サポートデスクとは?そもそもなぜ必要なのか、他の顧客対応との違い
「サポートデスクを導入することによって何が得られるのか」「他の顧客対応との違いは何なのかわからない」という方は多いでしょう。この記事では、サポートデスクの必要性や、サポートデスクの種類・業務内容について詳しく解説します。サポートデスク運営のポイントについてもご紹介するので、導入の参考にしてください。
目次
- サポートデスクとは?
- ヘルプデスク・サービスデスクとの違い
- 社内SEとの違い
- コンタクトセンターとの違い
- サポートデスクを設置する目的
- 対応窓口を統一するため
- 迅速に障害対応に当たれるようにするため
- お問い合わせ内容を管理・保管するため
- サポートデスクの種類とそれぞれの業務内容
- サポートデスクには大きく社外向けと社内向けがある
- ローカルサポートデスク
- 中央サポートデスク
- バーチャルサポートデスク
- フォロー・ザ・サン
- サポートデスク設置のメリット
- 顧客満足度の向上
- 属人化の脱却により社員負担の軽減
- 人件費削減
- サポートデスクスタッフに求められるスキル
- コミュニケーション力
- IT機器に関わる知識
- サポートデスクの運営におけるポイント
- 対応工数を削減するために、FAQやチャットボットで自動化する
- だれにでも理解しやすい回答を用意する
- ナレッジを共有し回答までの時間を短縮
- 対応領域を明確にする
- サポートデスクの運営体制
- 自社内製
- アウトソーシング
- まとめ
サポートデスクとは?
サポートデスクとは、問い合わせに対応する部門で、社内向けと社外向けの2種類があります。社内の場合は「ツールの使い方を知りたい」「システムがうまく作動しない」などの問い合わせに対応し、社外の場合は「製品に関する問い合わせ」や「顧客からのクレーム」などに対応します。
ヘルプデスク・サービスデスクとの違い
サポートデスクの名称は「ヘルプデスク」「サービスデスク」など企業によってさまざまです。名称に違いはあっても、業務内容に大きな違いはありません。
ただし、2つが異なる意味で使われる場合もあります。「サービスデスク」は「リサーチ」や「情報発信」などを行うことがあり、対応業務の領域が広く、さまざまな問題解決を担当する窓口として使い分けられることがあります。一方、「ヘルプデスク」は、製品の基本的な使い方の説明や修理依頼を受け付ける窓口として使い分けられることがあります。
企業によって、呼び方の違いや細かい違いはあるものの、「寄せられた問題を解決する窓口」である点は変わりません。
社内SEとの違い
社内SEとは、社内業務で使用するシステムの開発・構築・運用などに関わる部門です。ITを利用して、効率的に業務を行える仕組みを構築します。社内リソースが限られている企業では、社内SEがサポートデスク業務を担当したり兼務したりすることも、珍しくありません。
基本的に、サポートデスクと社内SEでは、対応する領域が違います。社内SEは、システムの企画や導入・運用・保守など、技術的なサポートを得意とします。システムの不具合が生じた場合などは、具体的な解決策をその場で提示できるのが特徴です。
サポートデスクは、社内のIT活用に関する質問回答や、顧客からのトラブル対応などが主な業務です。技術的な難易度の高い質問はその場で解決できないケースも多く、専門の部署に引き継ぐこともあります。
コンタクトセンターとの違い
コンタクトセンターとは、電話・メール・SNS・Webサイトなど、さまざまなチャネルの問い合わせに対応する部門です。サポートデスクに比べて、業務領域が広いのが特徴です。問い合わせ対応だけでなく、顧客の行動履歴や属性情報をもとに新商品を紹介したり、別のプランを提案したりもします。コンタクトセンターは、顧客が購入しようとしている商材よりも上位商材を提案して購入してもらう「アップセル」や、商材の関連商材を提案して一緒に購入してもらう「クロスセル」などの営業担当の役割を担うこともあります。聞かれたことに答えるだけではなく、利益拡大のアクションも起こしているのです。サポートデスクは、利益拡大のアクションは行わず、基本的に聞かれたことにのみに答えるため、その点に違いがあります。
サポートデスクを設置する目的
サポートデスクを設置する目的は、企業によってさまざまです。一般的には以下のような目的があります。
対応窓口を統一するため
対応窓口が複数ある場合、顧客はどこに連絡をすれば良いのかわからないことがあります。サポートデスクを設置する大きな目的のひとつは、顧客からの問い合わせ先を1ヶ所に集約することです。対応窓口が複数あると、顧客が誤った連絡先に問い合わせした場合、担当につなぐまで待たせてしまうことがあるため、「たらい回しにされている」という印象を与えてしまうかもしれません。顧客満足度にも大きな影響を及ぼすため、連絡先を統一させて顧客の混乱を防ぎます。
迅速に障害対応に当たれるようにするため
サポートデスクがない場合は、他の業務を担当している社員が、通常の業務をこなしながら顧客からの問い合わせに対応しなくてはなりません。早急に対応することができなかったり、通常業務に支障をきたしたりすることもあるでしょう。サポートデスクを設置すれば、顧客からの連絡に対して、迅速に対応できます。担当者が質問や要望に対して早急かつ適切に応答できるようになり、利便性や顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
お問い合わせ内容を管理・保管するため
サポートデスクが部門として確立されていない場合は、各部門の担当者が対応することになります。その場合、それぞれの部門が「解決してしまえば終了」と判断してしまい、情報の管理・保管・共有がなされません。サポートデスクが設置されていれば、記録してデータを蓄積でき、必要なときに適切に取り出せるようになります。顧客の要望やクレームを分析することによって、マーケティング戦略に役立てることも可能です。
サポートデスクの種類とそれぞれの業務内容
サポートデスクは、細かく分類すると以下のように分類できます。それぞれの特徴や業務内容をチェックしてみましょう。
サポートデスクには大きく社外向けと社内向けがある
サポートデスクには大きく社外向けと社内向けがあります。社外サポートデスクは、社外(顧客)からの問い合わせに対応する部門です。自社の商品・サービスに関する問い合わせを受け、顧客が求めている情報を提供します。トラブルの連絡を受けた際は、速やかに解決へと導きます。
対して社内サポートデスクは、自社の社員からの問い合わせに対応する部門です。社内のシステムなどに関する問い合わせに対応するケースが多くみられますが、問い合わせ対応だけではなく、パソコンの設置・設定やマニュアル作成などの管理業務を担うケースもあります。企業によっては、社内SEが社内サポートデスクをあわせて行うこともあります。
ローカルサポートデスク
ローカルサポートデスクのローカルとは、「地方・地域」を意味し、顧客から近い場所に設置します。顧客との距離が物理的に近いため、拠点ごとに人員を配置し、現場へ担当者を派遣することも可能です。しっかりとコミュニケーションを取りながらサポートができるのは魅力ですが、各拠点に人員を配置するために多くの人件費がかかります。
中央サポートデスク
中央サポートデスクとは、1つの拠点ですべての顧客に対応するサポートデスクです。どの地域から問い合わせがあっても、1拠点で対応するため、最低限の人員で運営できます。施設維持の費用や人件費も低く抑える点がメリットです。ただし、サポートデスクと顧客の距離が物理的に離れている場合は、対応に遅れが生じるケースもあるため、対策が必要になります。
バーチャルサポートデスク
バーチャルサポートデスクとは、窓口を1つに集約し、複数の拠点に人員を配置して問い合わせに対応するものです。問い合わせ先は1つなので、顧客は迷わずに連絡できます。サポートデスクの担当者全員が同じ場所に集まる必要はありません。テレワークでの対応も可能です。ただし、担当者それぞれが離れた場所で業務を行うため、応対品質にバラつきが生じる恐れがあります。設置する場合は、対応の質を均一にする工夫が必要です。
フォロー・ザ・サン
フォロー・ザ・サンとは、海外のサービスデスクと連携したサポートです。国内のサポートデスクで解決・対応できないときは、海外のサポートデスクに引き継ぐことができるのが特徴です。フォロー・ザ・サンなら、時差を利用して24時間365日、時間を気にすることなくノンストップで顧客をサポートできます。ただし、国により文化や考え方に違いがあるため、対応を均一にしてスムーズに運用するためには、さまざまなことに配慮する必要があります。
サポートデスク設置のメリット
サポートデスク設置は、以下のように企業に多くのメリットをもたらします。
顧客満足度の向上
サポートデスクは対応専門の窓口のため、問い合わせ先がわかりやすく、顧客からの質問や相談にもスムーズに対応できます。担当者の対応がよければ、組織そのものの評判が良くなることも考えられ、サービスや顧客満足度の向上にもつながるでしょう。自社商品・サービスを初めて購入した顧客でも、良い対応を受けることでファンになったり、リピートしてくれたりするかもしれません。サポートデスクで蓄積した情報を分析すれば、今まで見えてこなかった課題が明らかになるケースもあります。顧客が抱えている問題を改善することによって、より良い商品やサービスの提供にもつながるでしょう。
属人化の脱却により社員負担の軽減
サポートデスクがない場合、個々の社員が対応して終わってしまうため、情報や知識が企業に蓄積されません。回答できる特定の社員にばかり負担が集中し、属人化してしまう問題も発生します。サポートデスクを設置すれば、日々の情報や知識が企業に蓄積されていくため、マニュアルを作成することも可能です。対応方法や製品の操作手順などがマニュアル化できれば、誰でも同じ対応ができるようになります。属人化から脱却することも可能になり、特定社員の負担も軽減するでしょう。また、寄せられた情報を整理して、「よくある質問」「FAQ」などをWebサイトなどへ掲載することも可能です。顧客はわざわざサポートデスクに問い合わせる必要がなくなり、自ら問題解決できるようになるでしょう。
人件費削減
サポートデスクがなく社員が対応する場合、情報を整理するだけでも時間や手間がかかります。通常業務に加えて問い合わせ業務も行わなければならないため、リソースが必要です。問い合わせの内容を記録する場合は、記録のためのツールやコストも必要になります。
サポートデスクを設置すれば、今までかけていた手間や時間がなくなり、人件費削減につなげられます。サポートデスクが成長するとノウハウが蓄積され、マニュアルなどを作成できるようになります。わざわざ個別に教育を行う手間や教育コストも省けるでしょう。「よくある質問」「FAQ」などをWebサイトに掲載すれば、問い合わせの件数そのものを減らすことができ、サポートデスクの人員も減らせます。
サポートデスクスタッフに求められるスキル
サポートデスクを設置する際は、スタッフを用意しなくてはなりません。ただし、スタッフは誰でも簡単に務まるわけではなく、業務に適したスキルが必要になります。サポートデスクスタッフとして特に重要なスキルは以下のとおりです。
コミュニケーション力
サポートデスクスタッフは、顧客と直接やり取りを行うため、高度なコミュニケーション力が必要です。顧客と直接顔を合わせて会話するケースはほとんどないため、相手の真意や問題の本質を理解できないケースもよくあります。真意や要点が掴めない場合でも、相手に寄り添いながらコミュニケーションを取れば、適切な回答を導き出せるでしょう。
サポートデスクには、理不尽なクレームが寄せられることもあります。コミュニケーション力がなければ、上手な対応ができず、相手を怒らせてしまうことがあるかもしれません。状況に合わせて、臨機応変に冷静な対応ができる能力も必要です。
ただし、コミュニケーション力が高ければ高いほど適切な対応ができるわけではありません。顧客との距離が近すぎたり、正しい言葉遣いができなかったりする人は、いくらコミュニケーション力が高くてもサポートデスクスタッフには向いていません。サポートデスクスタッフは、いわば企業の顔でもあります。基本的なビジネスマナーや正しい言葉遣いは必須です。
IT機器に関わる知識
サポートデスクには、さまざまな問い合わせや相談が寄せられます。専門的な回答が必要なケースもあり、IT機器やシステムについて聞かれる機会も多いでしょう。また、ヘルプデスクが使用するソフトウェアについても理解しておかなければ、問い合わせに迅速に対応することができません。ツールを上手に使いこなすことによって業務が効率化され、迅速な対応や優れたサービスの提供が可能になります。
サポートデスクの運営におけるポイント
限られた人数で効率的にサポートデスクを運営していくためには、いくつかのポイントがあります。工夫次第で業務効率化にもつながるため、実践できるものがあれば積極的に取り入れましょう。
対応工数を削減するために、FAQやチャットボットで自動化する
顧客からのさまざまな問い合わせを受けるには、人員と時間が必要になります。上手に運営していくために、対応工数を削減する工夫を行いましょう。例えば、「製品マニュアル」「よくある質問」「FAQ」などを自社のWebサイトに掲載し、顧客が自分で解決できるようになれば、不要な問い合わせを減らすことができます。人工知能を活用した自動会話プログラム「チャットボット」の活用も、問い合わせを減らすのに有効です。「何か質問はありませんか?」というチャットボットの質問に対して、顧客が相談内容を入力すると、解決に導きます。対応工数が削減されることによって、他の手段では解決できなかった顧客の問い合わせに早急に対応できるようになります。
だれにでも理解しやすい回答を用意する
サポートデスクでは、どのような人に対しても、きちんと理解できるような回答を準備しなくてはなりません。特に専門用語や近年使われるようになったビジネス用語などはなるべく使わないように心がけましょう。ある人にとっては簡単に理解できる内容でも、別の人にとっては理解できないケースはよくあります。マニュアルやFAQも、専門用語はできるだけ控え、シンプルでわかりやすい表現にするのがおすすめです。
ナレッジを共有し回答までの時間を短縮
サポートデスクには、電話・メール・SNS・チャットなど、さまざまな方法で多数の問い合わせが寄せられるため、回答までに時間がかかってしまうケースも多いでしょう。回答に時間をかけすぎると、相手に不満や不信感を与えてしまいます。回答までの時間を短縮するためには、ナレッジの共有が必要です。例えば、以前発生したトラブル・解決法をセットで登録しておけば、次回同じことが起きたときにスムーズな対応ができます。また、登録をするだけではなく、サポートデスク全体での共有も必要です。解決に要した時間も記録・管理しておけば、同じトラブルが起きたときに時間の目安を相手に伝えることもできます。前もって回答までの時間を伝えておくことで、さらなるクレームやトラブルの発生を回避することも可能です。
対応領域を明確にする
サポートデスクには多くの問い合わせが寄せられるため、スタッフはどこまで対応すれば良いのか迷ってしまうことがあります。対応領域が広すぎると、多くの知識を習得しなければならず、個人の負担が大きくなります。問題を素早く解決するためには、対応領域をあらかじめ明確にしておくことが大切です。どこまで対応するのかが明確化されていれば、担当者の負担も軽減できます。対応領域外の問い合わせには、対応できない旨を伝え、必要に応じて関係する部門へ引き継ぐようにしましょう。
サポートデスクの運営体制
サポートデスクの運営体制は、大きく分けて自社内製とアウトソーシングがあります。企業の規模やリソースをはじめ、製品・サービスの特徴によって決めるのがおすすめです。
自社内製
サポートデスクは、基本的に自社内製が多い傾向にあります。サポートデスク部門の立ち上げは、部門の設置場所やスタッフの確保などのリソースが必要です。そのため、リソースにある程度の余裕がある企業に向いています。自社対応のため、難しい問題に直面してもすぐに対応することが可能です。ノウハウの蓄積が可能になり、マーケティングにも活用できるようになります。
アウトソーシング
社内リソースが足りない企業は、アウトソーシングがおすすめです。アウトソーシングを行えば、業務の繁忙期であっても、「サポートデスク対応でリソースが足りなくなる」といった心配がありません。顧客対応のスペシャリストに依頼することで、的確な回答ができるようになります。ただし、アウトソーシング先に依頼する際は、製品・サービスについて、委託先に深く理解してもらわなければなりません。そのため、委託開始までに、ある程度の時間が必要になります。また、委託先が難しい問題に直面した場合、自社内製のサポートデスクよりも解決までに時間がかかってしまうことがあります。ユーザーニーズを把握する機会が減少することや、情報漏洩リスクが高まる可能性がある点は、デメリットといえるでしょう。
まとめ
サポートデスクは、業務効率化だけではなく、顧客満足度の向上など多くのメリットがあります。しかし、効率良く運営するには、いくつかのポイントを押さえておかなければなりません。今回は、サポートデスクの業務内容や運営におけるポイントについて解説しました。サポートデスク導入を検討する際に、ご活用ください。