセールスで活用する情報は、以下3つが主となります。

1.事業規模・業種などの属性情報
2.課題や興味・関心などの情報
3.インサイドセールスや営業との接点情報

情報は継続的に集め、リアルタイムで更新していくのが理想的です。機会損失を防ぐためにも、顧客情報管理を徹底し、適宜更新していく必要があります。

インサイドセールスとテレアポの運営体制

インサイドセールスやテレアポの導入を検討する企業が増えていますが、自社で内製すべきか、アウトソーシングで外注すべきか迷ってしまうケースもあるでしょう。こちらでは、自社内製とアウトソーシングのメリット・デメリットについてご紹介します。

自社内製

インサイドセールスやテレアポを自社内製で行う場合は、商材にくわしい自社の従業員がアプローチできる点や、自社にノウハウを蓄積できる点がメリットです。また、従業員が担当するため、セキュリティ面の安心感もあります。デメリットは、設備や人材を確保するのにコストがかかる点や、立ち上げまでに時間がかかる点がデメリットになります。ノウハウがない状態で始めれば、従業員教育にも時間がかかるでしょう。外注の人では説明が難しい商材を取り扱っている場合や、自社のリソースや立ち上げまでの期間に余裕がある場合は、自社内製が向いています。

アウトソーシング

下記のような場合には、アウトソーシングが向いています。

  • 立ち上げまでに時間がない場合
  • 自社にインサイドセールスやテレアポのノウハウがない場合
  • 人員や教育に関するリソースが少ない場合

万が一、上手くいかず撤退を余儀なくされた場合でも、損失を少なく抑えられるでしょう。アウトソーシングすることによって、営業のプロに任せられるため安心感があります。しかし一方で、アウトソーシング先に自社商材を理解してもらうための準備が必要です。実際に見込み顧客に応対する担当者は従業員ではないため、顧客の突っ込んだ質問に答えられない際のフローも準備しておかなければなりません。また、社内にノウハウが蓄積できず、セキュリティ面にも注意が必要となります。

まとめ

インサイドセールスとテレアポとの違いや運用するためのポイントについて解説しました。インサイドセールスとテレアポには明確な違いがあり、どちらにも向き・不向きがあります。ご紹介した内容を参考に、自社に合った導入を検討し、成功するポイントを押さえながら上手に運用してください。


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